夜の底は柔らかな幻(上) (文春文庫) [Kindle]

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  • 主人公は東京警視庁警部補の有本実邦(ありもとみくに)となり、警視庁から特命を受け、超能力を生かしながらある人物を追う女性捜査官である。
    他に登場する一人一人にもスポットが当たり、集団で物語が進行する群像劇と云える。
    舞台は日本国内に位置しながらも、治外法権を得ている特別な独立国家、「途鎖国」である。
    この国の奥深い山中「フチ」に、ヨーロッパからもテロリストとして指名手配されている超能力者の神山倖秀(かみやまゆきひで)が、「ソク」として君臨している。
    その「フチ」は山奥に広がる禁足の地で、水晶谷と呼ばれる神秘な場に、巨大な水晶内に「仏像」らしき謎の物体が存在すると伝えられている。
    そこに王の如く君臨している神山と、彼に対峙する特殊な能力を備えた者たちが、激しいバトルを繰り返すことになる。
    登場する多くの人物たちは、「途鎖国」への不法密入国者や不審な人たちで、そのような人物達を取り締まる入国管理局に、独裁者の如く君臨する局次長の葛城晃(かつらぎあきら)は、怪しいオーラを発揮しながら容赦のない特殊能力で彼らと対峙する。

    読み進むに従って、一人一人の登場人物の繋がりが徐々に見えてくる。
    そしてクライマックスには、恐怖を含みながらも壮大なスケールで超能力者達のバイオレンスなシーンが描かれる。
    そして最後に、水晶体の中に存在する謎の「仏像」らしきものの意味が、漠然としながらも明かされる。

  • 久しぶりに読み応えのある本に出会えた。
    「能力者」達が次々と登場ってだけで気分が上がる。
    まるで映画を観てるよう。
    登場人物も濃いキャラ勢揃いで印象に残る。

  • 鈍色幻視行の反動でゴリゴリのファンタジーを読みたくなったので、久しぶりに再読
    上巻の、日常とまだ地続きな不気味さがとてもゾクゾクと楽しい

  • タイトルは久保田早紀という歌手のアルバム名から拝借したという。
    さて、この小説のジャンルは一口に言うと呪術バトルロワイアルものである。
    恩田陸お得意のキャラがたくさん出てきて、最後にひとところに集まるという展開だ。物語の展開と謎のばら撒き、キャラの過去の開示が良い感じにミルフィーユされているので、飽きずに楽しめる。流石に物語の構成が上手いなと唸る出来。

  • 設定が面白い。引き込まれる

  • 在色者という特殊能力を持った人々のお話。サイコホラーっぽいのだけど、時折見せる人間味ある感情にほっとする。何が本当で何が嘘なのか、全て疑わしく思えてきて、1ページも気を抜けない。下巻が一層盛り上がりそうで、とても楽しみです。

  • 読むのに結構時間かかってしまった。「イロ」という特殊能力の設定が面白い。登場人物の思惑が絡み合い、これからどうなるんだろうと思ったところで上巻終わった。続きが気になる。

  • 本屋大賞「蜜蜂と遠雷」で話題の恩田陸作品。恩田陸作品は「夢違」に次いで2作目。
    どちらかというと「夢違」の方が印象に残る作品。
    「夜の底は柔らかな幻」は、読んでいるときはかなりワクワクしつつ、読んではいたんですけど。時間経過とともに、薄らいでしまう。
    現実世界だけで描かれてはいないので、そのあたりがイメージできないと、読んでいてもピンとこない。
    上下巻なので、物語は長いです。読み終えると「読んだぞ!」と自分を褒めたくなる小説。つまるところ、ちょっぴり長いのかもしれないです。不思議な世界の旅でした。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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