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感想・レビュー・書評
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小石
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読んだ後に何が書いてあったかあんまり思い出せない。
印象に残っているのは、「物語は生きている」「切ったら血が出る」
考察は、自分でも辿り着いている地点のものが多く、肝心の著者の考察は「どうすればいいか分からない」で締められていることが多く、読み手としてもどうすればいいか分からない
もしくは、おっ面白そうと思ったら行き止まりだった、みたいな。
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あとがきにあるように、「とらえどころもなく、はっきりとした答えもない」という本なのですが、だからこそ救われる部分や突き放されるような部分が色濃い不思議な本でした。社会学に無知なのですが、哲学のような感覚のする本。ただ素朴に、実際に筆者が見聞きした話を並べているだけの部分があることで、よりずっしりと来る…というのでしょうか。特別な人間ではない、人間は誰しもが孤独である、人を尊重するということが距離を置くということにイコールになっている現状、などなど。出てくる観点一つ一つは分かっているつもりだったものたちが、すっと心に重みを持って浸透してくるような感覚。良い本に出会えた…
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エッセイのような哲学のような。断片的に色々なものが敷き詰められているけど、みんな何処かで繋がっている。著者が幼い頃に「石ころ」を石ころとしてじっと眺めるのが好きだったと書かれていたが、まさにこの本はそんな感じ。読んでいて本当に楽しい。
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自分の肉体の一部を剥がされ、本当にそれが自分自身の先天的な持ち物であるのか、或いは自分の肉体を飾る一部として本当にそのもので良いのか、改めて自分だけでは及ばない領域から自分を一度疑ってみる時間になりました。
自分の言葉で規定できなければ、それを知覚する事はできない。
底だと思ってた場所より更に下から、一度ものごとを見つめてみるきっかけになりました。
足元を揺さぶられ、一度不安になる程に。
なんだかよくわからなくなる。なんだかよくわかっていないものごとを知覚する。 -
感情をゆさぶるような出来事、白黒はっきりした答え、起承転結がきれいに展開するストーリー。映画やドラマ、SNSで語られるのはこういった類の話だけれど、わたしたちの日常は断片的なものにあふれている。その瞬間、そしてあとになって振り返ってもよく分からない、けれど印象に残っている、みたいなシーンがたくさんある。そんなカケラを改めて手のひらに乗せて、じっくりとつぶさに観察してみる、といった試み。
なんでもない日常が、そしてそんななんでもない日常が積み重なったたった一度のこの人生が、私は大好き。 -
もっと本を読もう、と決意したきっかけになった本です。
読み終えたあと、日常の何気ないことや風景がとても愛おしくなりました。
自由ってこういうことなんだと思いました。
出会えてよかった。お礼を言いたい本です。 -
しみじみとどえらい本を読んだなという気分になった。分からないことが分からないままに、分からないと書いてある。とても良い。
今回は図書館で借りたのだけれど、かなり手垢がついて傷んだ状態になっていた。こういう本を読む人が同じ地域にたくさんいるんだなと思うと少し嬉しい。 -
昔からドキュメンタリーを見るのが好きだった。特にNHKの72時間という番組が好きで、でもなぜ自分がその番組が好きなのか言葉にできずにただ夢中になって眺めていた。”そして、だからこそ、この「誰にも隠されていないが、誰の目にも触れない」語りは、美しいのだと思う。徹底的に世俗的で、徹底的に孤独で、徹底的に厖大なこのすばらしい語りたちの美しさは、一つひとつの語りが無意味であることによって可能になっているのである。”という一節を読んで、探していた答えがここにあった気がした。
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人生は物語。誰もが物語を生きている。ひとりひとりが、とても愛おしくなりました。