見えないX [Kindle]

  • 2015年10月21日発売
3.86
  • (1)
  • (4)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 17
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (66ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  香港発の新本格ミステリ作家の陳浩基氏の作品。私はこれまで『世界を売った男』『13・67』と読んできました。このどちらもアッと驚く展開が面白く、また香港の異国情緒がなんともいい雰囲気で、私のお気に入り作家となりました。日本のミステリネタも随所に出てくるので、なんとも親近感が湧きます。

     上記二冊を読了後、Amazonでお勧めとして挙がったのが、この『見えないX』でした。短編の読み切りで200円でしたので、早速購入し読んでみました。


     簡単なあらすじはこんな感じです。
     主人公が土曜日の大学で授業を終えて帰ろうとすると、雨。講堂から出られずぼんやりしていると、そこにはもう一コマこれから始まろうとする授業がある。これがなんと、「推理小説鑑賞 ― 創作と分析 教授:耿旭文」とある。冷やかしにモグると、生徒はたった数人。そこで先生が出したお題は、「先生の協力者であるXが生徒の中に紛れている。それが誰だかを当てる。当てた人にはAの評定を確約する」というもの。果たして結末は。。。

     私は、本作の良いところはとにかく気軽に読める点だと思います。土曜の大学の朝の一コマなんて、きっと閑散としているんでしょう。しかも雨。そこで展開される推理合戦。生徒たちが探偵のごとく立ち回り、生徒の中に潜む「協力者X」を探し出します。短編ということもあり、小一時間あれば読み終わります。
    因みに本作で日本ネタというと、倖田來未、Misono、名探偵コナンと毛利小五郎等々の言葉が顔を出します。作者は相当に日本文化に馴染んでいるのでしょうねえ。

     あと、敢えていうほどでもないのですが、中国人の方の固有名詞はちょっとよくわかりませんでした(張菲とか呉宗憲)。ただ逆に、ご存じの方であれば一層楽しめるのだと思います。私は残念ながら存じ上げず、たとえで使われていたのですが、そこはイマイチわかりませんでした。

    ・・・

     全般的は楽しめます。時間がすこし余ってしまったというなどに読んでみてはいかがでしょうか。ただ、腰を据えて読んでみられるのならば陳浩基氏の作品ならば今のところ「世界を売った男」がお勧めです。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

●著者紹介
1975年生まれ。香港中文大学計算機学科卒。台湾推理作家協会の海外会員。2008年、短篇「ジャックと豆の木殺人事件」が台湾推理作家協会賞の最終候補となり、翌年「青髭公の密室」で同賞受賞。2011年『世界を売った男』で第2回島田荘司推理小説賞を受賞。2014年の連作中篇集『13・67』は台北国際ブックフェア大賞など複数の文学賞を受賞し、十数ヵ国で翻訳が進められ国際的な評価を受ける。2017年刊行の邦訳版(文藝春秋)も複数の賞に選ばれ、2020年刊行の邦訳の『網内人』(文藝春秋)とならび各ミステリランキングにランクインした。ほかの邦訳書に自選短篇集『ディオゲネス変奏曲』(早川書房)がある。

「2021年 『島田荘司選 日華ミステリーアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

陳浩基の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×