アラビア太郎 (講談社+α文庫) [Kindle]

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  • 戦前は満鉄の社宅を一手に請け負って大儲けして「満州太郎」と呼ばれ、戦後はアラビアの石油利権の大博奕に成功して「アラビア太郎」と異名をとった男、大成功と大失敗を繰り返しながら戦前・戦後を駆け抜けた風雲児、山下太郎の生涯を描いたノンフィクション。

    本書から、山下太郎氏の人となりを表す描写をピックアップすると、「豪放な事業家魂と、繊細な感情とが、ごっちゃになっていた」、「商機を見るやいなや、すばやくとらえて、イチかバチかの勝負をする」、「欲ばりすぎるところがあり、一度かかえこんだものを、なかなか吐き出そうとしなかった」、「見栄坊で、派手ずきで、外面を飾りたがる男」、「激情家で、癇癪持ちで、よく怒る男」、「いっしょにいる人に、やさしい心づかいを示す男」、「山師」、「ホラ吹き」、「ハッタリ屋」、「物惜しみしない性質」、「創意と機略と、駆け引きと度胸で生き抜いてゆこうとする型の男」、「人のつながりを大事にする」、「彼の野望は、きわまるところを知らない」、「自分が第一人者でなければ承知できない」、「交友の範囲は、おどろくほど広かった。著名な政治家や財界人で、彼の知らない人はなく」、「彼はいつも人々の先頭に立ち、華やかな脚光をあびていなければ、我慢できない男」、「向こう見ずの冒険家」、「一代の傑物」、「大山師」…。

    クセが強くて、好き嫌いの分かれる人物だったようだ。彼にしかできない偉業を成し遂げた、スケールの大きな人物だったんだな。

  • アラビア太郎と言われた、日本では初の油田を掘り当てた男の伝記本。(書いたのは本人ではない)
    ホリエモンがオススメしていたので読んでみた。

    さすが直木賞作家だけあって、文章がシンプルに読みやすい。いい感じに文学っぽくアレンジもされていて、楽しく読むことが出来た。

    そもそもアラビアに石油を掘りに行くのは、60も過ぎたおじいちゃんになってからなので、本書の大部分はそれまでのお話だったりする。

    癖の強い人物だったんだろうなぁと思った。
    ただ、人の縁を大事にすること、そしてそのためには出費を惜しまないこと。これは少し参考になった。チマチマ奢るんじゃなくて、ドーンと奢ったほうがいいってことかと。ちょっと人生でケチじゃなくなったかもしれない。

  • 前半が冗長。山下本人よりも1930年代のアラビア諸国と日本の官僚のやりとりが面白かった。

  • 戦前から戦後にかけて日本をつくり、立て直した傑物の歩み。利益追求も社会貢献も大志もどれも大事。

  • 本書は、富士石油株式会社の子会社となったアラビア石油株式会社を創業した山下太郎氏の驚異的な人生を描いた作品である。山下太郎氏の物語は、明治後期から昭和中期にかけての日本の歴史を背景に、彼の苦難の道のりや功績が描かれている。彼は日本人で初めて外国の地で国策油田を獲得した人物であり、ビジネスに携わる人々にとっては大きな感銘を受けること間違いない。

    本書の魅力は、ビジネス、歴史、そして海外という3つの要素に分類できる。これらの要素に興味を持っている方々にとって、本書は必読の書であると断言する。また、これら全ての要素に興味がある方々にとってはなおさらのことだ。

    山下氏は東京出身で、札幌農学校(現北海道大学)へと進学した。当時の北海道は未開拓の地であり、彼の学び舎は原生林の中に佇んでいた。彼の晩年の偉業を考えると、彼がここで開拓精神を養った可能性は少なくない。

    卒業後、山下氏は起業したが一つの事業に固執せず、様々なビジネスに手を出しては成功と失敗を繰り返した。彼は戦争などの影響で一時は全てを失ったが、最終的には政財界や専門家を巻き込んで海外油田の利権を獲得し、見事な成果を上げた。彼の功績は、エネルギーを輸入に頼るしかない日本の安全保障に大きく貢献したものと言える。

    彼の成功の背後には、彼が長い時間をかけて築いた人脈があった。彼自身が知識や資金に乏しかったとしても、彼の人脈は彼を支えた要素であった。
    彼の妻である文子氏によれば、彼はほとんど家で食事をせず、ほぼ毎晩会食に行っていた。接待やお祝いなど、人々を楽しませることにも細心の注意を払っていた。彼の徹底した接待のスタイルには驚嘆した。

    宴会の前には、彼は料亭に電話をかけて献立や土産物、芸者の選択について細かく指示を出した。彼は自分だけ楽しむのではなく、客を退屈させないよう心掛けた。また、芸者の選択においても年配の芸者を交えることで、若い芸妓の気を引き締めるための工夫を行っていた。このような流儀には時代錯誤のように感じられるかもしれないが、一流のおもてなしの精神を感じた。

    山下氏が手がけた事業の変遷は非常に興味深く、山あり谷ありの挑戦が続いた。彼は月給取りになりたくないという信念から起業し、さまざまな事業に挑戦した。その中でオブラートの開発、ウラジオストックの罐詰輸入、アメリカからの硫安アンモニウムの輸入、上海からの江蘇米の密輸など様々なことを手がけた。

    彼の誠実さもまた、彼に巨利をもたらした要因だった。例えば、満鉄に五万石の江蘇米納品を急遽キャンセルされたにも関わらず、彼は損害賠償を請求しなかった。この誠実さが後に満鉄の副社長となった松本蒸治博士の心をつかみ、山下氏の満鉄社宅ビジネスに繋がった。満鉄の社宅ビジネスも一時は成功したが、敗戦により失敗に終わった。それでも山下氏は社員や会社を守るためにさまざまなビジネスに取り組み、最終的に石油ビジネスにたどりついた。

    この本は、ボクのような影響されやすい人間にとって、自分自身を奮い立たせるにはもってこいの書籍だ。彼は70歳という年齢で自身の夢でもあり、国益ともなる偉業を成し遂げた。彼は周囲の嘲笑に目もくれず、誰よりも本気で夢に向かって走り続けた。些細なことに対して言い訳などしている場合ではないと諌められた気がする。あらためて、日本にもこんなスケールの大きな業績を成し遂げた人物がいたということに感動した。彼はまさに「Boys, be ambitious」を体現した人物だ。

  • 69歳で中東での「日の丸油田」採掘に尽力した実業家・山下太郎の歯rン万丈の人生を描いた本。

    成功と没落をくり返し、世間から「山師」と揶揄されながらも、日本の発展のために活躍した山下太郎。ピンチにあってもくじけない姿を見習いたい。

  • ホリエモンが紹介していたので読んでみた。
    時代背景が違うことと、前半の青春ストーリーが長く飽きてしまった。

  • https://www.youtube.com/watch?v=_oS_ynBUiSc&t=0s
    【百田尚樹×堀江貴文】50歳で作家デビューしてベストセラー連発、その秘訣を徹底解剖

    https://www.youtube.com/watch?v=B6Qt9ZtHvIQ
    ホリエモンの最近のおすすめ本を聞いてみた【5選】

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