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感想・レビュー・書評
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著者はハーバード大学の心理学者、テーマは明日の幸せを正しく予測することです。
なぜ予想するのか?そもそも幸せとは何か?から始まり、予測に失敗する理由(本書ではトリックと呼ぶ)を挙げ、正しく予想する方法を明らかにします。
いろいろなトリックが挙げられてますが、そのうち2つを紹介します。
1.焦点の絞り過ぎ
・自分が応援するスポーツチームが勝った数日後の自分の気持ちを実際より強く予測するのは、それ以外の悪いことを考慮し忘れるから。
2.幸せという感情は遺伝子に支配されている
・子育てや富の形成などを幸せと感じない人は子孫を残すのが難しく淘汰されます。
遺伝子が感じさせる幸せが自分の幸せと一致せず不幸になる。
自分の予測が当てにならないのなら、どう予測すれば良いのでしょうか?
著者はたった今同じ経験をしている人の気持ちを参考にすれば良いと言います。
でもここにもトリックがあって、人は自分は他とは違うユニークな存在だと思いたいのでなかなか参考にできないのです。
トリックだらけですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
①不足している情報の影響力を無視してしまう
②現在の状態に大きな影響を受ける
③立場が変われば見方が変わることに気づかない
という3つの生来的バイアスの存在を根拠に、未来における経験の予測は困難であるという主張を為す本。
このバイアスを乗り越えるためには他者の現在経験を参照することが有用であることも述べられるが、その有用な手法もまた自分のことを特別だと思うバイアスによって適用が困難であることが提示される。
行動経済学系の書籍を1冊でも読んだことがあるならば馴染みのある研究達を論拠としているが、論の方向性が時間軸上の幸福の変遷というテーマに統一されており初めての場合にもたいへん読みやすいだろう。
「研究によれば~」という表現が頻出するが、引用元の表記や詳細な研究モデルの提示はない。(この一般向け書籍にそういった情報を付与することは普及作としての価値を損ねてしまうだろう。)
幸せとは何かについて考える上で、なるべく早期にこの本から影響を受ける時間を設けることは割のいい投資であろう。 -
量も多く、文章も読みやすいわけでもないので、決して面白いわけでもない(funという意味で)が、人間の行動パターンにおける重要な部分について学ぶことができ、非常に示唆に富んでいる。
人間が未来の幸せのために予想したり行動するときに陥りがちな過ちを脳の機能などから解説。これぞ行動経済学という感じの内容。
引用している実験の文献の詳細な記載がないため、「らしい」の域は出ないが、主張は腑に落ちる。
知っていると知らないでは、未来への考え方に大きな差が出そう。 -
原書名 Stumbling on happiness。原書のタイトルに惹かれて読んだ。
未来を予見するとき、どうしても現在の状況に引っ張られてしまい、現在と大きく違った未来を想像できないであるとか、幸せから得られる効用は徐々に減ってしまうので時間(間を置く)か変化(内容を変化させる)のいずれかによって慣れを避けるのが大事とか。
当たらないのに未来を予見したがるのはコントロールすることが心地いいからで、コントロールによって手に入る未来自体が心地いいからではないとか。
前半は特に面白いと思える箇所が多くて好きだった。
後半は若干失速気味に感じたというか読んでいて飽きを感じたけど、幸せについて考えるにはいい書籍だと思う。
幸せかどうかは、次の方法で測ることである程度判断できる、というのも押さえておけると良さそう。
・何らか決めた方法で不完全でもいいから定点的に測る
・時間が経過してからではなくその場その場ですぐに測る
・何度も何度も測る -
誤った未来を選んでしまう脳の仕組みや、どのようにしたら正しい選択ができるのかについての本
行動経済学の本を読んだことがあったので、知っている話もちらほらあった
他人の経験を元に選択する、という解決策を選べない理由で、良くも悪くも自分は独特であり他人とは違うと考えている、というのはなるほどな、と思った
例え話や著者のジョークが多く読みやすかった -
何故、人間は未来の幸せを読み間違えるのか、そしてどうすれば読み間違いを減らせるのか?という本。
本書で紹介しているのは、代理体験(経験者の感想を聞く)だ。ただし、経験人間の記憶は正確でないため経験してから間が空いている人は正しい感想を伝えることができないので、今現在それを経験している人に感想を聞く必要があるそうだ。
人は聞きたいことしか聞かないので、他人の感想も聞きたいようにしか聞かないんだと思うんだけど、それでも自分で未来を想像するよりはマシだそうだ。
他人の感想と私の感想は異なるのじゃないか?と思ったけどそれも、思い込みらしいw
独特な言い回しで言いたいことがぼやけているように思えたのが少し残念。 -
幸福について心理学、脳科学など他面的に解説してくれる本。幸せになるための本ではなく、あくまで科学している本です。
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行動経済学の本。「明日の幸せ」と書いているが、幸せになるための方法が書いてある本ではない。人がどのようにして記憶を作り出し、歪んだ未来を想像するかについて書かれた本である。成功するための方法ではなく、失敗する理由を知りたい人向けだ。
行動経済学関連の本をいくつか読んでいると、書いてある内容はそれほど目新しいものではない。一つ学びとなったのは、未来を自分の想像で予測するよりも、実際に体験したばかりの人に話を聞いた方が正確ということ。人は自分が想定していないことを考慮することはできないし、今の感覚で考えてしまうので。
この本の問題点として、脚注が皆無なところが挙げられる。根拠として様々な研究が紹介されるが、「ある研究によると〜」で済まされ、原典を探すことができない。最低限、研究者名と年は記載すべきだ。これで星1つマイナス。 -
行動経済学のようなテーマだが、人間の脳の不合理性とでも言うようなところを最新の社会科学の実験結果を踏まえて解説している。
人間の脳とは何と都合よくできているのだろうか。
嫌なことは忘れるようにできているし、大きな得よりも小さな損失を気にする。
過去にあったことは気にするが、なかったことは気にしない(しなかった。ということに対してはかなり無自覚ということ)
残念なことに、これは人間の脳が本来備えている特性と言ってもよく、気にしても変えられることではないようだ。
が、知っているのと知らないのとでは少しだけ行動に気をつけるようになる(と思われる)。