自縄自縛の私(新潮文庫) [Kindle]

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  • 新潮社
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感想・レビュー・書評

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  • 2020.03.23

    ☆5!!
    エロティシズムだけでは無い、抑制できないいろんな苦しみや心のあり方の変化など、女性のインモラルな部分をしっかりと表現してあって読み応えがありました。
    短編集だけど一作一作異なるテーマでも、すごい熱量があって好きだ。空気感もたまらない。
    そして物語が所々リンクしていて、どんな人も割と近くにいる…というのもわかってそれもリアルで良い

    【自縄自縛の私】
    自分を縛ることで快感を得ている私は、社会にも縛られているという暗喩だと私は感じた。
    プライベートでひたすら悦に浸っているが欲求がエスカレートしてなし崩し的にセックスに至る(この、なんとなく情事に移るっていうのも好きだったんだけど、物語の本質はここじゃないんだよなー)
    同じ境遇の人と各で縛り横たわる方が、セックスよりも満たされている。
    人の価値観て一様ではないと表している。

    【祈りは冷凍庫へ】
    精液の入ったコンドームを冷凍庫へとコレクションしている
    食事との対比で、生活、日常とアブノーマルを同居させて
    違和感マシマシなのが最後に全て溶ける。
    温めるで終結するのがいい。
    大元がかつて好きだった男というのも。
    異常になるには大ダメージで、凍らせておくしかなかったの解凍するという終わり方が好き。


    【ラバーズ ラヴァー】
    ゴム、全身スーツ、苦しくて嘔吐してもやめられない快楽。
    「ふつう」でなかても、重ね合う肌に感激する。
    追い詰められた人ほど泣けてしまうというけれど、ここにも小さな救いがあったんじゃないか

    ふつうでなくとも


    【ごみの蜜】
    長年の恋と、ゴミを対比させるってどんな発想なんだ
    シチュエーションにもだえる。ただそれは自分の中のゴミを燃やし続けていただけ。ゴミがゴミでない時に思いを馳せても元には戻らない。
    捨て去るという行為、大人になるための1歩


    【渡瀬はいい子だよ】
    うん青春!
    これまでイレギュラー、アブノーマルだったので。この物語も純粋な純情というわけではないけども
    キラキラして見える。
    ただ「私」も普通の女の子じゃない。
    助けてくれた少年と恋仲になって、体をつなげるときになって、恐れるのはきっと当然ね。
    少年がいい子すぎるから余計につらくなっちゃうね



    キラキラして見える。
    ただ「私」も普通の女の子じゃない。
    助けてくれた少年と恋仲になって、体をつなげるときになって、恐れるのはきっと当然ね。
    少年がいい子すぎるから余計につらくなっちゃうね


    全て読み応えあってよかった!

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著者プロフィール

1979年北海道札幌市生まれ、在住。2008年第7回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞し、2010年『自縄自縛の私』(新潮社)を刊行しデビュー。そのほかの著書に、『凜』(講談社)『エンディングドレス』(ポプラ社)『共謀小説家』(双葉社)などがある。

「2023年 『窮屈で自由な私の容れもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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