村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』メッタ斬り! [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 大森さん豊崎さんの対談の収録。いやいやほんとにメッタ斬り!! 村上春樹作品にここまで言えるのはこのふたりだけ!!
    わたしは一応村上ファンだけれども、心のなかで何度も「確かに~!」と叫びました。なんか、ま、村上春樹だから、と、雰囲気ののまれて?なんとも思わずOKとしていたけど、言われてみたらおかしなところたくさんある……。でも、それだけやっぱり文章が「読ませる」ってことなのかな。

    いろいろあるけどいちばん印象的だったのは、つくるが自分のことしか考えてないんじゃ?っていうこと。
    大森さん言うように、名前に色なんて入ってない人がほとんどだし、自分には色がないとか、からっぽだとか、ちらりとも思ったことがないって人はそんなにいないと思うのに、なにをそんなに考え込んでいるんだ、とか。まあ、それが若いってことなのか。若いときはいいけど30代まで引きずらなくても?
    そして、つくるが主人公だからしかたないけど、それでもやっぱりシロがあまりにもないがしろな感じでかわいそうだって気がしてきた。

    シロの殺人事件のほかにも灰田とか六本指のこととか、いろんなことが未解決な気がして、続編が出るんじゃないかってちらっと思ったりも。あるいは、これをもとにした長編が出るんじゃないかとか。

    メッタ斬り!を読んだおかげで、あらためて「色彩~」について考えることができてよかった。あと、今まで、いわゆる「僕」のような、村上作品の主人公についてなにも思うところはない、むしろ好きかもって考えていたけど、そんなに好ましいヒトじゃないかもと思えてきた。わたしがトシとったからかな。そういうことにも気づかせてもらえた感じ。

    • vilureefさん
      こんにちは。

      早くもこんな本が出ているのですね(笑)
      この二人、辛口ですからね~。
      面白そうだな、ふふふ。

      たしかにつくるが...
      こんにちは。

      早くもこんな本が出ているのですね(笑)
      この二人、辛口ですからね~。
      面白そうだな、ふふふ。

      たしかにつくるが悩んでるの、お前は10代か!!って突っ込み入れたくなりますよね。
      もういい歳なんだからしっかりしてって。

      春樹の作品は公平な評価ができない私ですが、偉大なるマンネリで良いじゃないと思ったりしています・・・。
      2013/05/16
    • niwatokoさん
      vilureefさん、こんにちは。
      はい、笑いつつおもしろく読みました! そしてあらためていろいろ考えもしたので読んでよかったです。わたし...
      vilureefさん、こんにちは。
      はい、笑いつつおもしろく読みました! そしてあらためていろいろ考えもしたので読んでよかったです。わたしも一応村上ファンなので公平な評価ができなくて、マンネリっていうのも言われるまでちっとも思ってませんでした。むしろ、ああ村上さんらしくていいわ、とか。
      自分がもっと若いころだったらつくるの悩みにすごく共感したかもしれないけど……。本編を読んだときに、純粋だなという感想をもったのはこういうところなのかも、とも思いました。
      2013/05/17
  • 有料の電子書籍を買ったことがなかったのと、前から気になっていたのとで購入。

    「メッタ斬り」大森・豊﨑コンビの、ボジョレー・ヌーヴォー的ベストセラー、『多崎つくる―』評。大森さんが披露する、発売当日のエピソードにも笑うし、本編がツッコミの嵐でまた笑う。いやあ、カラいカラい。「ハルキストのみなさんが怒ってくるぞ!」とちょっと心配になりながらも、半笑いでざくざく読み進めた。なんだかコミックノベルだな、『多崎』って。

    お二人が、『多崎』の構造・あるいはキャラ的に至らない(と思われる)点をビシビシ指摘されるものの、その底には文学に対するあくなき好奇心と愛があるので、嫌な気持ちにはならない。確かに、大森さんのメインフィールドのSFやミステリのように、設定がきちんとしていないと読者の賛同を得られないジャンルからみれば、いろいろとゆるゆるなのだろうとは思うし、海外文学をつぶさにウォッチしている豊﨑さんからみれば、かつて同世代の新しい文学としてまぶしく見ていた春樹作品が、海外の刺激的な現代文学と比べても「この程度か」的なクオリティに見えてしまって歯がゆいのだろう。たしかに、そこは私も感じるような気がする。春樹作品を追っているよりも、それよりも飛ばした芸風の、素晴らしく面白い文学作品のかずかずに触れているほうが断然楽しいし、自分には合っていると思う。ハルキストのかたには少々酷なもの言いかもしれないけど、「春樹作品を待っているヒマはない」というのが正直なところ。

    でもなんだか、これだけツッコミどころが多いと、かえって『多崎』に興味がわいて読みたくなってきているような気がする。今だったら、どこでも楽々手に入るし。

    併せて収録の『1Q84』斬りも、ボーナス気分で楽しみました。

  • メッタ斬りシリーズから、このふたりの書評をよく読んでいましたが、この超ベストセラーにも噛みつくのですね。そしてすべてが『その通り!』と膝を叩きます。おもしろかった!でもまぁ、村上春樹ってそうゆうもんなんですよ。

  • 春樹の魔法にかけられた私はつっこみどころを「意味深い」と解釈してしまうほど、作品世界に溺れた。けど、豊崎&大森氏の指摘は全部正しいとも思った。春樹もこのふたりも、どっちもすごい!

  • 対談の内容については、まぁすべておっしゃる通りなのだが、それでも好きなのがハルキストなので。

  • バサバサ斬ってますf^_^; ツッコミどころ....全部。
    面白かったです!

  • 思ってたことほとんど全部言ってくれてる。もっと長いものを読みたい。

  • 言ってることはごもっともなことばかり。なんだけど、なんでこんなに読まれるのかについてはどう思ってるんだろ。過去作の高評価と怒涛マーケティングだけなのかなあ。

  • 2013/05/15 購入
    2013/05/15 読了

  • つくるか、なにもかも皆、懐かしい・・・。
    ┌(┌^o^)┐ハルキの文章でヤオイ穴を表現してほしいです。口にだした程度では新機軸としては弱い。

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著者プロフィール

1961年、高知県生まれ。翻訳家。書評家。責任編集を務めた『NOVA』全10巻で第34回日本SF大賞特別賞を受賞。訳書にウィリス『航路』、劉慈欣『三体』(共訳)他。編著に『ベストSF』シリーズ他。

「2023年 『NOVA 2023年夏号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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