水滸伝 七 烈火の章 (集英社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • エピソードが増えて、ひととなりがわかってきて、推しが増えてきた。楽しい。

  • 感想は気が向いたときに

  • 官軍の包囲網の準備が着々と進められる。
    また、梁山泊も名士が集まり本格的な戦闘はこれからという流れ。
    主要なキャラが果てていく場面も増え、緊張感が増している。
    8巻も引き続き読みたい。

  • まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

    地伏の星: 金眼彪・施恩
    地理の星: 九尾亀・陶宗旺
    地周の星: 跳澗虎・陳達
    天勇の星: 大刀・関勝
    地賊の星: 鼓上蚤・時遷

    前巻で KiKi は

    宋江さんの「今の自分が置かれている立場」に対する鈍感さが何等かの悲劇を生みそうな気配がプンプン

    と書いたわけだけど、案の定、宋江さんと4人の愉快な仲間たちの「宋国内道中膝栗毛」の顛末として、宋江さんの身代わりとして亡くなる方が出てきてしまいました。  北方水滸の前半の登場人物の中では比較的 KiKi のお気に入りだった天退星: 挿翅虎・雷横さんです。  早くからの同志であり、晁蓋さんたちが梁山泊入りしてからも宋江さんが小役人の隠れ蓑を着ている間はじっと我慢の子を貫き通して官軍に身を置き、その宋江さんが小役人の地位を追われた際にようやく官軍を離脱して影に日向に彼の逃亡を助け、その後は呉用さんプロデュースの梁山泊・新しい拠点づくり(≒ 双頭山)にも尽力したような大切な人です。  そんな人をこういう形で失くしてしまうとは、

    「やっぱりこの責任はあんたにある! > 宋江さん」

    と KiKi は声を大にして言いたい!!

    もっとも、宋江さんご一行がたった5人で山に立てこもり、それを一万数千の官軍に包囲されながらも無事脱出できた陰には、陶宗旺さんの超人的な石積みの技術とその原料調達でこれまた超人的な石切り技術を披露した李逵さんの大活躍があればこそで、その素晴らしさを語るエピソードとしてはなかなかのものがあったのも又、事実なんですけどね。



    それにさすがの呑気もの・宋江さんも雷横さんの死というショッキングな事件を経てようやく

    「呑気に道中膝栗毛をしている場合じゃない」

    と気が付いたみたいだから、まあ良しとしましょう。  そうそう、どんなに頑張ったって限られた時間の中で全てを見ることができるわけじゃないんです。  ある程度までは必要だった実地検分もある一線を越えたらそれ以降は単なる自己満足。  宋江さんはプレイング・マネージャーじゃないんだから、もっと他のことに時間と労力を使うべきです。  もっともこのエピソードがあるからこそ「天傷星: 行者・武松」と「天殺星: 黒旋風・李逵」の常人離れした強さが全編通して語られてもさもありなん・・・・と納得させてくれるのもまた事実。

    さて、この巻では雷横さんのみならず、他にも死者が出てしまいました。  それは今まさに軍師としての教育実習真っ最中の「天罪星: 短命二郎・阮小五」さんです。  この方、やっぱり渾名がまずかったんじゃないかしら?  もっとも Wiki によれば「短命二郎」の「短命」は本人のことではなく、彼に何等かの関わりを持っちゃった相手の人間の方なのだそうで、そういう意味では渾名のせいではない(というより北方さんがこの名前から勝手にそっちへ話を持ってっちゃった?)のが本当のところらしいんですけどね(苦笑)。

    彼は梁山泊の軍師見習い(?)として、1つポツネンと西方に位置している九紋龍・史進が頭領を務めている少華山に、そこの熟練軍師である「神機軍師・朱武」の薫陶を受けるために出張中。  ところがタイミングの悪いことに、その少華山は宋江さん捕縛に失敗した青蓮寺が同時進行で推し進めていた梁山泊討伐のもう1つのターゲットでした。  しかもそのやり方がいかにも「裏の組織」の仕事らしい穢さで、それに気が付いちゃった史進をはじめとする少華山の大将たちが、「これは捨て置けん!  でも、相手が相手だから叩き潰してもう一度ここへ戻ってくるのは無理。  よ~し、あいつらを叩き潰しがてら梁山泊へ合流しよう!」ということで意気投合しちゃったので、その戦に巻き込まれることになって、挙句落命。  

    こうして聚義庁入口の名札に赤札(生きている間は白札、死ぬと赤札)が又増えてしまいました。  ここまでで赤札は以下の5名です。

    天暗星: 青面獣・楊志
    天退星: 挿翅虎・雷横
    天罪星: 短命二郎・阮小五
    天慧星: 拚命三郎・石秀
    地空星: 小覇王・周通

    百八星のうち、上位36星とされる天罡星36星から4名、下位72星とされる地煞星72星から1名です。  星に数えてもらえない晁蓋さんはまだピンピンしているのに、天罡星36星から4名も死んじゃっていいんだろうか??

    そしてこれで打ち止めかと思いきや、最後の最後にもう1人、梁山泊の間諜として地味ながらも大切なお仕事をしてこられた「地賊星: 鼓上蚤・時遷」さんが亡くなってしまいました。  彼は他の戦士の皆さんと比べると決してカッコいい最期というわけにはいかず、楊志殺害の引き金を引いた二重スパイを突き止めその始末に出向いたところで、何者かに殺害されてしまいました。  せっかくサブタイトルで登場したところだったのにねぇ・・・・・。

    さて、こうやって残念なことに命を落として舞台から退場していく好漢がいる一方で、例のオーガナイザー(人たらし)は梁山泊に新しく迎える人材のリクルート活動に余念がありません。  その過程でオーガナイザー、プランナー、フィクサーと様々な顔を見せる魯達ですが、この巻ではさらに別の顔も見せてくれました。  それはアジテーター。  牢屋の中で、城郭(まち)に出て、あちらこちらで大衆の心を手のひらの上で転がしています。  とりあえずジャブだけかませて「天勇星: 大刀・関勝」の気持ちを惹きつけるとさっさと彼の前から姿を消し、次に向かうのはどうやら「天威星: 双鞭・呼延灼」の元らしい・・・・・。  

    この時点では、官軍は人数のわりには質が良くなく、特に地方軍が箸にも棒にもかからない状態です。  でも中には優秀な地方軍もいるわけで、それを率いていたのが既に梁山泊入りした「天猛星: 霹靂火・秦明」であり、現在魯達がリクルート活動中の「天勇星: 大刀・関勝」であり、「天威星: 双鞭・呼延灼」であるということで、青蓮寺も下手な小細工ばかりしていないで、掌中の珠を磨くことに努めればいいのに・・・・・と思わないでもないけれど、そこはやはり文官 vs. 武官の対立やら何やらがあって難しいんでしょうねぇ。  さて、かっこいい男の死に様の話ばかりでは正直ちょっと辛い。  次巻で魯達のリクルート活動のその後のお話が聞けることを期待して第8巻へ進みます。

  • 北方水滸 7巻目。なんとか虎口を脱っした宋江が梁山泊に入る一方で、青蓮寺は梁山泊、二竜山、双頭山の連結を断つべく祝家荘に陣を張る。ますます盛り上がってきたところではあるのだが、もともと宋江が梁山泊に入ったら止めると決めていたので、8巻以降の続きは読まないつもり。人が死ぬ話はいやなんだもん。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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