庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオン [Kindle]

著者 :
制作 : 大泉実成 
  • 太田出版
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感想 : 8
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感想・レビュー・書評

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  • 破まで鑑賞済み。最後のあの終わり方はリアルタイムで観ていない上にネタバレしていたのである程度の覚悟があっての最終回だったのでそこまで度肝を抜かれたというのは緩和されていたので…ちぎって捨てたという言及が新鮮で、竹熊健太郎の『エヴァ 』を全編通して見た時に僕が思ったことを正直に言いますと 、一話から二四話まで使って庵野さんはものすごい前戯をやったんだと 。とにかく手練手管の限りをつくして観客を身悶えさせたあげくに 、いざ挿入 、という段になって 、二五 、二六話でいきなり 「セックスとは何か ? 」って議論を始めたようなものじゃないかと (笑 ) 。そりゃ怒る人は怒るよね 。でもセックスなんて射精したら終わりだってのも事実でしょう ?という言及にその時の言い得て妙な空気感を感じ取れたのは面白かった。
    製作スケジュール的にデッドもデッドが良いところだったというのも感じていた違和感が拭えたのも良かった。
    そして、『エヴァ 』はうまい具合に未完のまま着地してほしいですね 。には完全に同意。完結されたものはあとは滅びるだけだからね。でも、破綻はしているけれど、その先の先を余白を生み出しながらも再生しているのが完璧に近い未完の完成ではないのかな。エヴァは。
    マンガ版のぉーー終わらせ方も一つの可能性であり、選択肢の一つではあるがきっちりした生真面目さが却って息苦しかったのもあるし。

    あと、綾波に対しての入れ込みが凄いなー凄かったんだなぁーと(笑)象徴的な存在だったんだなぁーと。
    私の場合はまだアスカの方が興味深い対象だったけど。シンジと照らし合わせて浮き彫りになる自己嫌悪を抱きながらも自己愛性を持つ歪な自己矛盾を抱えた精神構造の再確認に一種の興奮を覚えたけど、庵野秀明の投影、合成人格という言及に少ない情報なりに庵野氏のその人なりを窺うに強迫性パーソナリティー障害も感じさせるのもまた興味深い。
    その根底にある、支える土台が両価性に繋がり、魅力溢れるキャラたちなのかと。矛盾を抱えた存在はやはり魅了するものを内包しているなと痛感しました。

    オリジナリティの話も面白かった。先人たちが積み上げてきたものがある上に成り立っている為にもう完全なオリジナルは無いかも知れないが、先人が積み上げてきた今があっての今だから良いのではないの。あと、寄生獣も「デビルマン」の影響があったみたいなのでいずれ触れたいな〜

  • テレビアニメ放送終了から旧劇場版公開までの間に行われた庵野秀明氏へのインタビューと、庵野氏不在での鶴巻和哉、貞本義行、摩砂雪、佐藤裕紀、大月俊倫などの各氏による言いたい座談会。

    庵野氏のインタビューは1996年に行われたものながら、2021年放送のNHKのドキュメンタリー・インタビューと同様の発言が見られるなど、作品への一貫した態度が伺える。
    面白いのは後半の関係者座談会で、『エヴァ』の企画のきっかけや初期設定から、なぜテレビアニメのラストはああなったのかまで裏話が満載。

    実質的な下巻は『パラゾ・エヴァンゲリオン』

  • エヴァンゲリオンって何か?そして、庵野秀明って、どういう人なのか?
    この本を読みながら、わずかな世代の違いで大きく違う人間が生まれたことを感じた。
    庵野秀明は、1960年生まれ。私と11歳違う。ちょうど61歳。還暦を迎えている。
    団塊の世代から、次の世代の人だ。
    「情報源といったらテレビという箱ぐらいしかない。テレビから情報をもらって生活していて、ある程度信頼している。テレビという箱が圧倒的な影響力を持っている」「テレビがないと生きていけない」と庵野秀明が言っているように、テレビで庵野秀明が作られているような感じを受けた。私の場合も、テレビは小学4年生の時に家にやってきた。その時のテレビは、スポーツを見るのが主だった。力道山のプロレス、相撲、そして野球。家にいて、スポーツが観れるのが嬉しかったが、そこからクレージーキャッツ、コント55号とかお笑いに流れた。
     庵野秀明は、宇宙戦艦ヤマトを2話から録音し、そのセリフを全部覚えたという。記憶力のいい時に、その作業をしたので、それが生きているという。様々なアニメが、庵野秀明の身体を作っていく。「アストロ球団」という1試合完全燃焼という手法がベースとなる。アウトロ球団はロッテと半年もかけて1試合戦っている。「デビルマン」の世界体系につながる。「ハレンチ学園」「マジンガーZ」「機動戦士ガンダム」飢餓感とは、無縁で、頭ででわかっていても体ではわからない。新しい時代の価値観が見つからない。大人にならなきゃいけないけど、どんな大人になっていいかわからない。自己退行。袋小路に入っている。僕らはコラージュしかできないという。自分の体にある様々なテレビから受けた影響を糊付けて物語を作るということか。確かに、私もモザイクみたいにできているだと感じたが、さらに進んでいる。
    庵野秀明の創作の時の没入は、テンションが高く、自分の生身をえぐり出そうとする。様々な断片が絡み合ってモノが想像される。一筋縄では行かない世界。
    父親は戦争で足を失っていて、威厳があり、その父親を殺したいと思う。エディプスコンプレックスであり、母親は、母であり、性的な対象でもある。母に抱かれ、母の継承である綾波レイに憧れる。レイは父親に支配されているというどうにもならない世界が、吐き出されている。
    それが、エヴァンゲリオンだった。敵は常に自分を見つけるために創造される。シンジはあくまでも庵野秀明なのだ。自分のリアリティは、自分でしかなく、もう裸で踊り、チンチンを立てるしかない。
    エヴァンゲリオンは、26話の作品だが、結末がわからない。広げた風呂敷をどうするのか?畳む。ちぎる。捨てるの3つの選択の中で、ちぎって捨てたという終わり方。
    エヴァンゲリオンを作ることによって、もう死ぬしかないという自己崩壊が起こる。自分とは何にもないんだという悩み。
    長い引用だけど、それが全てなのかな。シンジはつぶやく
    「なぜ、生きているのか?自分のため?だけど生きてて嬉しい?楽しいことだけしていたいの?どうして逃げちゃダメなの?もっとつらいことになるから?誰も相手にしてくれなくなるから?
    お願い 、僕を捨てないで!僕には何もない。だから他人の顔色を見てばかりだ。
    褒められたいからエヴァに乗る。だんだんエヴァから離れられなくなる。もっと本当の、不安にならずに生きられる価値が欲しい!僕って何なんだろう?誰も僕のことなんてわからない。自分にしかわからない。でも、自分一人では自分が誰だかわからない。他人がいるから「僕」が生まれる。それは不自由なことだ。不自由を求めるのは自分の意思だ。その求め方で、自分と世界を変えていくことだってできる。ならば、エヴァに乗らない 、違う僕だってあり得る 。僕は自分が嫌いだ。でも、好きになれるかもしれない。僕は僕でしかない 。僕はここにいていいのかもしれない。ここにいたい!」
    エヴァンゲリオンは、戦いながら、自分を探し、自己確立をして、自己崩壊する物語なのか。
    テンション高く走り続け、逃げようとしても逃げられない。

  • アニメ版エヴァンゲリオンの関係者へのインタビューをまとめた本。
    あの作品を作ったのがどういう人達で、製作中どんな状況だったか興味があれば、といったところ。

    庵野監督のエッセイのつもりでいたので、なんかちょっと違うなと思いながら読んだ

  • 裏話ばかりで面白い。あとでパラノ〜の方も読む予定。

  • 2015/5

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