風の歌を聴け (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 大学生のひと夏の出会いと別れを描く。
    思った以上に肌に合わなかった。村上春樹というインプットの化物と楽しくお話出来たら実りあることだろうが我々は著書を読むことでそれを疑似体験出来て有難い、というスタンスで読んだ。貴重な読書体験だった。感謝

  • 30年近くぶりに読んだ。
    当時はなんとなく文体がかっこつけてるなあというにおいを感じていたのだけど、今読むとそれは本当に選ばれた言葉なんだなということがわかる。これは年の功なのだろうか。

    鼠くんを思い出した。そうだこんなんだったなあ。
    当時は先輩から文庫本を借りてそのとき出ていた村上春樹の本は全部読んだのだった。

    言葉を紡ぐって大変だな。自分もこういうレビューを書いているけど、もっと文章を考えようと思う。

  • 知人がこの本が好きお気に入りと言っていたが、記憶に残ってたのは、鼠が出てきたのくらいだったので再読した。
    当時どういう感想を持ったのか分からないが、なんというかどう感想を言えば良いかわからない、そんなストーリーだった。内容はわかるし、イメージもできるが、ただ単に話が流れていったという印象。単純に物語の雰囲気を楽しんだ。

  • うーん、今一、よくわからない小説。

    ネットを見るとこんな解説が。極楽蝶サエキカツミさんの書評。
    「金持ちなんてみんなクソくらえだ」という「鼠」の正体を、私は長い間掴めずにいた。最近では、この「鼠」というのは、過ぎ去ってしまった「60年代的価値観」なのではないだろうかと思うようになった。
    「金持ちはクソくらえ」というのは、「30代以上を信用するな」「戦争反対」という、世界に対する否定ではないだろうか。
    60年代は、いわば否定の時代だった。信じるに足る正義がそこにはあったし、構図としてわかりやすかった。若者は学生運動に参加し、社会の不正義を正そうとした。
    圧倒的正義がそこにはあった。まさか、敗北するとは思わなかっただろう。
    学生運動が終わった後、多くの若者は何に対してコミットして良いのかわからなくなった。村上氏もその一人だった。彼の小説に出てくる主人公が、人と距離を取って接しようとしたり、必要以上に熱くなるのを避けて客観的になろうとするのは、結局自分の信じていたものが崩壊してしまって、何も信じられなくなってしまったからではないだろうか。

    なるほど、そうだったのか。ビビッときた。

  • 例えば僕の星座が山羊座だったり、鼠の小説に出てくる登場人物が拳銃自殺したり、処女作の時点で村上春樹はサリンジャーの「バナナフィッシュにうってつけの日」から影響受けてるんじゃないかなって深読み。
    鼠はホットケーキにコーラをひと瓶かけてきちんとナイフで4つにカットして食べる。、「この食い物の優れた点は」と鼠は「僕」に言った。「食事と飲み物が一体化していることだ。」

    この小説の優れた点はデレクハートフィールドという不遇な小説家が現実には存在しないことだと思う。初読のとき、村上春樹にこんなに影響を与えた作家の本なら読みたいと思ってGoogleしたけどヒットしないし、「当時この架空の小説家の小説について全国の図書館へ問い合わせが多々起きた」という現象を知る始末。
    ぜひ「気分が良くて何が悪い?」を読んでみたいところだった。
    冒頭の1章は村上春樹の職業的小説家である上でのマニフェストであるという噂を聞いたり聞かなかったりする深読みに最適な一冊。
    また半年後くらいに読めたらいいな。

  • p.2022/12/5

  • なかなか癖のある、難しい一冊だった。村上春樹は比較的分かりやすい文章を書く作家さんだが、東野圭吾と一緒でデビュー作はあまりパッとしない作品だと思ってしまった。まだ読解力がない自分自身のせいだが。しかし、世界観が複数ある作家さんは本当に素晴らしいと尊敬する。

  • 村上春樹氏の処女作と知り、また「職業としての小説家」を読んでから読み返した。一度書いた原稿を英文に翻訳してから日本語に書きなおしたとあったとおり、聞き馴染みのない日本語が時折とびだす文章が続くのだが、ほんのわずかの違和感がスパイスになっていて心地よく読める。ここでこの言葉選びをするかというひらめきのような快感がある。
    架空の作家、デレク・ハートフィールドのように、僕以外の登場人物は全員「僕」の考えた架空の人物といわれても呑みこんでしまえるし、一見些細でどこにでも落ちているような出来事が続いていくのだが、「僕」は時折、格言のような言葉を残す。冒頭の言葉も好きなのだが、「強い人間なんてどこにもいやしない。強い振りのできる人間がいるだけさ」をあの場面で鼠に呟いた僕の顔がぜひ見てみたくなった。僕が腹を立てたり、機嫌を損ねた原因が書かれていないことがほとんどなんだけれど、だれもが自分の感じた感情に名前をつけられないで生活している。というのを教えてくれる、ささやかな喜びがある。
    ラジオDJの口癖が鼠のものだと気がついたときに与えられる楽しさと、一読しただけでは到底読み解けないこの小説の伝えたいことの大きさを知ったとき、村上文学の沼に足を踏み入れたのだという幸福を実感する。

  • 何度目かの再読。低いトーンで流れる文章のなかに2箇所の太字のアクセント。太字ではないけれどもp117の鼠の台詞「嘘だと言ってくれないか?」も胸に刺さる。すべては傍観者である“僕“を過ぎてゆく。Don't think twice, It's all right./PPM

  • タイトルが良過ぎる。
    深過ぎて一回じゃ全然理解できなかったからもう一回は読みたい。
    全体的に海外映画みたいな会話で非日常感がすごかった。
    脳をめちゃくちゃ使う割に読み易くてサラッとすぐ読み終えた。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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