マイナス・ゼロ(広瀬正小説全集1) (集英社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 「自分もいつかこんな物分かりのいい人になりたい」という文章を読んだとき、この作者は優しい人だなと思った。その印象に残った文章にちゃんとオチがついてるところが個人的にはすごく良かった。

    タイムトラベル物としても、話としても素晴らしい。いくつか謎が残っているのは続編の構想もあったのかと思うとすごく残念。

  • 小説家、SF作家、推理作家、ジャズ・サックス奏者、クラシックカーモデル作家など・・・Wikipediaによればかなりのマルチタレントだったらしい作者(広瀬正)による、昭和の東京を舞台としたタイムトラベルSF小説。エロ・グロ・ナンセンスの時代の(戦争に突入する前の)日本のさまざまな様子が具体的に描かれ、まだ開発の進まない"東急田園都市線"沿線の世田谷や銀座、当時の風俗・文化を垣間見ることができて大変興味深い。東京都民でこの辺りに住んだことがある人にとっては、どこのことだろう、と想像もついて面白いのではないだろうか。また、タイムトラベル小説としてもとても面白く、伏線もよくできていて、驚かされる。現代では多少の推測もつくような筋ではあるかもしれないが、それでも精密な出来だと思った。
    最近の、"岩波文庫的" にあった『月の満ち欠け』も時間超越物で、あの話は面白いがなんとなく深みに欠ける印象があった。「マイナス・ゼロ」はタイトルの意味も含めて謎がどんどんと紐解かれてゆき、どこに連れていかれるのだろうか、というワクワク感が大変高く、SF推理物として面白いと思った。

    スピード感ある筆致で、どんどん読み切ってしまった。読めてよかった。

  • 和製「夏への扉」だなーと思って読んでいたら、最後にちょっと「輪廻の蛇」が入った。
    SF経験が少ない頃に読んだらこのラストに「おぉーーー!!!」となったのかもしれんが、「なんだこの娘は、ここまでまあまあ緻密な作りになってたところを塗りつぶしやがって」となってしまった。

    ・全体に主人公が能天気すぎてちょっと現実味は薄い
    ・戦前の銀座あたりの描写とかは面白い
    ・最初の及川家初訪問の時点で及川夫妻の正体とか大体予想ついちゃうのでちょっとつまらんところはあった
    ・読者が簡単に気づく仕掛けに主人公が一切気づかないのどうなの
    ・レイ子は死に損だなあ。あんな分かりやすいメモを残したのに理解されないなんてなあ
    ・最後の娘のくだりだけは受け付けられん
    ・ラスト、また過去改変するの? これだけやって懲りたのに? 絶対失敗するでしょ……

  • 期待していたので、それ以上ではなかった。

  • 昭和の浪漫溢れるタイムマシン小説。古い話なのにワクワク感がすごい。

  • この淡々とした文章、だんだんクセになってくる。

  • 「1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械――それは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。時を超え「昭和」の東京を旅する浜田が見たものは? 失われた風景が鮮やかに甦る、早世の天才が遺したタイムトラベル小説の金字塔。」(アマゾンの作品紹介より)

     本書の紹介文には「タイムトラベル小説の金字塔」とあるが、正直そこまですごいとも思えなかった。タイムトラベルものは前後関係の複雑な伏線を回収するのが醍醐味だが、主人公以外の身に起きた出来事が終盤で一気に語られるため、ちょっと強引な印象を受けた。

     ただし、昭和前半の東京の様子が非常に詳しく描写されており、その点は読み応えがある。これは海外小説の翻訳では味わえない面白さだ。作者は大正13年生まれで本作品は昭和40年に書かれたので、作品中に描かれる時代はだいたい作者が実体験している範囲だが、平成の我々からすると全体にノスタルジックであり、それが心地よい。

  • 広瀬正の作品は学生だった頃に「T型フォード殺人事件」を従姉に勧められて読んだ記憶がある(内容はきれいに忘れた)くらいだったが今回「マイナス・ゼロ」を読んでとても面白かった。途中電気製品や車のうんちくが入る所は興味がない私には辛かったが全体的に読みやすく広瀬正の作品を全部読みたいと思った。

  • ・1/24 読了.確かにマイナス31が無駄に長すぎるような気がするけどこれはこれでいいかも.なるほど、なかなか古典的SFといえばそうだけど最後にひとひねりしてあるところが意外に新鮮だった.面白い.

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