タイムマシン (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

  • 光文社
3.33
  • (2)
  • (13)
  • (18)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 140
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (171ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ネタバレウェルズにより1895年に発表されたタイムトリップ小説。80万年後の未来はイーロイ人が幸福に暮らす、平和で牧歌的な桃源郷の様相を呈する。身長120センチ、ピンク色の肌と華奢な体躯。裕福な有閑階級は無能で知性に欠けている。一方、モーロック人はイーロイから抑圧され、労働階級は地下に追いやられ、生産労働に従事、しだいに地下の暗黒世界に適応し、夜の闇に乗じて地上に出ては、イーロイを捕らえて食肉とする。80万年後、ウェルズの想像力の豊かさとともに、向上心のない人類は堕落の一途を辿るというのだという教えに共感した。

  • 言わずと知れたSF小説の古典。
    タイムマシンもののSFの原点にして金字塔。この作品がなかったらBTTFもターミネーターも、その他無数のSF名作が今と同じ形では存在しなかったかもしれない。記念すべき作品。

    生産階級と非生産階級がそれぞれ独自の進化を遂げた悲しき人類の進化予想図。当時のイギリスの階級間格差を反映した悲観的な予測が、タイムトラベルという設定そのものよりもセンセーショナルで記憶に残る。

    主人公であるタイムトラヴェラーはモーロック人よりもイーロイ人に親近感を抱いているが、冷静に類似性を挙げるならむしろモーロック人の方が現生人類に近い。そのことを意識してかどうか分からないが、タイムトラヴェラーが現代に戻ってまず言うのが「肉食に飢えてるんだ」だったのがすごく皮肉が効いていた。

    厚みの割に本編が短く、後半4分の1くらい解説だったのがちょっと驚きだった。解説はもっと少なくてよかった。

  • 影響を受けた後続のSFが氾濫していることもあり、新鮮味はない。
    しかしタイムマシンの精緻な描写やディストピア的な世界観の中進む物語はスリリングであり、今読んでも単純に娯楽作品として面白い。

  • タイム・トラヴェラーが垣間見る人類の行く末。タイムパラドックスを扱った娯楽色の強い作品なのかと勝手に考えていたがそうではなく、舞台となるのも過去ではなく80万年後というとあまりにも遠い未来。そしてそこに至るまでの人類の進化の過程には真実味があり恐ろしい。文明は人の一生と同じでピークに達してしまえばあとは落ちていくだけ、という考えかもしれないが、未来には常にわずかなりとも希望を感じていたい自分としては、イーロイ人にもモーロック人にもなりたくないな。

  • SF小説の元祖は今読んでも面白い。未来の地球を一人冒険するタイムトラヴェラーはRPGゲームの主人公のよう。タイムマシンの構造は詳しく言及されないが、作品が発表された当時、産業革命後の機械の躍進と貧富の差の拡大を嘆き悲しみ、その結末を未来を使って見せることが重要だったと思う。ウェルズが生きた時代も21世紀の現代もまだ解明されていない時間旅行が実現された時、この作品は一気に懐かしさと古さを纏う本当の古典文学になるのだろう。

  • 古典的名作だが映画も見ておらず初めて読んだ。

    バックトゥーザ・フューチャーのように過去に行ったり未来に行ったり。。。となんとなく想像していたが、8万年後だったり3千万年後だったりと、想像していた以上のスケールの大きさにびっくり。貧富の差から生じる分断社会の行く末が悲観的に想像されているのがリアルで説得的。

    ハッピーエンドとはいえないラストの余韻をしばし楽しもう。

  • フィクション映画や小説と違って、
    案内人がいないからわからないことばかり。というフレーズはなるほどなと。

    イーロイ人とモーロック人はどうなってしまうのか、どきどきはらはらしながら読んだ。
    前に映画を一度見ているとおもうけど、再度見よう。

  • 『時の地図』の後に読了。時空旅行モノの始祖。
    802,000年先の未来。イーロイ、モーロック。30,000,000年先の未来。映像化された映画(1960年)も見てみたい。

  • 上手な翻訳だと思う。違和感がありませんでした。ウェルズ自身のあとがきにジョナサン・スウィフトの影響があったことが記されているのを見て、さもありなんと思いました。ウェルズの他の作品にも興味が湧いてきました。この本はつい最近に原文を読んでしまっているので、感動はやや控えめ。

  • タイムトラベルものの原点。80万年後の世界では資本家階級と労働者階級の乖離が拡大した結果、別の種族となり、どちらも現人類から退化していた。さらにその先の未来では。。。
    一般的な労働者と資本家の富の差が尋常じゃないほど拡大している現在の状況を予見していると言えるが80万年も待たなくても、人種は滅亡している、あるいは他の惑星に移住している、と勝手に想像を掻き立てられる。 

全17件中 1 - 10件を表示

ウェルズの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×