『徒然草』の約1/4に相当する六十段を抜粋し,著者独特の十二項目のテーマ別に原文と著者訳を並べ,解説を加えた構成。『徒然草』については高校古文の授業で習った部分しか知らなかったため,原文は難しく感じたが訳と解説を対比して読めるため親しみやすかった。末尾の島内裕子教授の解説によると,原文には江戸時代から広く読まれてきた「烏丸本」が用いられ,句読点は北村季吟『徒然草文段抄』によっており,分類や配列は『徒然草』が持つ本来の魅力が失せぬよう工夫されているとのこと。一読でも『徒然草』に触れて親しむことはできたが,何度も読み返して著者の哲学に理解を深めていきたいと思う。