インストール (河出文庫) [Kindle]

著者 :
  • 河出書房新社
3.55
  • (14)
  • (15)
  • (22)
  • (3)
  • (4)
本棚登録 : 242
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (104ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  「時代を感じられる小説を三冊紹介してくれないでしょうか?」
    友人にそんな話を持ちかけてみました。
     ゼロ年代から10年間隔での紹介なので、合計9冊を紹介してもらえました。
     
     そのうちのゼロ年代の一冊目が本書でした。
     
     内容は、不登校の女子高生が、同じマンションの男子小学生とインターネットを駆使して稼ぐ、という話です。二人はチャトレをして知り合いの風俗嬢になりきって、がっつり稼ぎます。

     まだSNSが無い時代で、ネット回線は遅いし、動画配信が無いという時代がなせる話だなあと思ったりはしましたが、それはそれ。面白いです。
     
     表題の「インストール」の意味は、作中で女子高生がチャトレすることを決めるときに、「私のこともインストールしてくれるつもりなの?」というセリフがあるように、何者でもない「私」が、新しい自分になる=インストールする、ということだと思いました。

     であれば、ネット用語がじわりじわりと浸透しつつあった時代ということだろうなあと。
     
     そして、私としては作中に出てきた宇多田ヒカルの曲の話が印象的でした。当時の宇多田ヒカルといえば、「Can You Keep A Secret?」(2001)ですので、ロボットとロボットの恋愛PV(今はMVというのか笑)が有名ですが、あの自分も機械であるみたいな感覚がクール感覚なのかなと思ったりもしました。

     本作の自分に何かを「インストール」するという言葉づかいも、自己を無生物に見立てているので、余計にそんな風に感じた作品でした。

     (やっぱり宇多田ヒカルはクールだなあ。)

  • ネットでのつながりに懐疑的な人が多い。顔を見たこともない人とメール交換する神経がわからないと。ネットの方が素顔がにじみ出ることを知らない人なんだなと思った。どんなに隠したって何通かメール交換すれば本質は見えてくる。
    昔,怠惰な時間を過ごした。世間の人が無意味な時間と評価しようが何しようが,ぼーっとしている時間に意味があるとそう言って抵抗していた。世の中に無駄なものはない。
    この本の中に気付いていても気付かぬふりをするそんなやさしさがあった。

  • これもまたすごい小説だった。言葉がすごい。なんという言葉の繋ぎ方、あまりに綺麗すぎる。

    当時17歳? 何者だよ。
    信じられなさすぎる。どうしたらこんなに言葉を巧みに使えるのだろうか。知りたいと思った。

    言葉と、自分の感情を大切に生きてきたのかなと思った。ただ、個人的には物語自体は面白くなかった。あまりキャラが好きになれなかった。言葉がすごく綺麗だからそんなの関係ないかもしれないけど、自分はあまりこういう物語が得意ではない。が、キャラの立場もわかったし、終わりに向かう感じはとても良かった。

  • 綿谷りさの作品って薄気味悪いんだけど、どこか現実世界にあるような不思議な感覚になる。

  • またティーンエイジャーがもやもやを引き摺る話かと最初は読むのを止めようかと思ったが、途中から面白くてあっという間に読み終わった。
    朝子は成長できたのかな。

  • 読み始めたとき、読点が少ない上に、打ってある場所が独特で、ちょっと読みにくい印象でした。途中から気にならなくなったのは、慣れたせいか、それとも作者の意図的な使い方だったのか、よく分からないうちに読み終わってしまいました。映画は、どんな感じに仕上がっているのに気になります。

  • これ17歳の処女作マ?

  • 中高生はネチネチ悩んでなくてはいけないって誰が決めたんだ。
    江戸っこっぽいノリが最高。
    ちゃんと悩みながらも前を向いているのは素晴らしい。
    これもアオハルよ


    2000年のコンピュータがひたすらに懐かしく感じた。

    文体もオシャレ。
    沈、黙。がよかった

  • 2007年09月08日 19:02
    最初の読み出し部分、非常に読みにくかった。

    この語り口、何かに似てるなあと思っていたら思い出した。

    窪塚クンだ!「GO」での窪塚、「ピンポン」での窪塚にそっくりなのだ。語り口が。

    まさしく主人公は、女版・窪塚洋介。

    そう思って読んだら、不思議とスラスラと読めた。

    17歳でこれだけの物語を書けるということは、正直すごいと思う。

    だが一つの小説として読むと、まだまだ物足りないと感じた。

    チャットをやっていて、その関係でもう少しちょっと一捻りあっても良さそうだ。バーチャルとリアルとの関係みたいな。

  • 日常に違和感を感じる女子高生が、小学生の男の子と組んでちょっとエッチな一夏の冒険をする。現実の風俗を背景にありそうもないファンタジーめいた物語がt展開する。
    こういう小説を読んでいると頭の中で岡崎京子の絵柄で再現される。
    雑誌初出が2001年。チャットに使ったパソコンはiMacだったのだろうか。

全29件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

綿矢りさの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×