- Amazon.co.jp ・電子書籍 (199ページ)
感想・レビュー・書評
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抑圧された自己を解き放ち、内なる野生を取り戻すこと。自分の人生を振り返ると、いかに狭い価値観の中に押し込まれ、もがき苦しんでいたかが分かる。特に心に染み渡るのは野生、という言葉。これまでの均一的な価値観ではこれからは生きて行けない。自分の心の中にある、こうありたい、という気持ちを第一に考え行動しなければならない。
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考えさせられる良書。大切なのは教育ではなく、学習、すなわち受動的なものではなく、能動的なものである。もっともな主張。学校教育って、元々国にとって御しやすい都合の良い人間を作るために受けさせるものというと、やや左がかって聞こえるが、こう言われると納得。確かに無理に教え込んでも、それはサルの調教に似て、猿芝居を無理やりやらせているに過ぎない。
ただ、実は能動的に学習できる人は、ある程度できる人に限られる。ちょうど著者のように東北大学の医学部に入学できるくらい頭の良い人に。自分の息子を見ていると、残念ながら能動的に学習するのは、百年河清を待つようなものにも思える。
しつけは、社会のルールを教えることであり、人格や良心の問題ではなく、知っておくべき処世術としてドライに伝授すべきというのも面白い考え方。そのように考えれば、言うことを聞かない子供にヒートアップすることもなくなるかも。ただ、ドライに言って聞いてくれなくても、無視して痛い目に会うのは本人の問題とドライに割り切るということかな。
ただ、ところどころ論理が飛躍しているところがあり、お~い、どこへ行くんだ~という箇所がある。例えば、道徳が悪を生むという逆説という話の中で、善があるから悪がある、道徳が悪を生むという話の流れで、速度制限なしのアウトバーンでは暴走行為など存在しないって、それは言いすぎ。どこの国でも腕を省みず暴走する奴はいます。速度違反は存在しないというならある意味正しいんだけど、制限されてる区間もあったりする。 -
おおよその主題に関しては頷ける部分も多かった。
カウンセリングの現場の話やピアノの話は説得力があったが、科学やしつけ・教育の話はあまり知らずに、体験せずに語っている感がぬぐえない。
なんだか所々自己矛盾が感じられる。 -
反教育、という風に題されてはいるが、もちろん闇雲に現行の教育制度および環境に異を唱えているわけではない。著者が本文中、また後書きでふれているように、正反合の合、いわゆるジンテーゼを目指しているとのことだ。
かなり乱暴に要約すると、野性的、懐疑的精神により、真なる思考力を身につけるべき、といったところか。
優れた思考は反抗の中で生まれる、という主張のもと、懐疑的精神を持つことの意味。想定外の事態に対応する即興性こそが重要、などということ述べている。この二つの単語(懐疑的精神・即興性)は特に重要視されている。
ほかのすべての事柄にも言えることだが、もちろん、この本の言うことを鵜呑みにしてはいけない(もちろんこの文章自体もだ)。
当書籍を否定しているわけではない、盲信はするなということである。