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感想・レビュー・書評
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買って5年目にしてようやく読了。当時は、やや強引な理論展開に無理を感じて、初めの方だけ読んで放置していたのだけれど、光秀はかなりイケメンだったとか、自領で良政を施いて臣民に慕われていたとか、アジアの植民地化を競う欧州列強が当時の日本の軍事力や戦国武将を利用して中国を手中に収めようと考えていたことがイエズス会文書に残されていたなど、折々耳にするエピソードに興味を惹かれていたこともあり、このステイホーム中に久しぶりに手に取ったのだった。
なるほど、勝者の書いた歴史の中で歪められ秘匿された真実は、長く語られてきたストーリーと異なるというのはあるんだろうな。一族や領民の生存と繁栄に責任を負う人間が、衝動や怨恨で謀反を起こす訳はないというくだりは説得力があった。
利休切腹の考察も面白かった。昔、茶道に没頭していた頃は、侘び茶という世界観を創造した偉大なる芸術家としてしか利久を見ていなかったので、辞世の句の意味が何一つ理解できなかったのだが、ここに描かれた文脈の中でみると、あの「渾身」を歌にしたような激しい一句に込められた利休の思いや覚悟が見えてくるようだ。
真実は依然歴史の闇の中とはいえ、新たな視点を切り開く面白い一冊だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
割と納得できる筋立てだった。ありえそう。
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先にこっちを読んでから「織田信長 四三三年目の真実 信長脳を歴史捜査せよ!」を読むべきだったのかと思わなくもないけど、まぁ重なってる部分は仕方ないけど、光秀はもちろんだけど、3英傑、千利休の切腹のくだりまで考察されてて、面白く読めた。
信長が生きてたら、光秀が生きてたら、家康が葬られてたら… いろいろと if に思いを巡らせずにはいられない。 -
「借」(バイト先の先輩から。)
誰でも知っている歴史的事件の一つ、本能寺の変。
どうも通説に違和感を感じていただけに、
読んでいて納得した。
もちろん、この本にある通りであるとは言えないけど、
通説よりは納得出来る。
謀反ってどれだけリスキーかはたぶん現代社会では理解できないっていうのもあるのだろうけど。
歴史好きは読んで損はない。
ちなみに筆者は明智家の血筋の方です。 -
思っていた以上に論理的な解釈をしていたので、大変面白かったです。
なんでもそうなんですけど、定説を覆すのって難しいですよね。学校で教えることがすべて正しいわけではないのに。
そんなことを強く思った次第です。 -
面白かった。いかにも理系らしい論理展開。勿論,史料の真偽を判定するのは難しいし,自分の推論に合うように解釈していると感じられるところはあるが,それは仕方のないところ。これまでの諸説と違って,ちゃんと全てのピースがハマるようにまとめているところが良い。ちょっと推理小説のようだった。
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なるほど、大きなリスクを背負って起こす謀反なのだから、それなりの動機があるのだろう。長曽我部遠征の前日に決行されたのも興味深い。唐入りがこれほどまでに当時の大名たちをナーバスに追い込んでいたとは。
本能寺の変は信長による家康暗殺計画だった。土岐氏再興を目指す明智はその計画を逆手にとって家康と結び、連合政権を作ろうとした。誤算は秀吉の動き。想定よりも早く動いた秀吉を抑えられず、家康と合流できなかったために敗れた。明智光秀と徳川幕府の縁の深さもなるほどうなづける。秀吉は信長の後継者ではなく、簒奪者だった。秀吉が作った惟任退治記によって、その事実は歪曲され、今日の定説が出来上がっている。歴史研究ではなく、歴史の推測ではなく、捜査という観点から本能寺の変を解釈したのはとても面白い。ただ、これは本ではなくドキュメンタリーやドラマで見たい。 -
信憑性のある仮説。
しかし論理展開が雑なことと感情が先走っていることから、主張がただの妄想に見えてしまっている。文中からは、著者は現実的な史料の読み解き方をしているように思えるので、根拠をもっと丁寧に説明すれば説得力が出るのにと思う。