合本 燃えよ剣(上)~(下)【文春e-Books】 [Kindle]

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  • 土方歳三の組織論が興味深い一冊。

    生家の薬草採集・製造のため、毎年その時期に集まる百人にも及ぶ人々をまとめ、効率よく仕事をさせていた。
    そこで、学んだことを、新選組に持ち込んだのだと思う。

    覚えておきたいこと。
    ・各肩書の響き、外見はどうでもいい。その組織の指示系統から見て実権を握れる(評価、業務詳細指示)ポジションをいかに味方を押し込むか。

    ・トップ中のトップは、”神格化”する。良いことだけ言わせる。そして、”その人のために頑張ろう”と思わせる。その代わり、その下の人間が嫌われるような指示を出す。役割分担をする。

    ・組織命令がどれだけ早く伝わるかが、その組織の機動力を決める。責任を分けるのがどの範囲で、1ラインにしておくのがどの範囲なのかが大切。
     *ラインにすれば早いが、キャパを超えるとそこがボトルネックになる。

    ・ルールを作る。守らなければどれだけの罰を受けるか、徹底的に示して初めて、ルールは組織の中でいきる。

    ・風林火山。

    ・戦いの勝負の差をつけるのはモチベーション

  • 言っちゃうなら「喧嘩っ早い片田舎のヤンキー」だ、土方歳三は。そんな彼が時流に乗って「ひと旗あげたる」って新撰組を作ったわけですが。
    時代の変わり目は不安定でありながら、ある意味持たざる者にとってのチャンス。ただ凄いのが、文字通り「命を賭けてる」ってこと。その功名心の凄まじさ。教養も知性もないが、あるのは度量とケンカの勘。剣一本で人生を”斬り”拓いていく。
    そんな彼もさらに大きな時代の波に飲み込まれていくわけなんですが。
    ほんとに「勝てば官軍」ってことと「諸行無常」を痛感する。

    やっぱ幕末って面白いなー!
    もっと勉強しよう。

  • 土方歳三の短くも燃えるような生涯が愛おしい。

  • 司馬遼太郎 「 燃えよ剣 」読了。土方歳三の戦いの美学(武士の道)を描いている。組織におけるナンバー2論としても読める。時勢、国家、勝敗のために戦っているわけではない所に 著者は目付けしている

  • 「燃えよ剣」(司馬遼太郎)を読んだ。土方歳三!
    あの時代だからこそ輝けたのか?
    たぶんそうじゃないだろうな。
    いつの時代にいても自分の美学を貫き通したに違いない。
    『「男の一生というものは」と、歳三はさらにいう。「美しさを作るためのものだ、自分の。そう信じている」』(本文より)

  • 功名が辻に続いて司馬遼太郎二作品目。
    評価が高いから楽しみに読み始めたんだけど……期待値が高すぎたかな苦笑。
    土方さんは確かにかっこいい。てか、沖田との関係性に萌える。
    ただ、ものすごい沢山の名前がでる割にサラサラと流れていくから惜しいような。

    個人的には功名が辻の方が面白かったような……幕末はキナ臭さがあるからかなぁ。

  • 途中で取材日記的なものが入ってシュール

  • 文庫本も持ってるけれど、合本が安くなってたので買い
    新潮文庫のシリーズも安くなればなあ

  • 日本史における最もダイナミックな時期といえば戦国時代と幕末だけれど、その幕末期の動乱の中で一際輝いた集団「新撰組」を描いた本。
    土方歳三が単に殺人集団を束ねる天性の喧嘩屋であっただけでなく、同時に武士道というものを純粋に体現しようとした思想家であったことが、後世において彼の人気を不動のものにしたといっていい。武士の出身ではない土方が武士道を本質的に理解し実践し続けたというのはある意味において江戸幕府が滅んだ原因を示しているのだけれど。
    土方の最期の土地とされる函館は僕の好きな街なので、いつかまた行ってみようと思う。
    でも、「竜馬が行く」を読むと坂本竜馬に感情移入して新撰組を敵対視したくなるけど、「燃えよ剣」を読むと新撰組に肩入れする。ああ単純。

  • 幾つもの舞台やドラマで用いられる事が多い彼らは、徳川幕府から明治への時代の移り変わりの中では極左勢力であり時代遅れの考えをいつまでも引きずっていた者たちという印象を持たれがちだ。NHKドラマ「新撰組!」では近藤勇を主人公とした物語であり、全て見たのだが、後半を覚えていない。そこで再度新撰組について勉強するつもりで手に取ったのだが、司馬遼太郎の著書については一度も読んだ事がなく、本書の主人公が近藤勇でなく鬼と呼ばれた土方歳三であった事に驚いた。武州の百姓である土方が鬼と化すまでの死闘と因縁、新撰組創設に至る時代の流れ、新撰組の栄枯盛衰、大政奉還から土方の最期の地、函館までの物語が彼の人間性を含めて描かれる。既に時流に乗り切れなくなっている事が判っていても「侍よりも侍らしく」の旨とする彼は最期まで時代にあらがい続ける事になる。彼は忠誠よりも喧嘩師として一度与した側で最期まで戦い続けた、あまりに純粋な人間であったからこそ判官贔屓もあるとはいえ現代の人々の心を打つのだと思う。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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