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- / ISBN・EAN: 4988111246813
感想・レビュー・書評
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『青い体験』、昨年GYAOで一度観たけど好きな映画なので再鑑賞。ジャンルは「筆下ろしもの」と言われているそうですが身もふたもないので、私は「性の目覚めもの」と呼んでます。性春映画です。
ヒットして、洋画劇場でもよく放映されていたらしい。他の方のレビューによるとエガちゃんが大好きな映画。YouTubeの大川興業チャンネル『エィガ一刀両断』でエガちゃんが熱く語ってるのが面白すぎて爆笑しました。しかもエガちゃんの解説は見るべきツボをちゃんと押さえてる!さすがエガちゃん!
ラウラアントネッリがとにかくかわいい!当時32歳……見えません!今の32歳だと若いなって感じだけど、70年代当時の感覚で、主人公の中学生ぐらいの目線だとけっこうな熟女だよねえ……。
母親を亡くした家族にお手伝いさんとしてやってくるのがラウラ演じるアンジェラ。この名前がもうそのまま、マジ天使ってやつ。天使、神の使者ですね。イタリア映画では大事なポイント。
アンジェラや、友達のお姉さん(ティナオーモン)が着ている服がオシャレだし、家具やキッチンのタイルなどもオシャレで良い。
この家族は男4人で、布の生地屋(日本で言うと反物屋か)のお父さん、お兄ちゃん、主人公ニーノ、下に小さい弟。
お母さんを亡くしたから、中学生のニーノはお母さんが恋しいマザコン的なのと、思春期だからエッチなことを考えるのがごちゃ混ぜになっている。ここもすごくイタリア的。
小さい弟はまだ人の死をよく理解できていない。この生と死の部分、アンジェラはお母さんが死の間際に雇っていて、お母さんが幽霊として家にいるという話がずっとあって……もちろん幽霊ではないけれど、イタリアのカトリックの要素。カトリックって結婚や性交渉に制約があるけど、イタリアの男性って、、ねえ。そこの矛盾がよく表現されている。
ニーノはアンジェラに対して、今でいうとパワハラ&セクハラで色んなエッチなことを要求して、それが段々とエスカレートしていく。
アンジェラの方は、最初は「子供のやることだから」って感じだと思うんだけど……。
邦題は『青い体験』だけど、原題は『Malizia』、英語だとmaliceで悪意という意味なので全然違う。邦題のようなエロい感じはない笑。
エガちゃんの解説で納得したのは、ニーノはS、アンジェラはMだってこと。再鑑賞したら、アンジェラが誘ってんのか?という雰囲気もあるので不思議に思ってたけど、エガ解説でなるほど!と思った。それがラストシーンの、谷崎作品でもよく描かれる「SとMの逆転」につながる。
撮影監督は超一流のヴィットリオストラーロ、32歳の頃に手がけている。ベルトルッチと若い頃から組んでて、『暗殺の森』や『ラストタンゴインパリ』より後の作品。
ストラーロの手腕が感じられるのは、やっぱりラストの追いかけっこのシーン。あのシーンはちょっとホラー映画っぽいのがすごく良い。
監督はサルヴァトーレサンペリで、『スキャンダル』でもストラーロと組んでいる。『スキャンダル』もけっこう良い映画でした。
イタリア映画が面白いのは、色んなジャンル……ネオレアリズモ、ソード&サンダル、マカロニウエスタン(マカロニコンバットやアクション)、イタリア式コメディ、イタロホラー(ジャッロ)、モンド映画、官能映画……と、人脈を追うと色々なジャンルが交錯すること。
観る映画のジャンルって偏ってる人が多いけど(たぶん私もだいぶね)、偏らず、ジャンルに偏見を持たずに観た方が楽しいと思う。
というか、退屈なベルトルッチの映画を観るよりも、『青い体験』を観た方が断然面白いと思うんだけどなあ……(意見には個人差があります)。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20年ぶりくらいの視聴。以前見たときは、ある2つのシーンばかりを繰り返し見ていたのですが(笑)、ストーリーをしっかり追うのは初めてだったりします。
まぁあんな美人でセクシーな家政婦が家に来たら、そりゃざわざわするに決まってます。ニノという少年は明らかに加虐を楽しむSであり、対するアンジェラはMっ気がある。なんで彼女がニノの言いなりになるのか解せないですが、楽しんでいるところがあります。つまり、SのニーノとMアンジェラの利害が一致したということなんでしょう。しかし、最後の最後で攻守が逆転し、アンジェラが加虐する側になる。別にこれは倒錯ではなくて、アンジェラがニノを翻弄して楽しんでいただけなんでしょうけど。
まぁそんな考察はさておき、久々拝見したラウラ・アントネッリのボディは素晴らしいの一語に尽きますね。ありがたや、ありがたや。 -
エガちゃんが絶賛してた映画。古くて単純で退屈だけど、エロガキの青春とその終わりを描くラスト近辺のシーンは秀逸
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この映画を見た時には、衝撃だった。
ラウラアントネッリの美しさに心を奪われた。
この少年のいたづらに、どうどうとうけとめる
不思議な女性に みえた。
こんな女性が みじかに いれば うれしいな。
とさえ思った。
我が青春の 大きな想い出となる 映画だ。 -
制作年:1973年
監 督:サルバトーレ・サンペリ
主 演:ラウラ・アントネッリ、アレッサンドロ・モモ、テューリ・フェッロ、アンジェラ・ルース
時 間:97分
音 声:イタリア:ドルビーデジタルモノラル、日:ドルビーデジタルモノラル
シシリー島の小さな町の朝まだき、生地商のイグナツィオ・ブロカは、アントニオ十八歳、ニーノ十四歳、エンジーノ七歳の三人の息子を残してこの世を去った妻の葬儀をとどこおりなく終えたところだった。
表面、悲しみをよそおっているものの、彼の心の中には病弱でヤキモチ焼きの女房が死んだ安堵感があり、しかも近所の大金持ちの未亡人コラロの挑発もあって、自然と頬の筋肉がゆるんでくるのを押さえるのに一苦労というところだった。
だがそんな状況を一変するような事態が発生した。
若く美しい娘がお手伝いとして彼の家にやってきたのだ。
妻が死ぬ前に家政婦協会に頼んでおいたのだという。優しくよく気のつくアンジェラをすっかり気に入ったイグナツィオは、もう中年のコロラなど見向きもせず、何とかアンジェラの気を引こうとやっきになった。
ところが、その気になっているのは親父ばかりではなく、長男のアントニオもすっかりアンジェラの魅力にまいっていた。
そんな父と兄の態度に反感を持った次男ニーノは、独自のペースでアンジェラに接近した。
学校から帰ればアンジェラと一緒にいる時間はニーノが一番多いことになる。
一方、イグナツィオに相手にされなくなった末亡人のコラロも、ニーノに挑発的な態度をとるようになり、若いニーノのセックスに対する欲望も日に日に昂まっていった。
ある日、ついに我慢できなくなったイグナツィオは、“小さな子供たちには母親が必要だ”とプロポーズ。
彼女は家族全員が同意すればと答える。
狂喜したイグナツィオだったが、ここに二人の強敵が現われた。
一人は田舎で楽隠居の生活を送っている厳格な母であり、もう一人は弟エンジーノを使って、“お母さんの幽霊が出る。
僕たちのお母さんの面影を消さないで”というニーノである。
だが、アンジェラはニーノの幽霊話は彼の嫉妬心が生んだ作り話であることを知っていた。
SEXへの願望と不安に揺れ動くニーノの心を見てとった彼女は、激しい雷雨の夜、ついに自分の方からニーノと一夜を共にするのだった。
翌朝、ニーノは照れくさそうに“夕べお母さんが僕の所にきて父さんの再婚を祝福するって言うんだ”と告げた。
結婚式の日、イグナツィオは何も知らずにただもう嬉びに胸をつまらせ、有頂天になっている。
ニーノはアンジェラに祝福のキスをすると、くったくのない笑いをうかべて“ママ”と呼ぶのだった。