竜馬がゆく(五) (文春文庫) [Kindle]

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  • 池田屋ノ変で数多くの志士が新選組に襲撃され、長州は禁門の変で朝敵となり京から追い出され、塾生が倒幕運動に参加したかどで竜馬の神戸海軍塾は解散に追い込まれる。第五巻は斯様に尊皇攘夷派への逆風吹き荒れる非常に物々しいくだりであるが、軍事と政治にのみ焦点が当てられるわけではなく、人物描写、恋の描写、そして季節の描写がたくみに取り入れられ、物語は豊かな色彩を帯びる。
    長州の武人来島又兵衛については時に思わず吹き出してしまうほどだ。主君忠誠のみを信条とする古風純朴な戦国武士は、高杉晋作や桂小五郎など若い藩士の自重説得をまるで聞く耳持たず一喝したり、島津久光暗殺計画も自分で黙っておられず計画を方々に言いふらした結果久光に逃げられたりと、とかくにぎやかで愉快だ。
    神戸の海軍塾を旅装して訪ねてきたお田鶴さまとおりょうの鉢合わせもまた名場面のひとつ。竜馬をめぐってのいわゆる女の戦いであるが、ふたりの心情には異性の自分でも十分に感情移入することができた。
    そして季節の描写は菊の枕の一場面だ。おりょうは寺田屋の菊を残らず刈り落として竜馬のために菊の枕を作るが、逆風真っ只中の竜馬はそれを喜ぶゆとりがない。ふたりはすれ違うようだが決してそうではない。おりょうのせつない思いは秋の香りする菊の枕を介してたしかに竜馬に伝わったと思う。

  • ・防長二洲
    ・池田屋ノ変
    ・流燈
    ・変転
    ・菊の枕
    ・摂津神戸村
    ・薩と長
    ・元治の暮

    竜馬自身はほとんど刀を振るわないが、池田屋の変をはじめ各地で血が流れる。竜馬は戦よりも力を溜め込む時期。大久保、西郷などとの繋がりが深まっていく。さな子、お田鶴様、おりょうとの関係も散りばめられる。

  • 池田屋事件に至る経過とその後の蛤御門の変、そしてたくさんの人が次々と死んでいく幕末。なんでこうも人の命が軽々しく扱われてしまうのか。学ぶべきことよりも反省すべきことが多いという意味で直視しなければならない幕末史なのだなと思う。そして西郷と竜馬の関係が始まるのだが、それにしてもどうしてこの二人はこんなに簡単に信頼関係を築いてしまうのか。

  • 09/02/10読了。


    恥ずかしながら薩長がこんなに仲が悪いとは知りませんでした。。。

  • ますます京都が騒がしくなる。
    「池田屋の変」
    「禁門の変」
    それでもまだ機は熟していないと思っている竜馬は、相変わらず我が道を行く。
    勝海舟を介して西郷隆盛と会いまみえる。
    さあ、役者は揃ったぞ!
    ますます次巻が楽しみ。

  • 勝海舟の影響。段々と西郷さんの影響力が出てきた。

    以下メモ

    ・新撰組の近藤勇、土方歳三は元々百姓の子。

    2018年4月⑤

  • 池田屋、蛤御門、海軍塾解散、西郷との出会い。

  • 池田屋にて薩摩藩・島津久光の暗殺計画を企てるために密かに集まった長州藩を筆頭とした藩士達だが、その情報を事前に察知していた新撰組の池田屋襲撃へと発展する。
    その後も蛤御門の変で、長州藩は悪役に祭り上げられる。
    西郷率いる薩摩が幕府の糸を引き、長州を権力の座から引きずり下ろし、薩摩中心の世へと変遷していく。
    坂本竜馬は幕府によって神戸海軍操練所が解散させられてしまい、密かに株式を発行するカンパニーの壮大な構想を練り始める。

  • さな子の恋心が切ないと思いつつも、ちょっと突っ走りすぎだもんなぁ、と思ったり。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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