ぼくは勉強ができない (文春文庫) [Kindle]

著者 :
  • 文藝春秋
3.77
  • (34)
  • (28)
  • (32)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 611
感想 : 32
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (221ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • まずタイトルが秀逸でついつい手に取ってしまう本。その割にかなり前に購入後、眠っていたが今回読了。勉強ができないはずの主人公がかなり優秀であり、そこそこモテる。タイトル詐欺?って思いながら、期待していた内容とは裏腹に学校教育、先生について考えさせられた。当時、自分が学生時代になんの疑問も抱かず普通にやっていた、前にならえ、小さく前にならえ…何それって
    確かに今さらながら感じた。
    洗脳やん。一度も社会に出ることなく先生と呼ばれる大人の考えを刷り込まれる小学生など、確かに考えれば考えるほど、ゾッとする。全ての教師がそうであるはずないが、教師の世界でも、同調圧力はあるし忖度はあるし、やはり学校という場は、この多様性の時代だからこそ見直されて然るべきだ。

  • ほらほら、悲しみは、おなかをいっぱいにはしないわよ。仁子

    自分は、自分であるってことを解っている人間にしたいの。人と同じ部分も、違う部分も素直に認めるような人になってもらいたい。仁子

    秀美くんが良い感性をしてるのは、こういう仁子さんの言葉があったからなんだろうな〜

  • 私は現在教員であるが、どこか教員としてなにか教えなければならないと考え過ぎていたかもせれないと気付かされた。恋人の桃子さんや母親との会話からは不思議と幸せな脱力感のようなものを感じた。句読点の多い文体が読み始めは気になったが、すぐに慣れた。肩の力を抜くのにもよい作品だと思う。ここに書く段階では忘れてしまっているが、読んでいる段階ではさらに多くの細かな感慨を受けていたはずである。それを常に心にとどめておけないのは残念であるが、然るべき時や、この本を再読した時に思い出すことができるのとを願って、読了とする。

  • 『ぼくは勉強ができない (新潮文庫)』が正直かなり面白かった。

    主人公の秀美は「僕は勉強ができない」という通り、
    優等生ではない。かといってまったくの不良かというとそうでもない。

    真面目に考えて、真面目に不真面目に生きている。
    それが面白いし考えられさせもする。

    年上の彼女の桃子さんやクラスの悪友たち、そして頭の固い大人たちなど、秀美の周りの人間も自分の人生をそれぞれ自分なりに考えて、ぶれたりずれたりしながらも必死に生きている。

    登場人物は必至で考えながら生きているが決して暗くはなく、むしろ明るくバカをやってる。

    それが魅力であり、この小説の特に面白いところは、会話の返しや考え化が絶妙にユーモラスなところだ。

    「桃子さんのような大人の女は臆せず生意気でない礼子のような女の子が大好きなのだ」

    というような核心をついた発言があったかと思えば、

    「なぜ君はそんなに吝嗇なんだい?」
    「処女だから」

    といったように人を食ったような発言が出る。

    友人が死んで涙した友人に対し、

    「なんだよ、泣くなよ。そこまで親しくなかっただろ」

    という慰め方も本書ならではだと思う。

    ーーー

    個性的な登場人物が多いその中で、秀美の母親、祖父と担任の桜井先生は一味違う。

    生き方に迷いがない彼らは秀美のよき師であり悪友でもある。

    本書から学んだことは、やはり家族との関係性、常に自分を支えてくれる人の存在の大きさだ。

    秀美は父親がおらず母親と祖父母との2人暮らしだ。
    だが、その2人からしっかり愛されていることがかなりよい影響になっているということははっきりと見て取れる。

    秀美が世の不条理に立ち向かうことができるのは、自分の存在を受け入れてくれる人がたちがいるからこそだと感じさせられる。

    普段は老いてなお盛んなくそじじいっぷりを発揮する祖父も孫が困っているときはしっかり相談になる。

    以下の言葉はかなり深いと思う。

    「そんなつもりでなくやってしまうのは、鈍感だということだよ。賢くなかったな、今回は。おじいちゃんのいってることがわかるか。」

    ーーー

    今のご時世、昔からかもしれないけども、
    言いたくても言えないこと、漠然と感じていた納得のいかないこと、それらと正面から向き合いつつも、明るく楽しく過ごしているこの小説は、まさに閉塞感をもっている人に読んでほしい1冊。

    最近読んだ小説の中で最もよい小説。オススメ!

  • 素晴らしすぎる、これをもし高校生時代に読んでいたら私はどう感じたんだろう、悔しい気もするけど今出会えてよかったとも思う
    ぼんやり思っていることを綺麗に言語化されることの気持ちよさと歯痒さ
    登場人物が全員魅力的

  • えっちなお姉さんはどの時代も人気なんだなとしみじみ

  • 青春真っ只中の学生時代に読むと素直な気持ちで自分を見つめられると思う。

    「でも、おまえ、女にもてないだろ」
    「女の子のナイトになれない奴が、いくら知識を身につけてむだなことである。」

  • 図書館で新たに電子書籍が始まった際に懐かしくて再読。以前と違う視点で読んだ気がする。こんなにも周りの人達が良い味だしていたんだ。現在の教育現場って少しは改変されているのだろうか?

  • 今の高校生ってこうなの?!自分も高校生だけど(笑)
    ユニークという言葉だけでは収まりきらない時田くん、何も知らないようで何もかも知っている彼はどれほど魅力的だろうか。よくある高校生の日常小説と思いきや、奇抜な内容がたくさん。それでも野蛮男子高校生の素も決して隠さない、共感できる内容もたくさん。
    周りに馴染む、馴染まないとかそんな考える暇があるならモてる努力をしろと言ってきそうですね:)

  • オーディブル。最初下手な読み方だと思っていたが、高校生の独白文と下手さが合ってきて、なんだか面白かった。話も素晴らしく、文字でも読んでみようと思う。

全32件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山田詠美の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
森 絵都
朝井 リョウ
山田 詠美
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×