別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教 こうしてブッダの教えは変容した [Kindle]
- NHK出版 (2017年2月25日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (224ページ)
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
古代インドで発祥した「釈迦の仏教」と現在日本で信仰される多くの仏教の大元である「大乗仏教」の違いがよく分かる本でした。
大乗仏教から派生された多くの諸宗教(涅槃経、法華経、浄土系、華厳経、密教など...)をブッダへつながる方法や修行と、具体的なゴールは何かという内容で比較されています。
それぞれの宗派のゴールが違い過ぎて驚きましたが、
元の「仏陀の仏教」と違うからダメというわけではなく、それぞれの教えに救われる人がいるのであれば、それはそれで意味があるという観点に宗教というものの真理を見た気がします。 -
自分の中で取っちらかっていた大乗仏教がだいぶ整理されました。仏教についてはお寺だったり博物館だったりで「ミクロな話」はよく耳にするのですが、各宗派や経典がどんな流れで日本に入ってきてどんな思想を持っていてどんな政治的な動きをしたのか、「マクロな視点」で大雑把につかむことができました。
この著者が正しさとか由緒よりも、弱者を救うことを尊重しているのが良かったです。遠藤周作がキリスト教に持った疑問にもつながります。 -
同じ仏教なのに、どうして教えが違うのですか?
“自己鍛錬”を目的に興ったはずの「釈迦の仏教」は、いつ、どこで、なぜ、どのようにして、“衆生救済”を目的とする大乗仏教へと変わっていったのか――。原始仏教の第一人者とその研究室を訪れた一人の社会人学生の対話から大乗仏教の本質に迫る、類を見ない仏教概説書。(内容紹介より)
釈迦の仏教と、大乗仏教のスタンスの違いは、次の一文に集約されていると思います。
ある意味、「釈迦の仏教」はエリートのための宗教です。出家したくてもできない人、世のしがらみから抜けるに抜けられない人のために、大乗仏教は生まれてきました。
(Kindle位置No2867)
COTEN RADIOや a scopeの仏教解説と併せると更に理解が深まる感じがします。
あとは、自分の生活に仏教的エッセンスをどのように取り入れるかですが、
やはり曹洞宗的な只管打坐が最も取り入れやすい気がします。
オンライン座禅会に不定期に参加しているのですが、もう少し意識的に取り組みたいなと思いました。 -
Unlimited。知らん話が多くておもしろかった。大乗仏教は「釈迦の仏教」とはぜんぜん別です!大乗仏教もそれぞれぜんぜん違っていてほとんど共通点ありません!でも一人でも救われる人がいればそれでいいのです!とかそういう立場。法華経えらいっていうのに中身なに書いてるかぜんぜん語られないのがなぜかという理由とかもわかる。
-
この本では、佐々木氏と受講者の質疑応答形式をとっており、Man to Manの講義を受けているような感じで進む。そこがとても読みやすい。また、受講者の質問が、よくわからない人がしたくなるような良質の質問なのでとてもいい。
「釈迦の仏教」と「大乗仏教」のちがいの一番端的なまとめはここであろうか。
”「釈迦の仏教」が自己鍛錬によって煩悩を消そうと考えたのに対し、大乗仏教では外部に私たちを助けてくれる超越者や、あるいは不思議なパワーが存在すると想定して、自分の力ではなく「外部の力」を救いの拠り所と考えました。”
ここから「般若経」、「法華経」、浄土宗、「華厳経」・密教と解説が続く。浄土真宗に関しては浄土宗の中で語られている。
大乗非仏説に関しての見方、宗教の存在意義など、佐々木氏の見方が非常に客観的で新鮮に感じる。それは単に真宗の本を読み過ぎなだけなのかもしれないが。
なんとなく・・・なんとなくだけど、佐々木氏は大乗仏教にはあんまり愛情がない?(←微妙なニュアンス)様な気がする。客観性が極まったからなのか・・・。
ともかく、「釈迦の仏教」から「大乗仏教」の発生経緯とこれからについて、ざっと見ることが出来る一冊である。
中村元氏の『バウッダ』よりライトで大乗仏教のボリューム多め。とりあえず大乗仏教をという場合は、この本を読まれてもいいかもしれない。 -
P.2020/1/20
-
大乗仏教と釈迦の仏教がどう違うかを分かりやすく説明してくれている。日本の仏教は大乗仏教だから釈迦の仏教の直接の後継者とは違うものだ。でも、お釈迦様が説いたお経だという話がよくされる。どちらが正しいかではなく、一人でも人が救われるならそれでいいのだな。
-
本日の「Kindle日替わりセール」で安かったので買ってみたもの。面白くて朝から一気読み。
書名のとおり大乗仏教の概説書ではあるものの、そもそもの釈尊の教えがどういうものかについてもそれなりの紙数で語られるため、「仏教入門」として読むことができる。
著者の大学での教え子である一人の社会人学生(30代男性)との対話を元にしているそうで、本文も問答形式になっている。
そういう成り立ちのせいもあって、非常にわかりやすい。また、対話相手となった学生も聡明な人物のようで、著者に投げかける質問は時にすごく鋭い。
仏教の「基本のき」から説き起こしたうえで、かなり高度な内容にまで踏み込んでおり、私にも目からウロコのくだりがたくさんあった。
それでいて、語り口はあくまで平明で、そのリーダビリティは池上彰ばりである。
著者は原始仏教が専門の仏教学者だから、ホンネでは大乗仏教を見下しているのかもしれない。が、少なくとも本書の中では、「誰かにとって救いになる教えには等しく価値があり、どの仏教が上だということはない」というスタンスをとっている。ゆえに、大乗仏教徒にも抵抗なく読める。
「こうしてブッダの教えは変容した」という副題のとおり、釈尊の教えが大乗仏教に変容していくプロセスが丹念に理路整然と辿られており、変容の解説書として優れている。 -
いままでは釈迦の話と各宗派の教えが違う理由がわからなかったが、この本を読み各宗派がどのような考え方をしているのかがわかった