第二次世界大戦 3 (河出文庫) [Kindle]

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  •  独ソ戦開始時の発言からは、あいかわらずのソ連嫌いが垣間見える。敵失からドーバー海峡の安全を確保したとはいえ、イギリス一国で受けていたナチスドイツの猛攻を東部戦線に分散しえたことを感謝しつつも「ざまあみろ(意訳)」と辛辣である。

     東部戦線で死闘を繰り広げるロシアを支えつつ、アフリカ大陸で跋扈するロンメルの脅威に対応しなければならない。この予断を許さない情勢下で、ついには彼の望んだ米国の参戦が、日本軍による真珠湾攻撃で実現する。アメリカが本格的に戦争へと梶をとるまで長く苦しい戦いは続くが、それでもチャーチルはその卓越した戦略眼をもって勝利を確信したのである。

     どうやら、ド・ゴール将軍に対してもあまりよい感情を持っていなかったらしい。ことあるごとに「傲慢」と形容している。

     チャーチルの敵味方各国(または人物)に対する評が大変おもしろい
    ・合衆国は巨大なボイラーのようである。いったんその下に点火すると、生み出す力には際限がない
    →普段はモンロー主義流の「我関せず」という態度だが、いったん国論が決まれば全力で走り出す。
    ・ヒトラーの運命は決まったのだ。ムッソリーニの運命も決まったのだ。日本人についていうなら、彼らはこなごなに打ちくだかれるだろう
    →ドイツ、イタリアはファシズムの独裁国家だが、日本は独裁国家と認識していない。
    ・日本軍の計画の厳格さ、そしてその計画が予定どおり進展しない場合は目的を放棄するという傾向は、主として日本語の厄介で不正確な性格のためであったと思われる。日本語は信号通信によって即座に伝達を行なうのがきわめて困難なのであった
    →日本軍の計画を立てた後の柔軟性不足をよく分析している
    ・中国についていえば、重慶政府を偉大な世界的国家を代表していると認めることはできない
    →ビルマからの援蒋ルートを全力で支えつつも、国民党政府の惰弱ぶりを指摘。
    ・ヨーロッパの家族はヨーロッパ会議の下で、一丸となって行動するものと私は信じている。私はヨーロッパ合衆国を期待する。このなかでは国家間の障壁が最小に制限され、無制限の旅行が可能にされるものである。ヨーロッパ経済は全体として研究されることを私は希望する。
    →各国で協力してドイツを「抑え込む」のではなく、今日のEUのようなヨーロッパ思考による戦争の追放と繁栄を構想している(Brexitは皮肉である)

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