上海、かたつむりの家 [Kindle]

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  • プレジデント社
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感想・レビュー・書評

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  • ちょっとドラマチック過ぎるけど、この荒波具合は上海を表しているんだろうか。
    登場人物たちの中で魅力に感じる人が少なく、なかなか感情移入できずに読み終えた。ストーリーは面白かったんだけど。
    物価上昇に追い付かない人々の生活。お金、コネ、欲の世界。汚らわしいものの中で、尊いものははてなんなのか。結局は淡々とした地味殺風景な狭い家で家族団欒なのか。
    同情するのは宋思明の、不倫されてた妻。
    海藻の行く末を見ると、やはり若い無学な女は、道を踏み外すトラップがたくさんあるよねと。

  •  10年ほど前に中国で絶大な人気があったテレビドラマの原作小説の翻訳。原題は「蝸居」。日本語で言えばウサギ小屋みたいな意味で、狭い家のことを言う。住宅費の高騰する上海でなんとか家を買いたいと願う姉妹と、金持ちの男が登場する、今の中国を象徴するような物語だそうだ。

     とても仲のいい姉妹がいて、どちらも田舎を出て上海に住んでいる。姉はすでに結婚して子供がいるが、上海の賃貸住宅は狭いので実家に預けている。妹は結婚する予定の恋人がいる。姉はどうしても家を買って子供と住みたいと思い、必死になって金を集めはじめる。

     姉を慕う妹はなんとか金を工面しようとする。そんな時、妹が仕事で訪れた会社のエリートが彼女を見て好きになり、接近してくる。彼はたっぷりと金を貸してくれるのだが、当然のなりゆきで関係を持つようになる‥‥

     必死で働いても豊かになれない庶民と、地位を悪用してしこたま金をかせぐ有力者。とてもわかりやすい構図だが、庶民でも金持ちに気に入られれば甘い汁を吸うことが出来て、またそれが必ずしも否定されないといった風潮も現れている。

     物語の結末は唐突で、ネタバレギリギリで説明すれば悲劇だ。これをリアルだと言って見ていた上海人たちは、今どうしていることだろう。

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