最貧困女子 [Kindle]

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  • 幻冬舎
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感想・レビュー・書評

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  • 気分が悪くなってしまった

  • 目を背けてはいけない現実である。
    少女の時にどれだけ大人が寄り添うことができるかが大切だと思う。

  • 家庭環境が悪く、家を出たものの、未成年のため働くこともできず、声をかけられ売春をしながら生きていくしかない女子や、女性のルポ。筆者から見た女性たちの悲惨な生活なども丁寧に描かれている。読めば読むほど、本人たちの処理能力のなさなども目立ち、3つの障害と書いてあったけれど、そのせいでさらに状況が悪化していくことも分かる。たとて支援があったとしても、彼女たちはそこからも逃げ出すのではないか?と思ったりもした。今の日本に、実際このような現実があることを知れた。ナリ心理学のナリくんが読んでたので読んだけど、ネガティブな人にはお勧めできません。

  • 自分とは殆ど縁のない、なかった世界の話であり、異世界か別時代の出来事を読んでいるようだった。本書の中で取材された人々は現在コロナが猛威を振るう中、どうなってしまったのだろう。3つの縁を失った最貧困と定義された人々はもちろんのこと、本書で言及されている、当時マイルドヤンキーと呼ばれた若者たちも今では40近くなり、当時のような関係性は続けていられるのだろうか。彼らのその後が知りたくなった。

  • 難しい問題。
    って、それで思考停止しちゃいけないけど、筆者がずっと追い続けられなくなる気持ちはすごくわかる。必要なところに手が届かない現実……
    自分が想像してた以上に信じがたい現実があること、この認識が広がるだけでも違うのだと思いたい。

    本文より
    人は低所得に加えて「三つの無縁」「三つの障害」から貧困に陥ると考えている。
    三つの無縁とは、「家族の無縁・地域の無縁・制度の無縁」
    三つの障害とは、「精神障害・発達障害・知的障害」

    貧困とは、低所得は当然のこととして、あらゆる人間関係を失い、もう一歩も踏み出せないほど精神的に困窮している状態。貧乏で幸せな人間はいても、貧困で幸せな人はいない。

  • 現実と誤解、怖い

  • 最貧困女子
    著者 鈴木大介
    幻冬舎新書
    2014年9月30日

    クローズアップ現代が取り上げるなどして、最近、また貧困女子が注目を集めていて、何冊も本が出ているが、去年出たこの本はその代表選手。図書館の予約がなかなか回ってこず、同じ著者が今年書いた「最貧困シングルマザー」が先に回ってきたほど。もちろん、そちらも読んだ。

    低所得のマイルドヤンキー(プア充ともいう)と、貧困女子、そして、最貧困女子の違い、どれだけの人が分かるだろう。
    働かないやつが悪い、で片付けようとする自己責任論者には、まず違いは分からないだろう。いや、分かろうともしないことだろう。著者が数多く取材した体験から、最貧困女子の多くが虐待や育児放棄などにあい、自己が崩壊している状況。自己が崩壊している人に自己責任などという話は通じない、と主張している。

    著者によると、最貧困女子には、三つの無縁と三つの障害から陥りやすいという。三つの無縁とは、「家族の無縁・地域の無縁・制度の無縁」。彼女を救う、支える家族や地縁がない、そして、彼女を救える制度の不備、制度を知らない。三つの障害については「精神障害・発達障害・知的障害」。これに含まれるかどうかは分からないが、母子家庭に育ち、母親に障害があるというケースも紹介されている。

    マイルドヤンキー(プア充=プアでもそれなりに充実)は、年収100数十万円で普通ではやっていけないが、ぎりぎり節約し、仲間内と連携して例えば車の相乗りをするなどして、なんとかやっている女子。地元を離れない、親に金を借りたら将来、必ず返す。でも、少し楽しみのもしたいので、週一デリヘルなどのセックスワークもする。

    貧困者は、売春のないセックスワーク(性風俗)にとどめたいが、売春ワークをする子もいる。
    しかし、一番悲惨なのは、それ以下。中には売春ワークすらできない、相手にされない子がいる。具体的には、不細工な子。しかし、性格にかわいげがあるとまだなんとかなるらしい。障害や病気など、メンタル面で問題があると、突然暴れるなどして、どうにもならない面倒くさい存在になるらしい。

    しかも、プア充の女子たちが、少し下のセックスワークに進出してくると、押し出され、最貧困女子は増えるという構造。また、「美人揃いで全員生本番OK」っていう韓国系デリヘルが台頭してきているなど、環境は厳しくなるばかりらしい。

    手足が不自由なら、見た目に分かりやすいので、周囲や道行く人も手をさしのべる。でも、メンタル面の障害は分かってもらえない。いや、障害とは限らない、悲惨な幼少時の体験もある。電車の中で突然大声を出すわがままな子、と決めつけられてきたアスペルガー症候群や自閉症の子については、少しずつ知られてきて理解が広がってきた。学習障害なんかも、昔と違って切り捨てられるばかりではなくなってきた。しかし、メンタル面での問題は、知られていないものがほとんど、存在が明らかになっていないものもおそらく山ほどある。

    この本を読んで感じたこと。最貧困女子に目を向けないと、日本は滅びる。ますます人口は減っていくばかり。
    彼女たちは、本人の“甘え”でそうしているのではない。自己責任だとすませてはいけない。実情を知って目を向けるのが、我々の義務である気がしてきた。

  • 最貧困の女性とはどんな生活をしているのか確認してみたくて買ってみました。
    生まれた時の環境にかなり左右されるようで、読んでいていたたまれなくなった。
    途中から面白い内容も無さそうだったので、読むのをやめてしまった。

  • 著者は貧困の原因を低所得に加えて「3つの無縁 (家族の無縁・地域の無縁・制度の無縁)」と「3つの障害 (精神障害・発達障害・精神障害)」と考え、そこに至るまでの取材活動のエピソードを記している。その中でも特に「女性」にフォーカスし、セックスワークの世界に吸い込まれる社会構造を考察している。

    あまりの生々しさに、人によっては読むのが辛いかもしれないが、実態を知るには有益な一冊。ただ筆者も自身で言及しているが貧困に関する考察は乏しく、もやもや感や無力感やが残るので注意。貧困について詳しく考察するなら、セルジュ・ポーガムの『貧困の基本形態―社会的紐帯の社会学』をお薦めしたい。
    https://booklog.jp/item/1/4787715119

  • 「顔ブス」「デブ」「バカ」「性格ブス」の女は、どうやったら生きていけるのか。
    どうすれば幸せになれるのか、ではなく、どうすれば生きていけるのか。

    親と折り合いが悪く、弄りに乗らないから表面上ツルむやつもいない。
    そんな女はどう生きていけばいいんだろう。

    ブスでバカでデブで寄生虫(男)も寄り付かないなら生きてる価値がない。
    記筆者にではなく、社会にずっとそう言われ続けているようで、しんどい内容だった。

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著者プロフィール

1973年千葉県生まれ。文筆業。子どもや女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし、代表作として『最貧困女子』(幻冬社新書)などのあるルポライターだったが、2015年、41歳のときに脳梗塞を発症し高次脳機能障害が残る。当事者としての自身を取材した闘病記『脳が壊れた』『脳は回復する』(ともに新潮新書)が話題に。他にも、夫婦での障害受容を描いた『されど愛しきお妻様』(講談社)『発達系女子とモラハラ男』(漫画いのうえさきこ。晶文社)、当事者視点からの実践的な援助ガイドを試みた『「脳コワさん」支援ガイド』(日本医学ジャーナリスト協会賞受賞。医学書院)、当事者と臨床心理士との対話を記録した『不自由な脳』(山口加代子氏との共著。金剛出版)などの著書がある。

「2021年 『壊れた脳と生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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