終わりの始まり──ローマ人の物語[電子版]XI [Kindle]

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  • 新潮社
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  • 誠実で公正、勤勉という人間としては非の打ちどころのないマルクス・アウレリウス帝であっても、国防という皇帝の責務を十分に果たせなかったというのは考えさせられるものがある。天才的な政治的能力を有したアウグストゥスもゲルマニア侵攻というミスを犯したが、後を継いだのはティベリウスだった。この点でも、他の選択肢がなかったとはいえ、コモドゥスを後継者に指名せざるを得なかったマルクス・アウレリウスは「持っていない」というしかない。若い時に軍の実地経験を積んでいたら...または書物の上だけでも軍事について理解していたら...カシウスの反乱がなかったら...コモドゥスがいないかもっと幼く、他の後継者を指名できていたら...あまりに気の毒だ。

    コモドゥスも暴帝というよりは「趣味に走って何もしなかった」感じで、コモドゥスが帝国を傾けたというより、コモドゥスの後を継ぐための内乱で国力と人材が消耗したことの方がダメージとしては大きかったのではないだろうか。

    セヴェルスの「やるべきことはやっているのだが、過去の偉大な皇帝と比べると器の小ささや先見性のなさが目立つ」感が何とも哀しい。

  • 五賢帝最後のマルクス・アウレリウスと、その後の混乱。ローマ帝国「終わりの始まり」。

  • 文章はうまいし、面白かった。
    人類の歴史は、悪意とも言える冷徹さで実行した場合の成功例と、善意あふれる動機で始めれたことの失敗例で、おおかた埋まっていると言ってもよいのかもしれない。

  • 死んでしまえば同じだが、昔のローマ人には死にざまを飾る矜持があった

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