- Amazon.co.jp ・電子書籍 (392ページ)
感想・レビュー・書評
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「意識は傍観者である」が、この本の趣旨。つまり我々の意識は、無意識が起こす行動欲求を、追認したり意味づけする程度のことしかできないと言っている。だとすると、自由意志とは何だろうか?
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人工知能は本当に人間の脳に寄せていっているんだなぁと実感。最近「人間なんてアンドロイドみたいなもん」と思うことが増えてしまった。物事を人のせいではなく脳のせいにし、「なぜそう思考したのか」みたいなことを考えるようになってしまいそう。
AIの精度がかなり上がってきてるが、いずれ人間と同じくらい省エネにもなっていくのだろうか。 -
ある人が母親を殺害した。
その人はどうしてもその時の事を覚えていないが、状況証拠からどうやらその人が母親を殺害したことは間違いないようだ。
調べてみるとその人には脳のある部分に欠陥があることがわかった。
脳科学によるとその脳の部分に欠陥があると、殺人衝動が沸いてしまいそしてその記憶はすっかり抜け落ちてしまうらしい。
果たして、この場合その人は殺人罪で罪に問えるのだろうか?
実はこのケースでは殺人罪で起訴されなかったそうだ。(アメリカで起こった事件だそうだ)
精神鑑定の結果で量刑が減じされるというニュースはたびたび報道されるが、本書のテーマはこのように法哲学を論じるものではなく「脳」の機能に関するものである。
科学は発達するとおそらくこの種の判断は今よりももっと厳密にできるようになると思われる。
今まで殺人罪になっていたものが、脳を詳しく調べると先天的な脳の欠陥によるものであり、結果として減刑されるなど。
問題は、脳科学が完璧な学問になるにつれて我々の自由意思はおそらくなくなってしまうということである。
本書を読むとあなたが知らないあなたの存在が見えてくる。 -
カレーとは何か?と考えるときに、物理的な組成や香り成分の分析などの科学的アプローチも重要だが、より真実を目指すなら脳科学、つまり受信側の分析も必要だろう。
世界は脳によって「作られている」。意識には、自分のアクセスできない領域がかなりある。というかほとんどである。 -
脳と意識の本。科学的ではあるが、テクノロジーの話というよりは心理学的、哲学的アプローチで脳と意識について考察する内容。比較的読みやすい。
この本で特に重点的に述べられているのは、意識の役割が限定的で、無意識下の機能が行動や世界の認識を行なっており、意識はそれを遅れて観察しているとする事。また、我々が認識している世界は本当の世界ではなく過去に経験した記憶を元に脳で構成され、感覚器から入ってくる情報のうち記憶と違う部分だけを修正しているものであるという事。意識は実は脳の様々なパーツでいくつかあるのだが、それを一つになる様に取捨選択してまとめあげたものという事。
特に印象的であるのは世界が我々の意識が過去の情報と感覚器からの情報をミックスして組み立てたものであるという点。これは過去の記憶が我々の経験する世界を変えてしまう事を意味する。本当の世界と経験する世界をなるべく一致させるために何を意識すべきかを考える材料となった。