人生を狂わす名著50 [Kindle]

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  • ライツ社
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感想・レビュー・書評

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  • 著者の「(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法」は取っ付き難い名作と言われる小説をどう読めば面白いのかを著者の経験から書いたエッセイだったが、本書はその著者が読んで面白かった、あるいは感動した本(小説に限らない)を紹介するブックガイドで、今まで私が見向きもしなかったような本も紹介されている。
    若い読者を対象としているようだが、この頃読書の傾向が偏っているなと思っていた私にとっても読書の幅を広げる参考になった。

  • 最近あまり読書をしていなかった。
    年末に向けて本棚の整理をしたことで読書意欲が高まったので、読みやすくてリハビリになりそうかつ、読書への好奇心を呼び覚ましてくれそうな本書を、積ん読から選んだ。
    読んだことはあるけど読み直したい本や、読んでみたい本が10冊ほど増えた。

    わたしも子供の頃は読書好きというアイデンティティを持っていたが、筆者のように読書にのめりこんでいたというよりは、他にすることもないので読んでいる側面が強かった。
    面白い本に出会って夢中になるような子供時代を送りたかったものだが、今からでも己の嗅覚と向き合って、面白い本を読んでいきたいなぁと思えた読書だった。

    また、本書は、ものとしての作りが非常に好みだった。
    すべすべで手に馴染むやわらかいカバーと、同じく絶妙な柔らかさの本文用紙。
    すべての本をこの素材で作って欲しいくらいだ。

  • この本読んで、自分は谷川俊太郎が小学生の時に大好きで、図書館で何回も借りたのを思い出した。
    本を夢中になって読んでいたあの頃にまた戻りたくなったし、本をもっと読みたいと思う。

  • 本に対する愛情がほとばしってる。
    三浦しをんにも同じような感想を持ったことがある。
    こちらの方が今風でポップな印象。
    佐藤優や落合陽一にも本への熱いものを感じたが
    性別によるのかちょっと種類が違う気がする。
    三宅も三浦も速読など考えたこと
    ないんじゃないだろうか。
    本書でもっとも熱量を感じたのは
    伊勢物語の箇所。うわってなった。
    「私が大好きで心から愛している伊勢物語を、
    こんなふうに、もっとおもしろく読んでくれる
    人がいる!『恋する伊勢物語』を読んで、
    感動したのはそこだった」(P363)
    そこ!て突っ込みたくなった。
    「ふいに私と同じものを好きな人に
    出会うことがある。
    最初はぎょっとする。ま、まさかこの世に
    私と同じコレを好きな人がいるなんて⁉
    そしておそるおそるその人の視線を覗いてみると、
    本当にそれを好きだとわかる。
    きらきらした目線で、私と同じものを見ている。
    うわ、そんなまさか、同志がいたのか⁉
    この世に⁉本当に⁉」(P358)
    「ぎょっとする」「同じコレ」「おそるおそる」
    「うわ」「同志」「この世に」この言葉みんなに
    実感がこもってる。
    「もしかして大学の文学部という場所に行けば
    もっと伊勢物語について語ることのできる人が
    見つかるのでは⁉」(P359)
    オタクや同人、研究者や学者の根っこにあるものを
    こんなに精確に書いた文章は初めてだ。
    そしてこう書く
    「もしかして、私、孤独じゃなくなる⁉」(P359)
    同人誌即売会などマニアックな集まりに行く人の
    心情を端的に言い当てている。

    「楽しみな本や漫画の新刊をよんでないうちに
    死にたくないなぁ」(P377)
    読みたい本があるからまだ死ねない。
    ヌーベルヴァーグ、ゴダールの『いとこ同士』
    で書店主も同じようなことを言っているが
    この手の言葉は大好きだ。
    自分もいつもこの言葉を心に持っていたい。

    「どれだけ深い真実であろうと、言葉して
    ぽんと出されただけでは、ふーん、いいこと
    言ってるなー、で終わる。
    けれど漫画や小説の中で『物語』として登場人物
    の心情や謎を追いかけるうちに、ハッと作者の
    『伝えたい真実』に出会ったりすると、
    『え、これってどういうことなの?』と考える」
    「物語ってすごいよな、と思います」(P290)
    結果でなく、意識や出来事の流れという形にならない
    真実。それを追うこと見えるものがある。
    物語の魅力ってそこにあるように思う。

    「世の中には、現実を忘れさせてくれるくらい
    おもしろくてわくわくする本ってのがあるけど、
    同時に、現実をより深く考えさせてくれる本、
    ってのも存在するのよ。それこそ、現実の世界の
    見方が変わるくらい」(P302)

    「兄弟闘争、政略結婚、渦巻く陰謀、その間に
    挟まれるのほほん日常エピソード」(P356)※

  • cakesで本書のもとになった連載をみつけて以来、同い年の女性で非理系の大学院生という共通点に親近感が勝手にありました。本の趣味があわないところもありますが、自分が読んだことのない本を知ることができるので重宝しています。

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著者プロフィール

1994年生まれ。高知県出身。
京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。大学院時代の専門は萬葉集。大学院在学中に書籍執筆を開始。現在は東京で会社員の傍ら、作家・書評家として活動中。
著書に『人生を狂わす名著50』(ライツ社)、『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』(サンクチュアリ出版)、『副作用あります!? 人生おたすけ処方本』(幻冬舎)、『妄想とツッコミでよむ万葉集』(大和書房)、『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』(笠間書院)。ウェブメディアなどへの出演・連載多数。

「2021年 『女の子の謎を解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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