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感想・レビュー・書評
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言わずと知れたSF小説の古典。
タイムマシンもののSFの原点にして金字塔。この作品がなかったらBTTFもターミネーターも、その他無数のSF名作が今と同じ形では存在しなかったかもしれない。記念すべき作品。
生産階級と非生産階級がそれぞれ独自の進化を遂げた悲しき人類の進化予想図。当時のイギリスの階級間格差を反映した悲観的な予測が、タイムトラベルという設定そのものよりもセンセーショナルで記憶に残る。
主人公であるタイムトラヴェラーはモーロック人よりもイーロイ人に親近感を抱いているが、冷静に類似性を挙げるならむしろモーロック人の方が現生人類に近い。そのことを意識してかどうか分からないが、タイムトラヴェラーが現代に戻ってまず言うのが「肉食に飢えてるんだ」だったのがすごく皮肉が効いていた。
厚みの割に本編が短く、後半4分の1くらい解説だったのがちょっと驚きだった。解説はもっと少なくてよかった。 -
影響を受けた後続のSFが氾濫していることもあり、新鮮味はない。
しかしタイムマシンの精緻な描写やディストピア的な世界観の中進む物語はスリリングであり、今読んでも単純に娯楽作品として面白い。 -
タイム・トラヴェラーが垣間見る人類の行く末。タイムパラドックスを扱った娯楽色の強い作品なのかと勝手に考えていたがそうではなく、舞台となるのも過去ではなく80万年後というとあまりにも遠い未来。そしてそこに至るまでの人類の進化の過程には真実味があり恐ろしい。文明は人の一生と同じでピークに達してしまえばあとは落ちていくだけ、という考えかもしれないが、未来には常にわずかなりとも希望を感じていたい自分としては、イーロイ人にもモーロック人にもなりたくないな。
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SF小説の元祖は今読んでも面白い。未来の地球を一人冒険するタイムトラヴェラーはRPGゲームの主人公のよう。タイムマシンの構造は詳しく言及されないが、作品が発表された当時、産業革命後の機械の躍進と貧富の差の拡大を嘆き悲しみ、その結末を未来を使って見せることが重要だったと思う。ウェルズが生きた時代も21世紀の現代もまだ解明されていない時間旅行が実現された時、この作品は一気に懐かしさと古さを纏う本当の古典文学になるのだろう。
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『時の地図』の後に読了。時空旅行モノの始祖。
802,000年先の未来。イーロイ、モーロック。30,000,000年先の未来。映像化された映画(1960年)も見てみたい。 -
上手な翻訳だと思う。違和感がありませんでした。ウェルズ自身のあとがきにジョナサン・スウィフトの影響があったことが記されているのを見て、さもありなんと思いました。ウェルズの他の作品にも興味が湧いてきました。この本はつい最近に原文を読んでしまっているので、感動はやや控えめ。
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タイムトラベルものの原点。80万年後の世界では資本家階級と労働者階級の乖離が拡大した結果、別の種族となり、どちらも現人類から退化していた。さらにその先の未来では。。。
一般的な労働者と資本家の富の差が尋常じゃないほど拡大している現在の状況を予見していると言えるが80万年も待たなくても、人種は滅亡している、あるいは他の惑星に移住している、と勝手に想像を掻き立てられる。