日本会議の正体 (平凡社新書818) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 2016/7/30読了。
    『日本会議の研究』『戦前回帰への情念』そして本書と日本会議関連の新書を三冊読んで、今まで知らなかったこの団体のことが少し分かってきた。
    なぜこの団体のことを今まで知らなかったのだろう、なぜメディアはこの団体のことを報道してこなかったのだろう、と不思議だったのだが、「新聞沙汰になるような違法な行為や不道徳な行為を一切してこなかったから」というのも大きな理由のひとつだろうなと思った。彼らの思想や主張は非民主的だが、行為つまり運動の方法は、表向き民主主義と法治主義の手続きを律儀に踏んだ勤勉なものだ。「文春砲」みたいなセンセーショナルな報道の仕方のネタにならないのだ。
    やってることが犯罪かどうかは法律を見れば分かる。不道徳かどうかもワイドショーを見れば分かる。だが言ってることが悪いかどうかは、少し頭を使って考えてみなければ分からない。民主的かどうかというレベルになると、相当に頭を使える者が自分で考えないとツッコミが入れられないし、それなりのリテラシーを持った客にしかウケない。たぶん週刊誌やワイドショーのネタの範囲ではなく、もしかしたら今や新聞ですらそうなのかもしれない。
    この「頭を使って考えて」「リテラシー」という部分が、メディアも、その受け手である僕たち国民大衆も、本当の意味では苦手だったんじゃないか。そこにつけ込まれたようで悔しいし、そこが露わにされたようで恥ずかしい。
    そんなふうに国民が主権在民の主権者として適格でないんだったら、そりゃあ国民が国家を縛る今の憲法よりも、国家が国民を縛る昔の憲法のほうが、政治家のみなさんにとっては楽だし便利なんじゃないですか。国民のみなさんにとってもそのほうが良いんじゃないですか。彼らはそう言ってるように思えるし、はいそうですって署名した国会議員がもう何百人、地方議員が何千人、一般大衆が何百万人もいるわけだ。
    でも、適格でないなんて思われて、国民に主権者としてのプライドはないのか。楽をしようとしてるなんて思われて、政治家に民主国家の為政者としてのプライドはないのか。日本会議の存在が少しずつ表沙汰にされてきたということは、僕たち国民や政治家たちがそう問われていることに気付き始めたということでもあるはずだ。もう遅いかもしれないが、まだ手遅れではないと信じたい。

  • とある事象の一側面だけを見て全てを知ったつもりでいるのは井の中の蛙である。
    なので、以前ネット上で教えて頂いた「日本会議」について、少しでも知っておくべきと考えたのだが、そもそも書かれている書籍がそれほど多くなく、たまに見かけても著者の極端な偏見思想に基づくしょーもないとのが多く、またそう言う書籍に限ってかなり文章も稚拙で表現も汚く、とても日本人としての誇りを持っているとは思えない醜い表現ばかりが目立って読む気が失せてしまうものばかりだった。

    たまたま本書の書評を読んだ時に、かなり客観的に書かれているとのことなので、読んでみる気になった。それこそたまたま著者が自分と同じ歳だったので興味がわいたのもある。

    で、読み終わって感じたことといえば、そんなに恐ろしい団体じゃ無いではないか。むしろ、自分が思う美しい祖国の理想に近い部分も多いのではないか?と、感じた。
    あれ?

    もちろん、他にも色々と思うことは賛否共にあるのだが、少し日本会議が身近に感じられた。
    この後、さらに掘り下げて勉強するかどうかは別として、いろんな意見があることを知り得たのは良かったと思った。

  • わかった。ほんとにいろいろとわかった。そーかそーかそーゆーことか。

  • これまたデータ量の応酬でいささかしんどかった。稲田インタビューはオカルトめいた感すら持った。青木の主張をもっと聞きたい。なぜ民主主義の危機につながるかはひとあしとびに論が展開されてしまう。

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著者プロフィール

1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。慶應義塾大学卒業後、共同通信に入社。社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、2006年に退社しフリーに。テレビ・ラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『日本の公安警察』(講談社現代新書)、『絞首刑』(講談社文庫)、『トラオ―徳田虎雄 不随の病院王―』(小学館文庫)、『増補版 国策捜査―暴走する特捜検察と餌食にされた人たち』(角川文庫)、『誘蛾灯―鳥取連続不審死事件―』『抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心』(講談社)、『青木理の抵抗の視線』(トランスビュー)などがある。

「2015年 『ルポ 国家権力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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