考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門 (幻冬舎新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • YouTubeのReHacQという番組で著者が哲学対話の話をしていたのをきっかけに読んでみました。
    サブタイトルに哲学入門と書いてあるけど、難解な話は一切無く誰にとっても読みやすい本です。
    著者はこの本の中で何度も、考えることが哲学であり哲学とは自由になることであると言います。

    僕は気の置けない友人と山にキャンプに行った時の会話の中で、「幸せとは何か?」とか「山頂に行かない登山はありか?」とか「何もせずにただひたすらダラダラすることがなぜこんなにも気持ちがいいのか?」とか語り合っています。

    その時たしかに自由を感じていて、それはもしかすると、この本に書いてある「哲学対話」と同じ事を知らず知らずのうちにやっていたのかも知れないと考えて納得出来ました。

    後半は具体的にその哲学対話のルールや実施方法、ファシリテートのやり方とか詳しく書いてあるので、遊びだけではなく仕事でもチームビルディングの一環として哲学対話を取り入れてみたいと思いました。

    この本は良書です。これからたぶんあと2〜3回は読み直すと思います。

  • 素で話しているように見えて、ほとんどは真の言葉ではない
    真の言葉で話すための実践的な対話の方法論といったところ

  • 自分の人生を生きるために、他者と共に自由に生きるために考える

    クルミドコーヒーの影山さんが執筆された「ゆっくりいそげ」の本でも、他者と共に自由に生きることを目指したい、と書かれており、すごく共感していたので、その世界を実現するための哲学対話なんだなと思いました。
    そして、クルミドコーヒーさんは哲学カフェ、朝モヤを主催しており、他者と共に自由に生きるための場所づくりを着々と進めておられることを実感して、少し感動しました。

    私も一度朝モヤに参加したことがあったので、本書の内容を体験と照らし合わせながら実感を持って読むことができて良かったです。

    私も哲学対話を主催してみます

  • 小難しい哲学者の思想を述べた本ではない。基本的には考えることの実践として「哲学対話」をメインにした内容であるが、その前段として「考える」ことの考察は面白かった。一言で言えば、考えるとは、問い、考え、語ることであり、自分との対話である。問うことで思考が動き方向づけられる。問いの質が思考の質につながる。「問い」を立てることを意識しよう、と思った。(KindleUnlimitedで読了)

  • 「考えること」は学校や社会では教えてくれない。
    それは本質的に何を指すのか。また、哲学対話を通して「考えること」やその能力を鍛える術を書いた一冊。

    まさに哲学対話をしたくなった。
    全体を通して、著者の言葉の選び方や遣い方がすごくわたし好み。
    無駄がなくストレートなのだけれど、誰かを傷つける言葉では決してないのだ。
    読んでいて心地が良い。そして面白かった。

  • Audibleにて。
    考えるトレーニングには、問いを与えられる必要があるという固定観念を持ってしまっていたが、自ら問いを立てることそのものが考えることであると気づかせてくれた。
    なんとなく知識としては聞いたことがあったが、腹落ちしておらずまさに思考停止していた。
    この本では哲学対話を通じて問いを立て、話し、聞くことを紹介してくれている。
    今職場で実践しているリーンコーヒーと近いと感じた。
    リーンコーヒーはこれからも改善、継続していこうと感じた。

  • 知的活動の源が「問うこと」にあるという、当たり前だけども重要なことに気づかせてくれた。今の自分には、根気強く頭に問いつづける姿勢や体力が足りていない。

    他者との対話の際に、いい空気を作り出す種々の技術は、突き詰めていくと立派な武器になると確信した。

  • 著者のすすめる「哲学対話」の話。
    哲学対話は、『問い』を用意し、十数人が丸くなって座り、小難しい哲学用語は使わず自分の経験に基づいて話す、というもの。
    どのように対話をするのか?結論は?問いは?対話する人はどんな人?など、哲学対話のやり方や効用についてかかれている。
    個人で考えを深めたい、と思う人にはあまり向かない本。

  •  「哲学対話」について実践者からの目線で書かれたものである。副題の「0歳から100歳までの哲学入門」が斬新である。
     「哲学対話」という「場」は哲学についての知識を必要としていない。むしろそれが邪魔をするタイプの人も居るということは自分も参加したことがあるので共感するところである。すべてのひとは一度は門を叩くのが良いと思っている。
     2020年はワークショップの界隈では「問い」に関する書籍が2冊出版された。ファシリテーションやワークショップでは参加者に「もやもや」してもらう、自ら「問い」を発し続けるようになってもらいたいというタイプのものがあるがこの源流が「哲学対話」なのだろう。
     よくある「哲学」に関する印象や思い込みは「難しい」「役にた立たない」であろう。私自身以前はそのように考えていた。
     ベストセラーとなった「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」や他の本でも「対話」により進むものがあるが、自分自身であれ他者であれ良い「問い」その人のあり方をより良く変える装置であると思う。
     また自身について考える、内省するというのは成長にはとても役に立つと思う。ただ流される日々を送りがちだと思うのであれば「哲学」の門を叩くことも必要だろう。その際に「哲学対話」はそのキッカケになると思う。

  •  語り口はやさしいのですが、まとめるとなるとなかなか難しい作品です。プロローグとエピローグを何度も読んでどうまとめようか呻吟しました。

     で、結局筆者が言いたいのは、対話を通じて「考える」という体験をしよう!そして、もっと気軽に日常で「考える」ということをしていこう、だって考えることで我々は自由になるし、自由だからこそ我々自身の人生に責任が持てるのだ、とこんな感じの事を言っているのだと思います。

     「自由な発言や思考は制限されている。」
     筆者は日本社会のことを揶揄してのではありません。確かに日本では顕著ですが、どの社会でも、自由な思考は組織のルールや文化的制約によって大なり小なり制限を受けていると思います。
     親や先生がいう「よく考えなさい」という発話。あるいは同僚や上司がいう「そんなの普通に考えばわかるだろ!(怒)」。こうした発言は、一定の答えを暗に強要し、むしろ自由に考える行為とは対極の要求をしています。
     こうした表現そのものに罪はないと思いますが、現実的には人をよくよく考えることから遠ざける一因になっていることも確かではないでしょうか。

     この作品で筆者が主張するのは、このような考えさせない力が作用しがちな現代社会で、「考える」という行為を我々の日常に取り戻すこと、であると思います。くわえて「考える」行為を導入する「対話」を通じて、哲学を、知識としての哲学から体験としての哲学へと変態させることであると思います。

     さてこのような「考える」ことを可能にする「対話」とは何か。それは「問い、考え、語り、聞く」ことです。対話の中にはこの四つの要素が含まれており、これを十全な形で実行することで我々は考えるということを取り戻すないしは身に付けることができる、というものです。

     問いの設定と考えることは確かに単独でできます。語ることも独白なら一人でも可能。でも相手が出てくることで途端に思考が必要になる。他者だ。老人か子供かあなたのパートナーや友人、いずれにせよ相手のレベルに合わせて話す必要がある。また疑問について答えなければならない。さらに言えばその疑問に自分の至らなさや不明瞭な部分が分かったりもする。つまり、対話をへることで思考は深化してゆきます。

     このような対話のプロセスを複数人のグループで、なるべく異世代をあつめて、目的なく行うというのです。人の数だけ考えや反応は違うので、こうした対話の進め方は斬新ですね。筆者はあくまで「目的なく」というのですが、その有用性から、何か他のことを目的に(ビジネスとか)使えそうな雰囲気もありますね笑

     哲学対話についてのテクニカルな話題については作品中で語られているので割愛します。できるだけ輪になって座るとか、相手を否定しないとか、結果を求めないとか、そうしたことは対話、ひいては考えることを成立させかつより深化させるためのTipsにすぎません。本書の分量にして半分程度が対話のテクニックやそれが導入される背景や理由についても語られています。しかし、それらは筆者がいう「考えること」の回復作業を支えるツールにすぎません。要点はあくまで「考える」です。

    ・・・

     私が本作に出会ったのは、息子の高校入試の過去問の中ででした。
     哲学という言葉が表題にありますが、哲学・思想に関するとういうより、生き方に類する本であるという印象を受けました。そして、哲学対話というのをしてみたくなりました!一緒にやる人がいないけど。
     読者層という観点から言えば、中学生から大人まで(タイトル通り!)多くの方が楽しめる本です。また、筆者は哲学の一般的な印象(意味不明、難解、役に立たない?)を十分に分かったうえで書いていますので、哲学ファンや思想好きな人なら筆者の語る哲学のイメージを「あるある」として楽しむこともできます。それもまた一興。

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著者プロフィール

龍谷大学、関西大学、摂南大学非常勤講師。
1966年名古屋市生まれ。
1997年京都大学大学院人間・環境学科博士後期課程修了。
主な著訳書
『新現象学運動』(共編)、『雰囲気と集合心性』(共著)ほか

「2002年 『シュミッツ現象学の根本問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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