大モンゴルの世界 陸と海の巨大帝国 (角川ソフィア文庫) [Kindle]
- KADOKAWA (2014年12月25日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (345ページ)
感想・レビュー・書評
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本書を読もうとしたのはとあるゲームが発端。
ゴーストオブツシマというオープンワールドゲームで、
元寇があった日本が舞台である。
その時に日本に来襲した軍団がフビライ・ハーンの軍団だった。
元軍というと野蛮な蛮族という印象が日本では根強い。
日本の土地、對馬に渡って来た時に殺戮の限りを尽くしたと言われている。
教科書ではそう書かれていた。
だが動画のコメントでは、そうではない、とあった。
それが気になった本書を手に取ってみた。
読んでみて大正解であった。大変面白かった。
蛮族というのは失礼かと思うくらいの完成度の高い民族であった。
戦争する際も基本的には戦わずして勝つを基本にしている。
戦術、戦略、謀略を駆使して最小限のちからで、攻略する。
征服した地を治めるのもよくある圧政や暴政ではなく、
税金さえ納めればあとは放置みたいな変わった形態。
世界帝国になってからはモングル軍団を基礎とする軍事力と
イスラム商人を中心とする行商経済力。
これら2つの柱で大国家を運営していく。
特に興味深かったのはかなりの重商主義だったことだ。
騎馬軍団を基礎とするモングル国家がイスラム商人と仲良く重商社会を築く。
軍事力を背景にユーラシア大陸、左は東欧に右は日本、中東方面も。
ほぼ世界を席巻した世界貿易網を駆使してお金儲け。
そして中心にいるのはモンゴル人とイスラム人だけでなく、
キリスト教系、漢人系もいた模様。
まさに多人種国家と言っていい構成。
他の諸国には恐ろしい恐怖政治を敷いた軍事国家と言われているようだが、
モンゴル帝国が無くなったあとの世界のほうが衰退して見える。
まだまだ分かっていない歴史がたくさんあるようで。
それらが判明した時には、是非とも書籍化して欲しい。