リリイ・シュシュのすべて (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • すごかった。
    ばかみたいですが「すごかった」というのが率直な感想です。
    一気読みでした。
    なんともいえない、読み終えた後からじわじわとせつなくなってくる。
    「せつない」って言ってしまうのは、この作品に対しては不適切かもしれないけど。人間にあらかじめ仕組まれた不完全さや汚れ、誰の心にも巣食っているであろう醜さ弱さ狂気をむきだしにして目の前に出されたような、それでいて、それを赦したくなるような、泣きたい気持ちになりました。

    映画版はもう二十年ほど前に観て、衝撃を受けてあの時もしばらくリリィ・シュシュの世界から抜け出せなかったけど。あらためて小説を読んだら、映画の続編のような展開で(あらすじ的に映画とは異なる部分もあるけど)、映画を先に観ていたので読みやすかったです。

    排除、という印象を最後まで読み終えて強く感じました。リリィを穢すものは死に値する、排除する。自分が愛している世界を邪魔するやつはいらないっていう感覚が一貫している。二十年前の作品とは思えないほど、現在のネット社会が生み出している精神的な危うさに通じるものがありました。

    今回、図書館で借りて読みましたが、ぜひ手元に置いて定期的に読み返したい一冊。でも、電子書籍しかないんでしょうか…。

  • 中学生時代のあの頃、僕も掲示板に張り付いていたから、あの独特な雰囲気がすごくよく分かる。
    ファンサイトの、外から見たら異様な内輪ノリと、同時進行で進んでいたであろう残酷な現実。
    後半のサティの独白を踏まえて、改めて前半の電子掲示板の流れを読み直したい。

  • 序盤は電子掲示板で複数の登場人物のやりとりで話が進んだんだけれど正直話が入ってきづらかった。
    しかし、一昔前のインターネットを介してのやりとりっていうのは今よりも匿名性が高くて仮想世界というのがミソだった。本編どこかで出てきた仮想世界と現実世界の境界線が曖昧になった故の事件だった。後半のサティ目線になってから一気に読んだ。映画はまた違う内容かな?楽しみ

  • めでたく電子書籍で発売されたので、早速購入。大喜びで、古びた本は捨ててしまった。
    けれど、いざ読んでみたら、捨てなきゃ良かったと後悔。この作品の少し変わった構成をすっかり忘れていた。
    章が変わるごとに入るリリィの歌詞が、電子書籍だとつぶれちゃってて全然読めない。そして本と同じく横書きなので、タッチする場所が逆でそれもちょっと面倒。
    いっそ電子書籍でうまく縦書きにして、歌詞とかもちゃんと読めるようにして欲しかったな、という小さな不満が残る。

    ともあれ、作品は素晴らしい。
    何回読んでもやっぱり面白い。数年に一回、ふと読み返すけど、その度に一気に読み切ってしまう。結末を知っていてもやっぱり引き込まれる。
    こんな残酷な生活を送る14歳なんてあまりにもつらい。怖い、思春期の残酷さって何でこんなに無限なんだろう。他人が傷つくことなんて、きっと想像もつかないんだろう。そんな彼等を包むリリィのエーテル。
    映画も素晴らしいし、小説も素晴らしい。どっちもどっちで、やっぱり素晴らしい。だから両方見て読むのが一番なんだろう。
    本を読んで映画公開を待ちわびたわたしとしては、やっぱり本を最初に読んで良かった記憶がある。
    けど、本を読んだのと同じぐらいの衝撃を、映画を見て受けた。だから、やっぱりどっちもチェックしておくのが一番。

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著者プロフィール

映像作家。1963年1月24日仙台市生まれ。横浜国立大学卒業。主な作品に映画『Love Letter』『スワロウテイル』『四月物語』『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』『ヴァンパイア』『花とアリス殺人事件』『リップヴァンウィンクルの花嫁』など。ドキュメンタリーに『市川崑物語』『少年たちは花火を横から見たかった』など。「花は咲く」の作詞も手がける。

「2017年 『少年たちは花火を横から見たかった 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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