ファウスト(一)(新潮文庫) [Kindle]

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  • 昨冬、17年ぶりにゲーテの「ファウスト」を読了した。
    ゲーテが、着想から六十年という歳月をかけて完成させた「ファウスト」は、ダンテの「神曲」と並んで、世界の哲学的文学の最高峰に位置するといわれている。師・ヘルダー、親友・シラー、若き友人・エッカーマンらの触発と励ましを受けて、亡くなる寸前まで筆を執り続けたゲーテの最高傑作である。
    「ファウスト」は戯曲の形をとった文学であり、対話で成り立っている。「捧げることば」「舞台の前戯」「天上の序曲」をプロローグとし、「悲劇・第一部」と、五幕から成る「悲劇・第二部」から構成されている。ファウストには実在のモデルがいて、幅広い学問を究めていた伝説的な人物であったといわれる。主人公であるファウスト博士の死に至るまでの魂の遍歴には、ゲーテ自身の胸中の思いの一切が託されていたとの見方もある。

    最初に、ファウストは、悪魔メフィストフェレスと契約を結び、新たな旅へ出発する。
    その後、長い長い魂の遍歴の果て、最後に、盲目となったファウストは、「最後の仕事で、最大の仕事」と決めた海岸一帯の大開拓事業を志し、干拓者として人類の未来のために働く実践の人となる。しかし、最後の独白を終えると、後ろに倒れて、死ぬ。死んだファウストの魂を悪魔が盗みとろうとしたが、天から天使が舞い降りてきて、「絶えず努力して励む者を、われらは救うことができる」と述べて、救いの手が差しのべられる。こうして劇の終末と発端が結びついて、完結する。
    ファウストの波乱万丈の魂の遍歴は、男の生き方、人間としての生き方について、多くの示唆をはらんでいる。 

    • 白いヤギと黒いヤギさん
      同感です。
      私は大学時代に両親の世界文学全集で読みました。きっかけは手塚治虫です。手塚治虫は若い時分に漫画化し、その後も「百物語」や「ネオ•...
      同感です。
      私は大学時代に両親の世界文学全集で読みました。きっかけは手塚治虫です。手塚治虫は若い時分に漫画化し、その後も「百物語」や「ネオ•ファウスト」等と、生涯にわたってその影響を隠そうとしませんでした。素晴らしい作品ですからね。
      そんな手塚治虫とは一線を画すような作家がスタジオジブリの宮崎駿監督だと思います。しかし、最終作とされている「風立ちぬ」。あれ、ファウストですよね。飛行機が好きで好きでたまらない主人公は、宮崎駿監督そのものですし、航空機を設計することはすなわち戦闘機を造ること。自分が造った飛行機で、途方もない数の若者が死んで行く。
      映画は賛否両論ありました。私はラストシーン、最愛の女性が迎えてくれた所で「ファウストだ」と思えたので、ストンと落ちました。
      もしも未見でしたら、「宮崎駿版ファウスト」として見る事をお薦めします。
      …長々とすみません。
      2022/05/26
    • yoshibeiさん
      教えていただき、ありがとうございます。是非、見てみたいと思います!
      教えていただき、ありがとうございます。是非、見てみたいと思います!
      2022/05/27
    • 白いヤギと黒いヤギさん
      ありがとうございます。長々とすみませんでした。私もファウストを再読したいと思います。
      ありがとうございます。長々とすみませんでした。私もファウストを再読したいと思います。
      2022/05/28
  • 1828行
    メフィストーフェレス
    …だから一つ、頑張ってみて下さいな、思案はやめて、世間の中へ飛び込んで行く一手あるのみだ。
    よろしいか、くよくよ考えてばかりいる男は、すぐ向うはぐるっと緑の草地だというのに、悪霊に取憑かれて、草のない荒地の上を、ぐるぐる引回されている牛馬のようなものだ。

    ファウスト
    そこでまず、どうすればいいのだ。

    メフィストーフェレス
    すぐに出かけるのです。…

  • 不足を託つな、欠乏に耐えよ。

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著者プロフィール

ゲーテ

Johann Wolfgang Goethe 一七四九―一八三二年。ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。ドイツを代表する詩人、劇作家、小説家。また、色彩論、動植物形態学、鉱物学などの自然研究にも従事、さらにワイマール公国の宮廷と政治、行政に深く関わる。小説の代表作に『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』など。

「2019年 『ファウスト 悲劇第二部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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