ひとを〈嫌う〉ということ (角川文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  著者の経歴やらを一切を知らずに読み始め、最初は言い方は悪いですが「この人は強烈、面倒くさいタイプ、これは嫌われる、むしろ可哀想」くらいに思いました。
     しかし読み進めるうちに、嫌う&嫌われるプロフェッショナル(?)ならではの孤独と分析に、なんとなく日常感じていたこと、あるいは理解しにくい人の事を知るヒントを得られ、文豪達の文学作品に準えてくださっているので、教養にもなりました。

    (嫌ってないふりをする人を自己防衛でずるい、と著者はいいますが、私ならストレスで胃がやられてしまい、あえて嫌な物に長時間は向き合えません。自己防衛は体を守る為です。著者はきっと体が強いんですね)
     

    Memo
     嫌いの原因の最終段階(著者のいう⑧番。ちなみに⑦番目が”(初めからorある時からの)無関心”で私は普通こっちが最終段階だと思う) ”生理的•観念的嫌悪感” は感覚的なものでありながらも、無自覚に次の二つに起因されることもよくあるらしい。
     [1]自分が苦労して克服したものを相手がまだ克服してない(する気もない)
     [2]自分の中のマイナス面を相手のうちに見るとき

    ↑二つは似ていて、②番目の ”自分に危害(損失、非礼、羞恥心、劣等感など)を与える 恐れ がある” にも通じ、与えられていたはずのものへのmissing の感覚と表裏であり、退けたものがまだそこにあるleftoverの恐怖

     いい年なのに甘えん坊、自分大好き、他責スタンス、堪え性がなく、感情むき出し...等への嫌悪感は全て上記[1],[2]に当てはまります。

  • 当方接客業。お客さまに好印象を与えるように接している。お客さまはお客さまなので、それ以下になることはないが、大事にしすぎてそれ以上の扱いになってしまい疲れてしまうことが少なくない。
    お客さまに対して、嫌い、という感情を抱くことを無意識にセーブしていたが、嫌いは嫌い、色んな方がいらっしゃるのに全員好きはありえない(実生活ではかなりすぐに人を嫌うのに)。苦手=嫌い、認めてしまうとかなり楽でした。仕事上、態度に表すことはなくとも、腹落ちして過ごすことができるようになりました。

  • 嫌いで良いんだ。

  • 人から嫌われたくない、好かれたい。
    人を嫌いと思っちゃだめだ。

    そういう風に自分を押さえつけて生きていたように思います。

    この本は、人を嫌うことは自然で、だからこそその分好きな人を大切にできたり、人を好きになれるんだと教えてくれました。

    たまにユーモアもあったりして面白かったです。
    妻子に嫌われている著者の自虐的なストーリーが面白かったです。

    そしてもっとはっきりと自分の好き嫌いを信じるべきだと、人がこういうからこうだとか、そういう風に流されていてはいつまでも自己嫌悪から抜け出せないぞと教えてくれました。

    でもあまりにも「嫌い」という単語が多くて、ちょっと気持ちが折れそうになります…マイナスイメージの言葉のせいでしょうか…汗

著者プロフィール

中島 義道(なかじま・よしみち):1946年福岡県生まれ。東京大学法学部卒。同大学院人文科学研究科修士課程修了。ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士)。電気通信大学教授を経て、現在は哲学塾主宰。著書に『不在の哲学』(ちくま学芸文庫)、『反〈絆〉論』(ちくま新書)、『私の嫌いな10の言葉』『私の嫌いな10の人びと』(以上、新潮文庫)、『生き生きとした過去――大森荘蔵の時間論、その批判的解読』(河出書房新社)などがある。


「2024年 『時間と死 不在と無のあいだで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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