自分の中に毒を持て<新装版> [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • タブロー 分限 即己 天才論 因果論 「今日の芸術」「アヴァンギャルド芸術」 ホモルーデンス 権謀術数 モメント

  • 自分も同じだって共感するところ、全然足りてませんって恐縮するところ、これからがんばろって希望が持てるところ、いや具体的にはなんなんだってつっこみたくなるところ、など。

  • 実はあまり岡本太郎のことを知らなかったが、どういう生き方をしてきたのか若い頃の話からの気づきなどは興味深い。他にも読んでみようと思った。
    岡本太郎に講演などを依頼する人達はどういうことを期待されてたりしたのか気になる。

  • 芸術家岡本太郎氏による、氏自身の生き様を踏まえた、生き方の指南書といった作品。現実に安易に妥協せず、既存の枠組みや自分の固定観念に囚われず、もっと自由に、もっと命の炎を燃やせと熱く主張しているように感じられた。主張は非常に極端ではあるが、もっと頑張れとエールを送っているようにも思われる。
    ただ、彼のような卓越した才能が無い凡人である私にとっては、現実を生きていくために、様々なことに妥協していかざるを得ない。自分なりにどう生きていくか、どう生きる意味を見出していくか・・彼とは異なる生き方を模索し続けなければならないと感じた。

  • システマティックに生きる人々、合理的に生きる人々、メリットを追求して生きる人々、社会にとって都合よく型におさめて生きようとする人々への強烈なメッセージ。
    本来、生きるとは非合理的で、無目的な作業である。だから、生きるとは芸術なのである。誰もが理解できる、誰もが共感できる、誰もが同意してくれる、誰もが美しいというモノ、人、意見は、何にもクリエイトしてないし『上手に』『精巧に』『職人的に』作られたモノは自由が存在しないのである。
    不器用であればあるほど、下手であればあるほど、何の囚われもなく、何の制限もされておらず、何の見返りも求めず、そこには褒める人批判する人感嘆する人恐怖に怯える人様々な反応がある。そんな無償の物が真の芸術であり『生きる』ことである。
    誰からも評価される無難にまとめた好感度の高いものは、生身の生きたものではないのだ。全力で生きてないのだ。
    そのメッセージがとにかく心を打ちました。
    わたしが生前の岡本太郎さんを思い出しても『芸術は爆発だ!』のCMと、太陽の塔、ピアノでショパンの軍隊ポロネーズを弾いている映像しかほとんど覚えておらず、アバンギャルドな芸術家のおじいちゃんという印象しか正直ありませんでした。彼がここまで自分の内側にあるものに従って、信念を貫いて生きた人だとは思いませんでした。
    彼が生きた明治から平成初めの時代はまだ今以上に日本社会は閉鎖的で古いものに縛られたり、高度経済成長で国のために社会の歯車として生きることが良しとされていた頃だと思います。なので、今の時代以上に変わったことをやったり考えたりする人は激しく叩かれた頃だったと思います。
    でもその彼の異端な人生観は結果的に今のこの令和に入って一人一人に一番求められている部分だと思います。
    彼のこの感覚についていかれない人たちは、これからの時代は厳しいとわたし個人は思います。わたしも、つい数年前までは社会の型にハマろうと頑張りすぎて自分が壊れたり、他人からの評価を気にする生き方しかできなくて悩んだ過去があったのでこれはすごく響きました。
    結婚観についても、新たに考えさせられています。
    発達障害やメンタル疾患に悩む『普通の人』になれない人はここにもしかしたら生きるヒントがあるかもしれない。
    これはバイブルだと思います。

  • 自分が尊敬する人がインスパイアされた本と知り、手に取る。

    「いずれ」を捨てろ。
    自分にしっかり刺さった。
    いつか成し遂げられるだろうと、未来で誤魔化すような考えを習慣的に行なってしまっている。
    辛いのは今この瞬間、そんな今に目を瞑り、責任を放棄する奴はいつまで経っても夢には届かない。

    今の自分に責任を持ち、ベストを尽くす。
    今後忘れずに持っておきたい、価値観の1つに出会うことができた。

  • 読んでいると常にヒリヒリさせられた。
    脈拍と呼吸が早くなる。ずっとドキドキしながら読んだ。
    太郎節炸裂、これでもかと読者の心に向かって矢を放つんだけど、攻撃するためではなくて読者の心に問いかけるため。
    一度パッと火種を撒き、それを回収してまたスパイスを加える感じ。
    芸術は爆発だ、人間の感性を解放することぶつけること、全身全霊で生き抜くこと。
    人生は絶望だ。
    だけど絶望を悲観して捉える必要はない。
    どうしようもない世の中、社会で生き抜くのが人生。

    肯定は否定の裏返しではなく、裏の理論にも論ずる余地がある。

  • 有名なので読んでみたが、今の自分が求めている本ではなかった。
    思いは強いが、特に根拠などなく、納得性のあるものではなかった。ただししかるべき時に読むとやる気が湧いてきそうな本だった。

  • 前半で、自己肯定感についてや、人生の選択方法、内向性について書かれていた。この類の人生観について私もよく1人でぼんやり考えているので、1つの考えが例示されてすごく楽になったし励まされた。後半の愛については、正直気持ち悪いと感じて内容に一気に冷めてしまった。一晩の相手についてわざわざ書いたり、他人に視線を送ってすぐ恋を始めようとする、相手をころころ変えて共に生きる気概もないというところに刹那的なその場が良ければいいゲーム感を感じ共感できなかった。男女の違い、国の違いなのだろうか?

  • 強烈なメッセージで、
    大衆に馴染むことのつまらなさを
    改めて教えてくれた作品。

    読めば読むほど岡本太郎の世界観に引き込まれていく
    圧巻であった

    下記、特に惹かれた部分抜粋

    p.36
    人生を真に貫こうとすれば、必ず、条件に挑まなければならない。いのちを賭けて運命と対決するのだ。そのとき、切実にぶつかるのは己自身だ。己が最大の味方であり、また敵なのである。

    自分を大事にしようとするから、逆に生きがいを失ってしまうのだ。

    p.39
    他人から見ればとるに足らないようなバカバカしいものでも、自分だけでシコシコと無条件にやりたくなるもの、情熱をかたむけるものが見出せれば、きっと目が輝いてくる。
     これは自己発見だ。生きていてよかったなと思うはずだ。

    p.60
    「どうしてこうなんだろう」とか「これでは駄目だということはよくわかっているんだけれど、どうしたらいいか、その方法がわからない。行動に移れない」などと考えこんで、結局、自己嫌悪におちいってしまったりする。
     そういう人の特徴は、みんな自分だけは特別だと思っていることなんだ。「自分は」だらしがない、「自分は」神経質だ、とか。そう思いたいかもしれないが、それは違う。ウヌボレだといってもいい。そんな人間は、がっかりするくらい、この世の中にいっぱいいる。むしろ、ほとんどがそんな人間だと思った方がいいかもしれない。

    p.61
    一度でいいから思い切って、ぼくと同じ駄目になる方、マイナスの方の道を選ぼう、と決意してみるといい。

    p.126
    ハイウェーでばく進しながら、その画一的、いわばスマートな身軽さを身につけながらも、しかし同時に、ジャングルの中を押し分けていくあの冒険。不如意。希望。失意とファイト。その孤独の戦いともいうべきロマンティスムを、意志的に自分に課すのだ。その対極的な相互作用に、身体全体をぶつけてこそ生きがいだ。

    p.127
    現代の小市民生活の単調さ、空しさは、一般的だ。だから束の間にもせよ、そこからの脱出をねがう気持ちはわかるのだが、「冒険」では実は己自身も、社会の運命も、小ゆるぎもしない。そういう安定した社会、生活、ふだんの土台に、いつでも戻ってきて心身を休められる。
    それを期待し、頼りながら、ただ一時期、羽目をはずしてみるだけ。全体的、全運命的責任はとらないのである。

    p.132
    人間は、必ずしも成功することがよろこびであり大事なのではない。闘って、後にくずれる。その絶望と憤りの中に、強烈な人生が彩られることもある。

    p.132
    俗に"失敗は成功のもと"という。そんな功利的な計算ではなく、イバラの道に傷つくことが、また生きるよろこびなのだ。通俗的な成功にいい気になってはならない。むしろ"成功は失敗のもと"と逆に言いたい。その方が、この人生の面白さを正確に言いあてている。

    p.134
    経営者ばかりを集めたセミナーに話をたのまれた
    中略
    ぼくの前の講師の話は日本はやがてアメリカをおさえ、しのぐという勢いのいいものだった。まことに結構。だがそういう話を聞くたびに、ぼくはいつでも、ふと、それが一体われわれの運命をほんとうに変えて行くのかという、いささか絶望的な反問が心に浮かぶのだ。
     ぼくの番になった。壇上からあらためて聴衆を見渡し異様な気分にとらわれた。・・・見るからに経営者。ビジネス、利潤追求だけに専念している、その外の人生は、ゴルフかマージャンだけというような。みんな同じ顔、同じ目つきで、ネクタイを締めて、ゾロッとすわっている。禿げた人、四角い顔、眼鏡、それぞれ違うのだが、同質に見える。ふと、何か異種の動物の前に立たされているような気持ちになった。

    p.193
    お互いに甘えて、さわらずに、そうっとしてればうまくいくような感じだし、優しさが一番のぞましいと思われている時代だから。きびしく自分というものを追求していこうとすると危険だ。親子関係じゃなく、すべてにそう言える。無難な方へ、無難な方へと行く。
     そういうところに今日の空しさがある。だから一見幸せなようだけれども、その裏側に何ともいえないうそ寒さがある。
     ぼくは生きるからには、歓喜がなければならないと思う。歓喜は対決や緊張感のないところからは決して生まれてこない。そういった意味で、親子の間にも、人間と人間の対決がなければならない。

    p.198
    ぼくは『今日の芸術』という著書の中で、芸術の三原則として、次の三つの条件をあげた。芸術はきれいであってはいけない。うまくあってはいけない。心地よくあってはいけない。それが根本原則だ、と。

    ただ一言、「美しい」ということと「きれい」というのはまったく違うものであることだけをお話ししておきたい。

    「醜悪美」という言葉も立派に存在する。

    p.202
    美人というのは本質的に女性の数だけあるとぼくは思っている。もちろん男性においてもだ。

    p.203
    ほんとうに生きようとする人間にとって、人生はまことに苦悩にみちている。矛盾に体当たりし、瞬間瞬間に傷つき、総身に血を吹き出しながら、雄々しく生きる。生命のチャンピオン、そしてイケニエ。それが真の芸術家だ。

    p.207
    ぼくはここで一つ提言したい。ひどくユニークで、突飛だと思われるかもしれないが。いま、この世界で必要なことは、芸術・政治・経済の三権分立である。

    p.208
    政治家は自分たちの囲いの中で権謀術数、かけ引きのかたまり、経済人はソロバン勘定だけ。その面ではきびしいが、人間としての生き方の哲学については、まるでうとい。と失礼ながらそんなふうに思えてならないのだ。

    p.212
    明治百年以来、日本人はなりふり構わず、大変な背のびをしてきた。その結果で経済大国にはなったようだが。しかし国や組織ばかり太っても、一人一人の中身は逆に貧しくなってしまったのではないか。
    「日本人」は変身しなければならない。
    政治家よ、エコノミストよ、官僚よ、もっと人間になってほしい。そして芸術家に。

    p.212
    芸術と言っても、何も絵を描いたり、楽器を奏でたり、文章をひねくったりすることではない。そんなことはまったくしなくても、素っ裸で、豊かに、無条件に生きること。
    失った人間の原点をとりもどし、強烈に、ふくらんで生きている人間が芸術家なのだ。

    p.245
    自分を大事にしようとするから、逆に生きがいを失ってしまうのだ。

    p.246
    人間本来の生き方は無目的、無条件であるべきだ。それが誇りだ。死ぬもよし、生きるもよし。ただし、その瞬間にベストをつくすことだ。現在に、強烈にひらくべきだ。未練がましくある必要はないのだ。

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著者プロフィール

岡本太郎 (おかもと・たろう)
芸術家。1911年生まれ。29年に渡仏し、30年代のパリで抽象芸術やシュルレアリスム運動に参加。パリ大学でマルセル・モースに民族学を学び、ジョルジュ・バタイユらと活動をともにした。40年帰国。戦後日本で前衛芸術運動を展開し、問題作を次々と社会に送り出す。51年に縄文土器と遭遇し、翌年「縄文土器論」を発表。70年大阪万博で太陽の塔を制作し、国民的存在になる。96年没。いまも若い世代に大きな影響を与え続けている。『岡本太郎の宇宙(全5巻)』(ちくま学芸文庫)、『美の世界旅行』(新潮文庫)、『日本再発見』(角川ソフィア文庫)、『沖縄文化論』(中公文庫)ほか著書多数。


平野暁臣 (ひらの・あきおみ)
空間メディアプロデューサー。岡本太郎創設の現代芸術研究所を主宰し、空間メディアの領域で多彩なプロデュース活動を行う。2005年岡本太郎記念館館長に就任。『明日の神話』再生プロジェクト、生誕百年事業『TARO100祭』のゼネラルプロデューサーを務める。『岡本藝術』『岡本太郎の沖縄』『大阪万博』(小学館)、『岡本太郎の仕事論』(日経プレミア)ほか著書多数。

「2016年 『孤独がきみを強くする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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