コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則 [Kindle]
- 朝日新聞出版 (2017年8月21日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (241ページ)
感想・レビュー・書評
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デジタルマーケティングと伝統的マーケティングの融合の話や、デジタルマーケティングにおける顧客の購買様式の分析が面白かった
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推奨がより受け入れやすい時代であること
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スマートフォン時代に向けたマーケティング論を記述した著書。WBSで星野塾でも出てくるフィリップ・コトラー先生の本だ。マーケティング3.0も読むべきかと悩んだが、 フィリップ・コトラーなら「いつの本だと思ってる?時代遅れだ」と間違いなく言うだろうから読まない。
本は下記の3部構成になっている
第1部 マーケティングを形づくる基本的なトレンド
第2部 デジタル経済におけるマーケティングの新しいフレームワーク
第3部 デジタル経済におけるマーケティングの戦術的応用
第1部 マーケティングを形づくる基本的なトレンド
現在の社会トレンドを配慮し、傾向についての内容がメイン。
第1章「つながっている顧客へのパワーシフト」
物質は排除ではなく包摂に変更されている。つまり弱者を排除せずに、包摂して「供に」生きる選択肢を人類は選ぶ傾向にある。そのためSDGSや気候変動問題、エネルギー問題への取り組む姿勢を重視する。その表現として、縦から横の社会、個人から社会と表している。
これはまさにその通りでこのトレンドに関しては日本は排除傾向だったために完全に乗り遅れた。日本は治安がいいから「寛容」と勘違いされやすいが日本は決して「寛容」ではない。「狭量」である。心当たりがあるはずだ。
第2章「つながっている顧客に対するマーケティングのパラドックス」
パラドックス1 オンライン交流対オフライン交流
IOT化により店舗にいる人間の動向と、その人間のスマホによる検索動向などでオンライン・オフラインの境目が曖昧になる。ゆくゆくは融合する。
パラドックス2 情報を持っている顧客対注意力散漫な顧客
購買決定を下す際、顧客は基本的に三つの要因に影響される。第一に、テレビ広告、印刷広告、広報活動など、さまざまな媒体を通じたマーケティング・コミュニケーションである。第二に、友達や家族の意見である。第三に、過去の経験にもとづいた、特定のブランドに関する個人的な知識や態度である。
パラドックス3 批判的な意見対好意的な意見
「ネット・プロモーター・スコア(正味推奨者比率)」だろう。ライクヘルドは、ブランドに対する態度の点で、顧客は大きく三タイプに分けられると主張する。当該ブランドを推奨するプロモーター(推奨者)、中立的なパッシブ(中立者)、当該ブランドを推奨するとは思えないデトラクター(批判者)である
だが、ブランドは批判的な意見を引き寄せがちでもあり、それは必ずしも悪いことではない。なぜなら、批判的な意見は通常、好意的な意見を活性化するからだ。
パラドックス1に関しては、私もそのようになると思う。くるべきメタバースの世界はオンラインとオフラインの区別をすること自体が馬鹿らしくなるだろう。パラドックス2は意識していなかったが、購買決定の決定をする思考はおおむねその通りだった。パラドックス3もその通りだ、スターバックスもマクドナルドもヘイターが供に30%前後いる。そのヘイターが彼らをより活性化させるのだから、ヘイターさまさまである。自分のことが大好きな人しかいないと、きっと自分はダメになる。それと同じことだろう。批判が成長を生むのだ。
第3章「影響力のあるデジタル・サブカルチャー」
これまでの社会では、家庭では購買決定権は女性が持っていた。女性の方が男性よりも商品を研究して購入する傾向があり、男性はどうでもいいと考える傾向が強い。流行は若者が作ってきた。若者の流行が市場を支配した、のがこれまで。デジタルのサブカルチャーがインターネットで流行をつくる第三の大勢力になった。女性と若者だけでなくネティズンもターゲットにしないといけない。という内容。
ネットでバズったら流行なのか、流行したからバズったのか、どっちが先なのだろうとは思うが、第三のターゲットがこのままいくと若者と女性以上の影響力を持つ気がするな。
第4章「デジタル経済におけるマーケティング4.0」
製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)という四つのPが、マーケティング・ミックスの枠組みを構成する。
マーケティング・ミックスの4Pは、4C(cocreation=共創、currency=通貨、communalactivation=共同活性化、conversation=カンバセーション)に改められるべきだろう。
ウーバーやエアビーなどのピアツーピアについて書かれているピアツーピアは個人間取引と言い換えてもいい気がする。3D印刷を使用して製品を渡せば、それはテレポーテーションみたいなものかもしれない。欲しいものがその場に現れるのだから。それがピアツーピアの最終形態とのこと。ダイナミック・プライシングについても触れているが、あれは最適価格じゃなく、富裕層にしか買えない価格設定になるので、私は断裂を冗長させるだけだと思うので嫌いです。4Cを見る限り「共に」が次のマーケティングの大きな鍵になりそう。科学が発達すると、醤油などを分け合っていた時代に戻るっていうのが実に面白い。
ここからは、簡略していこう。
第2部 デジタル経済におけるマーケティングの新しいフレームワーク
第5章「新しいカスタマー・ジャーニー」
AIDA
(attention)、興味(interest)、欲求(desire)、行動(action)
4A
認知(awareness)、態度(attitude)、行動(act)、再行動(actagain)
5A
認知(aware)、訴求(appeal)、調査(ask)、行動(act)、推奨(advocate)
影響力の源
Oゾーン
自分自身の(own)影響、他者の(others')影響、それに外的(outer)影響の組み合わせ
この本でもっとも印象的だったのは、この箇所だ。日本はまだAIDAを使い続けているのに、4Aどころか5Aらしい。2周も遅れているのだから、それは日本が衰退していくわけだ。
買決定を下す際、顧客は基本的に三つの要因に影響されるとあったがそれがOゾーンといっていいのかもしれない。他者との関わり方にSNSなどが絡んでくると、デジタルマーケティングの重要さが増す。
第6章「マーケティングの生産性と測定指標」
購買行動率(PAR)とブランド推奨率(BAR)の導入
購買行動率(PAR)は企業がブランド認知をブランド購買にコンバートさせている成功率
購買行動数/認知している数
ブランド推奨率(BAR)は業がブランド認知をブランド推奨にコンバートさせている成功率
推奨行動数/認知している数
認知から行動、推奨へ進む割合を調査。
今まではコンバージョン率つまりはPARしか見ていなかったように思うが、SNSなどで個人の発信力が強くなった今、ブランド推奨率も評価されるべきということか。つまり推してもらえるマーケティングづくり。推し活ですね。
第7章「産業類型とベストプラクティス」
四つの主な産業類型
ドアノブ型
事前の期待や選好の存在
ブランドに対する低い愛着度
金魚型
購入前に時間をかけて徹底的に調査
複数の利害関係が関与
トランペット型
購入決定に深く関与
ブランドの質を信用
漏斗型
購入は計画的に行われる
実際の経験を信頼
蝶ネクタイ型
理想的なパターン
たいていのマーケティングは四つの主な産業類型に分類されて、蝶ネクタイ型を目指す。
第3部 デジタル経済におけるマーケティングの戦術的応用
第8章「ブランドの誘引力を高める人間中心のマーケティング」
ソーシャルリスニングとネトノグラフィー、共感的リサーチを用いる
6つの人間的特性
身体的魅力、知性、社交性、感情性、パーソナビリティ、道徳性
マーケターはブランドに人間的特性を構築しないといけない。
第9章「ブランドへの好奇心をかき立てるコンテンツ・マーケティング」
段階的なコンテンツ・マーケティング
①目標設定
②オーディエンスマッピング
③コンテンツの構想とプランニング
④コンテンツの制作
⑤コンテンツの配信
⑥コンテンツの拡散
⑦コンテンツマーケティングの評価
⑧コンテンツマーケティングの改善
たしかにこの8段階を踏んでいるな。
第10章「ブランドコミットメントを生み出すオムニチャネル・マーケティング」
ショールーミング
店舗でみてネットで購入すること
ウェブルーミング
ネットでみて店舗で購入すること
ショールーミングとウェブルーミングのチェネルの違いが、IOTの発達によってシームレスになりつつある。
第10章「ブランド・アフィニティを築くためのエンゲージメント・マーケティング」
モバイル、アプリ、ソーシャルCRM、ゲーミフィケーション
①マーケターはモバイルアプリを使ってデジタルの顧客経験を高めることができる
②マーケターはソーシャルCRMを使って顧客をカンバセーションに参加させ、ソリューションを提供できる
③ゲーミフィケーションを使って望ましい顧客行動を促すことができる
ゲーミフィケーションで望ましい行動とは、ポイント付与しますよ、とかポケモンGOみたいにトロフィーあげますよっていうゲーム要素を用いて顧客に行動を促すこと
非常にためになる本だった。メモ書きだけでもこんな量になってしまった。覚えていられるだろうか。 -
マーケティング3.0で示された内容がより具体的な戦術に落とし込まれている。
これ一冊でも十分読めるが,3.0とセットで読むとより理解が深まる。 -
マーケテイング理論にスマートフォン時代を反映したもの。
しかしながらこの本単体での学習は難しい。
事例集から原理を探る場合に、辞書的に参考にしたい。
コトラーの言葉をブレークダウンしたドラッカーの本から学習をはじめたほうが良さそう。 -
現在のマーケティングの基礎となる考え方なんだなーという感じ。カスタマジャーニーを5Aに分けてそれぞれでどうアプローチするか、みたいな。これまでネットの記事などを読んだ内容と同じ(というかこっちが本家)で目新しさはない。先にこっち呼んでおけたら感動もの。
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ITが発展しマーケティングもマスからここに対応した効率的になりつつあります。
マーケティングの観点から、テレビCMは難しいコンテンツになりつつあるかもしれません。