月魚 (角川文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 古書店「無窮堂」の主・本田真志喜と幼馴染みの卸専門の古本屋・瀬名垣太一。

    深い感情で結ばれた2人。

    2人の関係がブロマンス(友情)なのかラブロマンス(恋情)なのか判別がつかなかった。

  • とても透明感のある文章で好きです。真志喜たちが古書買付に行った旧家、やはり相見積もりの話になる。そこで町の古書店主登場。なんと行方不明となっていた真志喜の父であった。この査定周りののところがスリリングで良かった。売主のために価値ある本を残した真志喜の父と売主と故人の思い出を大切にした真志喜。査定価格が高かったのはどちらだったのだろう。

  • 古書店の跡継ぎと、古書の卸を手がける二人の青年。幼馴染みの彼らには、子供の頃のように無邪気に交流できない理由があった――。

    古書の買い取り出張をきっかけに二人の過去が明かされていく構成だが、『風が強く吹いている』と同様に先が読めてしまう。またキャラの心情を全て語らせたいタイプの作家さんのようで、会話が冗長に感じる箇所もあった。

  • 古書を扱うふたりのお話。悪気もなく、誰が悪いわけでもない出来事をきっかけに人間関係が不可逆的に変化してしまうというのは経験のあることで、胸が痛んだ。才能がないと分かっていても、どうしても古書から離れられない父親も気の毒に思えてしまう。
    ものすごく起伏があるわけではないけれどすいすい読めるお話で、文章も綺麗で官能的だった。昔の傷が治るわけでも関係が元通りになるわけでもないけど、ずっとこのふたりは一番近くで一緒にいるんだろうなと思える関係性が好き。

  • 三浦しをんの作品は情景描写が美しい。

  • 古本屋さんかぁ。学生時代にはよく行ったのに、最近はあまり見かけなくなったような? 古本屋さんのある街に住んでいないということか……。
    あの独特の雰囲気がいいのにね。


  • 瀬名垣と真志喜という2人の男性が、長い間心に抱えていた傷と向きあう物語です。

    淡々としているのに世界に引き込まれてしまう作品でした。

    BL的な表現に否定的な感想も見かけましたが、些細な所作や台詞から読み手が察することができる程度で、むしろ私は好きでした。

  • 船を編む以来二冊目の三浦しをん作品。
    古書店の日陰と古い本のにおいの中、二人の男性のトラウマと相手を思いやる気持ちが繊細に描かれていてとてもよかった。
    私はBLも読むタイプの人間だけれど、表題作の「月魚」では明らかにBLを示唆する描写があったが、個人的にはなくてもよかったかもしれないと思った。その点において「水に沈んだ私の村」と「名前のないもの」のほうが好みである。
    みすずも秀朗も知っているのかもしれないけど、もう少し二人の間に秘めておいて欲しいような勝手な気持ちによるところもあるかもしれない。

  • 老舗古書店の跡継ぎ真志喜(ましき)と、流れ者の「せどり」の息子である瀬名垣(せながき)の2人の青年。子供の頃の出来事によって互いに触れることのできない微妙なトラウマを抱えながらも互いに人間として惹かれ合う2人が、わかり合って行くための物語。

    景色が浮かんでくるきれいな表現と、2人の間の関係の微妙な駆け引き。「まほろ駅前多田便利軒」を先に読んでいた私が思ったのは、この人は男性2人の寄り掛かり過ぎない絶妙な友情と愛情を書くのが上手いんだな、と思った。


    が、この本では、明らかにBL展開を想像させるような記述があったのがちょっと…(私はBLはどーも苦手)。二次作品がきっとたくさん作られているんだろうなぁ…と思うと、うーん、苦手かも…と。

    文章とストーリーはとても良かったけれど、BL風味が加味されていたところでマイナス。もしも続きがあったとしても読まないなぁ。

  • 美しい。
    読後、最初に感じたのは、美しい、だった。
    静かで、でもうちに秘めた熱いものがあり、それを隠して、なお静かで。
    読みながら、映像が浮かんでくる。
    なんとも言えず、シンプルにおもしろかった。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

三浦しをんの作品

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