いーさんの感想
2015年10月28日
『放浪記』を書いた人の本らしい。未完で終わってしまっているので仕方ないが、モヤモヤ感が残るのが残念。 平凡な専業主婦の、特にこれといった事件が起こるわけでもない、淡々とした日常を描いた小説。その分、主人公を含め、数少ない登場人物の心の機微や、戦後間もない町の情景などが事細かに表現されている。皆がそれぞれ自分勝手な部分があったり、誤解や独りよがりがあったり、もどかしいがそれがリアリティだろう。
1903(明治36)年生まれ、1951(昭和26)年6月28日没。 詩集『蒼馬を見たり』(南宋書院、1929年)、『放浪記』『続放浪記』(改造社、1930年)など、生前の単行本170冊。 「2021年 『新選 林芙美子童話集 第3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」