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感想・レビュー・書評
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自殺に至る心の動きをやっと思い出すことができた徹生。家族との絆も再生でき、未来に希望を持ち始めた徹生にふりかかる復死の恐怖。限られた生をどう生き、そしてどう痕跡を残して死んでいくべきか、改めて考えさせられる作品だった。
心を病ませようと徹生に執拗につきまとう佐伯の退廃的な言葉が無気味だった。一方、ラドスワフ(ラデック)や秋吉が語る癒しのセリフは結構心にしみた。
たくさんあるゴッホの自画像。そのゴッホの絵を素材として語られる「分人」という考え方、なかなか面白かった。「私たちは、その対人関係ごとの色んな自分を、〈個人〉に対して〈分人〉と呼んでます。分数の分に人。個人が整数だとすれば、分人は分数のイメージです」、「人間は、誰かとの関係の中で、その人のための分人を常に生み出している」。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
NHKのドラマ版が見たくなりました。
奇跡!?世界中で死んだ人間が生き返った!主人公は生還した土屋徹生。彼は自殺したのか殺されたのかの真相に迫ります。幸せそうに見えた彼が抱えていた悩みとは何?自分の中に、色んな自分がいるという多面性。それをそれぞれの相手との関係の中で常に生み出す様々な私、分人という考え方について描かれていました。復生者たちの未来は?生きたい!家族への想いが溢れるラストは涙涙でした。 -
分人。表紙のゴッホの意味が分かってすっきり。
死後に遺せるもの5つ(記憶、記録、遺品、遺伝子、影響)もなるほどと思った。後悔なく生きるため、これから自分に置き換えて考えたい。
ただ死の真相のところが長すぎて、読んでいて疲れた。そして何となくその死の理由が納得いかなくて、星は3つ。
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面白かった。やっぱり面白いけど続けて同じ作家は読めないくらいのヘビー内容。
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全国で生き返る「復生者」たち。徹生もまた生き返るが妻に「あなたは3年前に自ら命を絶ったはず」と告げられる。そんな理由などない徹生は殺されたのではと疑う-死の彩りが全面的に漂ってはいたけれど、本当は生きたかった!という復生後の徹生の叫びや、消える前に残そうとする息子と妻への愛から、生きることへの肯定を強く受け取りました。ラストは涙々で目が腫れてしまうくらい。
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なるほど、それでゴッホ。それでこのタイトル。
「分人」かぁ。
「この人といる時の自分は好き」この感覚はすごく分かる。
出家に関するラデックさんの言葉。なんだか目から鱗だった。確かに。
じっくり考えてみたい言葉がたくさん。
読み終わったけれど、これからまたじっくり反芻してみたいと思う。 -
ただのおしゃれかと思ってたゴッホの自画像の表示にしっかり意味があった!最後までどうなるんだろうと思いながら読んだ。分人という概念はなるほどなと思ったし、徹生を殺した犯人とロジックも理解できる。哲学的ミステリーでおもしろかった。