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感想・レビュー・書評
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文化大革命の時期はおおよそ1967年から76年までの10年間とされる。本書はその内容と経緯についてまとめたものだが、文革終了の13年後に当たる1989年10月に出版されている。まだ多くの人にとって文革の記憶が生々しく残っていたであろう。
文革は一言で言えば狂信的な共産主義者の暴走だが、反対者が悪と断じて糾弾される様子はディストピア小説のようで恐ろしい。毛沢東への個人崇拝があったからこそ実現したのだろうが、一歩間違えばポルポト派のカンボジアのような悲劇になっていたかもしれない。いや、犠牲者の数としては実際そのレベルだ。
本書の文革の内容に関する記述は比較的あっさりしており、むしろそれを巡る政治家たちの権力闘争が中心になっている。毛沢東と江青ら四人組、林彪、劉少奇、周恩来が何をしてどうなったかがドラマチックに描かれている。中国人の権力闘争というのは日本人のそれとはレベルが違い、比喩抜きで殺すか殺されるかという戦いだが、それが文化というものなのだろうか。
それから指導者は何代か変わり、国民の生活もだいぶ豊になってきているが、現在の指導者である習近平は毛沢東並みの権力集中を図っているとも噂される。文革と全く同じことは起きないとしても、何かのきっかけで似たような暴走が起こることはありえなくもないと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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