火星の人類学者──脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF) [Kindle]

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  • 7人の特徴的な患者についての観察記とでも言うべきもの。
    色盲の画家、盲目なのに「見える」と主張する逆行性健忘症の元信者、視力を取り戻した男の悲劇、過去の記憶に縛られた画家、写真記憶がある自閉症児、激しいチックの症状を抱える外科医、動物と心を通わせる自閉症者…どのエピソードもとても興味深い。

    脳のことはまだまだよく分からず、この作品を読んでも結局のところはよく分からない。
    しかし、登場する7人の不可思議な人生は哀しみだけではない。
    様々な困難はあるものの、人生の成功を成し遂げた人もいるし、障害を得たことを前向きに捉えて「元通りになりたくない」と述べる人さえいることに感嘆した。

    翻訳物にあるあるの読みにくさはほとんどナシ。それは筆者のまるで小説のような筆致によるものだ。
    映画化されるという話もあったようだが、結局どうなったのか。立ち消えしたのだろうか。ぜひ観たいものだ。
    作者は既に故人ということだが、その今際の際に体験したことは、きっとあの世で本にしているだろう。

  • エピソードが非常に多く引用されている元ネタ本的に読んだ。

  • ある患者は動物の気持ちはわかるが、人間の気持ちがわからず、火星の人類学者のようだという。

  • 同じ著者の『妻を帽子と間違えた男』も個々の患者に寄りそった脳機能障害の症例紹介だが、この本はより患者の人生まで包括した中で、生きている人間に起きる脳障害の「病名」におさまらないあり方の多様性を表現しようとしたと思う。
    私としては既読のラマチャンドランの本の方が個々の症例から要因を考察し脳機能の不思議さにせまる感じがあって好みではあるが、オリヴァー・サックスの本も脳機能障害から人間の脳の「生き方」にせまるという感じで、これはこれで面白いと思う。

  • 筆者は有名な脳神経外科。『レナードの朝』も筆者の作品らしい。自閉症の学者、トゥレット症候群の外科医(飛行機だって操縦しちゃう)、脳の一部だけを損傷して突然色盲になった画家、記憶が1日しか持たず1960年代を繰り返し生きる青年、など様々な症状の人たちを紹介する本著。カッコーの巣の上やレインマンじゃないけれど、人間の脳ってホントに不思議。何が“正常”かはその人次第なんだなと改めてしみじみ思う。自閉症は現生人類とは異なる種族の人間なのかもしれない、なるほど。

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