グレート・ギャツビー(新潮文庫) [Kindle]

  • 新潮社
3.63
  • (11)
  • (23)
  • (15)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 226
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (263ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 猫町倶楽部課題図書を当日になってようやく読了。言わずと知れた20世紀アメリカ文学の代表作で、初読は一昔前に村上春樹訳がでたときくらい。最近また光文社古典新訳文庫からも新訳がでたようだが、イマイチ評価が良くないようだ。今回は1957年初版という野崎孝による古典訳がちょうどKindle入りしたので、その野崎訳で読んで見た。いかにも文学部教授と言った感じの硬質の訳文で、決して読みやすくはないがそれはそれで時代がかっていて面白い。

    キャラウェイやギャッツビーの、東部文化へのアダプテーションを中心に論じられることが多いが、個人的にはトム•ブキャナンが妻と愛人の二人を同時に失いかけて狼狽するスノッブぶりや、そこから急展開する物語のスピード感が好きだ。

  • 1922年のアメリカ東部のニューヨークでの
    謎の富豪ギャツビーとその恋愛模様と破滅を
    描いた作品。

    古典であり、特に気にしていなかったが、
    村上春樹氏が一番のお気に入りと書いていたので
    読んでみた。

    感想としては・・・よ、読みにくい・・・
    確かになんだかすごいです。語り口というか
    あらゆる文章が流麗で技巧が尽くされた描写。

    確かに村上氏が好みそうというか、村上春樹の
    作品読んでるような気持ちになりました。
    肝心のストーリーとしてはわりとシンプルというか
    ビターな幕切れを起こします。
    正直文章の美しさ的なものに興味が無いため
    途中から飛ばし読みをしていました。
    真剣に読んでいたら何日もかかると思います。





    がっつりネタバレですが、






    最期のギャツビー氏のプールの描写。
    ここほんとに何が起こったのかわからなくて
    5回ぐらい読み返しました。え!?死んだ?
    どうなったの?死んだってことでいいの?

    「波の影ともいえぬ小さな漣を縦ながら、人をのせた
    マットレスが、プールの下手にむかって不規則に
    動いていた。水面に小皺さえ立てぬくらいのかすかな
    風が吹いただけでも、思い設けぬものをのせて
    思い定めぬ方向にただよってゆくそのマットレスの
    進路を乱すにはたりた。一叢の木の葉がふれると、
    それは転鏡儀(トランシット)の脚のように、
    水面に細い赤い円を描きながら、ゆっくりと
    旋回した」

    これでギャツビー氏死んだ描写ですよ!?
    いや銃声してるからやられたっぽくはあるけど
    「死体」とか「血」とかそういう単語を
    意地でも使わない、みたいな縛りに
    挑戦してるのかレベルです。

    私にはオサレすぎて読み進めるだけで
    ヘトヘトでした。確かに文学史に残るすごい
    作品ではあると思います。
    20年台のアメリカの狂騒と奢侈の中での
    人間の薄っぺらさが生き生きと伝わりますし、
    葬式に主人公と父親しかこない場面は
    ぐっとくるものがありました。

    でもちょっと人にはお勧めしづらいですね・・・
    映画もあるようなのでそれで答え合わせしたい
    ところです。どういう死に方だったんや。

  • 無数の流麗な文章表現の中に、ときに作家の鋭い知性を感じさせる箇所がいくつかあって印象的だった。
    狂騒の20年代と呼ばれる当時のニューヨークの世相をよく伝えていて、我々の見知らぬ世界、バブリーな空気感を肌身に感じられたのは興味深い体験だった。

  • 退屈な小説だった。もし私がアメリカ人だったら郷愁や寂寥感を肌感覚で実感できたのかも知れんが。
    何も持たない男が一人の女の愛を得るためにどんな手でも使って成り上がる、という価値観がもう私には理解できなくなっているのだろう…。怖っ、みたいな。
    でも主人公の感覚や心情描写にはちょっと驚くほど共感できた。「終わりの始まり」というものへの感慨が自分にもあるからかな?
    あとギャツビーを語り手とするのではなく観測者の視点から描写するのは今のキャラクター消費のやり方にも通じるものがあるように思う。ギャツビーを推してるニックを見てる俺(読者)。みたいなコンテンツとして成立させられなくもない距離感というか。推しと自分の関係をつい思い起こしてしまった。

    ギャツビーの描写には色々怪しい点があるように思えてならない。急に消えたり現れたり、本当に存在してる?亡霊だったりしない?と疑いながら読んでいた。そもそもあいつ偽名だしな。虚構に生きる刹那い人物だからギャツビーを「解釈」しようとすることは雲を掴むようなもの。彼の存在が主人公以外の人物に何も残さなかったと言わしめているのがかなしい。そんなことってある…?
    とは言えアメリカン・ドリームの地縛霊みたいな解釈もされているから、アメリカンマインドに残る何かきらめく概念なんやろうな。一つの時代を象徴に託して有終の美を体現できる作品はロマンがあるね、超てんちゃん!
    この作品については先人達が散々考察し尽くしてきただろうし、今の私にわかるのは、この文学がアメリカの地に産まれたことに大きな意義があるということ、そして100年近く経った今も色褪せない繊細で映像的な描写が素晴らしいということぐらいだ。

  • 久しぶりの海外物。ギャツビーの愛した人を振り向かせる為の行動力が凄い。一方、主人公の、親友と呼びかけながら過去を偽装する者、聞き込みをせずに犯人を教唆する者等を全て受け入れていて感嘆。冒頭で主人公の父親が語る言葉が全てなのかもしれない。

  • 華やかな世界を求めたギャツビーの純粋さ、そしてその世界の空虚さが主人公の目から語られる。アメリカ人の好きな古典と聞いていたので、思った以上にシニカルで驚いた。生来の上流階級を空虚なものと捉え、自身の才覚だけで成り上がるギャツビーへの眼差しの暖かさ、中西部的な素朴さへの愛着を思い出すということが、アメリカ人の感覚にフィットするのかもしれない。しかし戦間期のアメリカって独特の雰囲気を持ってるよなぁ。ガーシュインが脳内テーマになりながら読んでました。

  • これぞ文学、観察的でありながら詩的。言葉の力を感じる。ギャッツビィのひたむきさと想いがとても色っぽく切ない。ただ、時代感についていけず共感しきれなかった。

    彼は深い理解のにじんだ微笑を浮べた――いや、深い理解のにじんだと言ったのではまだたりぬ。それは一生のうちに、四、五回しかぶつからぬような、永遠に消えぬ安心を相手に感じさせるものをたたえた、まれにみる微笑だった。一瞬、永劫に続く全世界にむかって微笑みかけ――あるいは微笑みかけるかに見えて――次の瞬間、相手の面上に集中し、あらがいがたい過分の好意をたたえて微笑むのだ。ちょうどこちらが理解してもらいたいだけの理解を表わし、信じてもらいたいとおりの信頼を示す微笑。こちらがひとに与えたいと思う最上の印象を、まさにそのとおりぴたりと受けたとそれは相手に信じこませるのだ。

  • 再読
    した理由は野生の息吹
    アメリカ文学の一面を代表する作品で
    なぜジェイ・ギャッピーが偉大であったのか
    訳文でも伝わる美しい表現で教えてくれる
    一冊を持って
    お話の筋書きでも文章芸でもなく
    ひとつひとつの表現の連なりが納得を生み出す偉大な作品
    青春小説でなく教養小説としたい気持ちが良く分かる傑作

  • 2018/10/15
    大切な人を手に入れたい一心だったのかもしれないなぁ
    そう生きてみたいかも

  • 先輩(男性)に薦められて読みました。私が歴史的な背景を知らないせいなのか、あまり作品の良さがわからず…。なぜデイジーにそこまでこだわるのだろうか、そんなことを考えて読み終わりました。

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1896年ミネソタ生まれ。ヘミングウェイとともに「失われた世代」の作家として知られる。大学在学中から小説を書きはじめ、『グレート・ギャツビー』を刊行して一躍時代の寵児となる。激しい恋愛の末、美貌の女性ゼルダと結婚、贅をつくした生活を送る。しかし、夜ごとの饗宴を支えるため乱作をはじめ、次第に人気を失い、ハリウッドの台本書きへと転落の道を辿る。1940年、再起をかけて執筆していた『ラスト・タイクーン』が未完のまま、心臓発作で逝去。

「2022年 『グレート・ギャツビー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

フィツジェラルドの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×