追憶と、踊りながら [DVD]

監督 : ホン・カウ 
出演 : ベン・ウィショー  チェン・ペイペイ  アンドリュー・レオン  ナオミ・クリスティ 
  • アットエンタテインメント
3.92
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本棚登録 : 83
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4529264173405

感想・レビュー・書評

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  • レンタルで観ました。

    傑作中の傑作映画だと思います。
    腫れ物を触る時のような緊張感が全体通してピンと張り詰める中で、「お互いがお互いの壁を抱えつつ、どこで通じ合えるか」ということを切実に問うているように私には感じられました。

    ともかくも、人種、マイノリティ、文化の違い……いろんなことを考えさせられる映画でもあり、優れた人間ドラマだとも思います。ここまでいろんな要素が絡むとともすれば単なる「詰め込み過ぎ」に終わるんですけれど、決して詰め込み過ぎな印象はこの作品には全くありません。考えさせられる課題一つ一つが、適切な配置でもって「しかるべくしてそうなっている」演出だなぁと感じます。

  • ストーリー的には静かで起伏はあまりないんだけどこれだけ惹きつけられて退屈させないのは監督の手腕かな。とにかくウィショーくんの少しずつ感情が込み上げてくるような繊細な心の動きが素晴らしくて魅入ってしまいました。あと母親役のチェンペイペイの演技も最高。ラスト互いの感情をぶつけあって今まで閉じていた自分を解放して分かりあっていく様子は圧巻。決して御涙頂戴なドラマチックさではなく静かに哀しみを癒すダンスシーンの演出に涙しました。

  • ベン・ウィショーの繊細な演技が、この作品という世界に咲くすべての花を咲かせていくようで、大輪の花束とは違う、もっと素朴で、もっと心の奥底にダイレクトに働きかけるような、そんな優しさに溢れていました。パッと見て目につくところだけではなく、少し疲れたと隅っこで休む人がいるところにも花を咲かせてあげるような。

    舞台はロンドン。出てくるのは、イギリス人のリチャードと、彼の恋人であるカンボジア系中国人のカイ。そして、カイの母親のジュン。
    言語を習得するには、言語の持つ文化的背景を理解し、受け入れる必要があるように思います。言語をただのツールとしてなぞっているだけでは、決して見えてこない何かがあるような。

    現代のLiltingが示すように、言語だけではなく、ひとの人生が揺らめく様が悲しく、美しく、切なく、そして強く描かれています。

    ジュンとリチャードが会話をするには、中国系イギリス人のヴァン介さねばならず、彼女が話している間、つまり自分が理解できる言語に直してもらっている間、ダイレクトに会話をしているはずのジュンとリチャードは、ヴァンと相手の顔を何度も見比べます。あのタイムラグが、とてもリアルでした。秒数にしてしまえば数秒のことなのに、もどかしく感じるあの時間。

    ベン・ウィショーの演技がいつもの通り、圧巻です。今回の彼は、愛しい人を亡くした役だったこともあり、会話の途中に涙ぐんだり、喉をつまらせたり、泣いていいのか笑っていいのか分からなくなったり、そんないちいちが本当に自然で、引き込まれざるをえません。
    カイの匂いがするとジュンに言われて、そうだねと答えるまでの間が、素晴らしかったです。

    「彼は真実を告げると、あなたに愛されなくなるのではないかと不安に思っていた」の「愛されなくなる」の部分、英語では「fear of you loving him less」で、まったく愛情がなくなるのではなく、減るという表現を使っていたのも、リチャードという人の繊細を表しているなと思います。

    随所随所で挟み込まれる木々のショット。太陽がそこにあるとわかっていながらも姿の見えない白い空。そう言うショットに何か意味があるはずだ、何の比喩だろうかと思っていたら、最後の最後でジュンが教えてくれましたね。なるほど。

    静止した時間を、どうやってこれから生きていくのでしょうか。愛しい人を亡くすという大きな出来事のあとでは、おとぎ話のようなハッピーエンドは望めなく、でも、人生は続いていかなければならないのかと窓を眺めるジュンを見ていて、胸が締め付けられました。

    良い、映画です。

  • 今日は、「追憶と踊りながら」のプレス試写会に行ってきました。

    六本木シネマートだったんだけど、ここもうすぐ閉めちゃうんですってね。残念。
    ちょっと古い感じの映画館って好きです。

    昔、実家の近くにも映画館があって、だいたい2本立てでやっていて入れ替えもなかったから、一日中映画館にいたこともありました。
    そこの名物は、近くのパン屋さんからの“コロッケパン”
    入荷すると、おばあちゃんの声で「美味しいコロッケパンが届きました。出来たての美味しいコロッケパン」って放送が入るの(笑)
    映画本番中だよ?ヽ(*'0'*)ツ
    そう言えば当時、人気の映画は立ち見も普通だったなぁ。
    今日は、そんな懐かしい映画館を思い出してしまいました。

    あっ、それで映画なんですけど、思っていたより難しかった。
    中国とイギリスの言葉と歴史を知っていたらもっと理解できてわかりやすいんだろうなぁ。

    観たいと思っていた映画なので、いち早く見ることができて良かった。
    もうちょっと、勉強してもう一度観たいな。

    感想を語ると結構長くなっちゃいそうなので、それはまた改めて観劇日記に記します。

    それにしても、最近なぜか六本木に行くことが多いなぁ。。。(*^o^*)

  • 「Lilting(追憶と、踊りながら)」https://www.imdb.com/title/tt2560102/ … 観た。おもしろかった。場所はたまに変わるけどそれも2ヶ所ほど、密室の会話劇で登場人物が5人だけという驚きの構成なんだけど、表情の変化とかで見せる繊細な演技にじっくり見入ってしまう。静かで地味な佳作。ベンウィショー♡(おわり

  • B。
    犯罪映画ばかり見てるようなので。
    映像が美しい。
    ヴァンの話す中国語も美しい。

  • レコードから流れる夜来香とまどろみのようなノスタルジックな映像が、追憶と現実を行き来している主人公たちの静止した想いとマッチして美しいオープニングはとても好きでした。

    最愛の息子を亡くした中国系カンボジア人の母親ジュンと、恋人を失ったリチャード。
    リチャード役のベン ウィショーの私生活を重ねたような切ない演技が胸を打ちます。

    2人とも同じ男性を深く愛しながらもまったく噛み合わない想いが遣る瀬無い。
    頑なにリチャードを拒絶したジュンの態度が少しずつ雪解けになるかと思いきや、少し気を許したようでまたムッとして、笑顔になったのにまた怒らせての繰り返し。

    言葉や文化によるディスコミュニケーション以上に、憎しみにも似た嫉妬をリチャードに抱き続けられるジュンの頑固さに嫌気がさすし、この頑なさがどれだけ息子カイに負担を敷いてきたのかが見て取れてしまう。

    正直主人リチャードの行動にも、ジュンにも共感できる人は少ないと思うので観る人を選んでしまうのではないかという疑問は残るけど、人種、文化の違い、同性愛、カミングアウト、老年期の恋、そして孤独など、わりと多くの重みのあるテーマを織り込んでいますが、暗くはなく静かに淡々に、孤独というものに向き合うジュンのラストの台詞はとても印象的でした。

  • つらい話をしてもわたしはエキゾチックな美女だから。
    強い生き方をしてきたんだなぁ、というこの言葉。伝わらなくていいこともある。

  • バス事故で亡くなった恋人のカイの母親に会いに来たリチャード。施設でいい感じになったアランと過ごしながらも、言葉が通じず、息子のことを想う日々。
    カンボジア系中国人の母とフランス人とのハーフだった父の元に生まれたカイは、たった一人の肉親である、イギリスに馴染めない母にカミングアウトしようとようやく決心した矢先だった。

    母とアランの通訳を友人に頼み、ディナーを作ったり協力するも、言葉が通じ出してから、お互いがお互いでしかないということに気づき、距離を置こうとしていた。
    そして、最初は息子との愛を奪い合っていたただの親友だと思っていたリチャードに真実を告げられ、孤独の中にも希望があることを匂わす最後。

    とても美しくて、綺麗な光の映像だった。過去のカイ、空想のカイ、言葉が通じてしまったが故に深くつながっていたと思っていたものが壊れる瞬間。
    通訳されないと、私たちも彼女の言葉がわからない、という演出もとても良かった。

  • 悲しくても忘れたくない思い出
    孤独の中で、思い出す幸せな時
    恋しさと寂しさに押し潰されそうになっても

    とても繊細な作品。言葉にできない気持ち。
    思い出、寂しさ、恋しさ、孤独
    自分の中にもある感情に触れ、どこか心地よさを感じた。

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