コーポレートファイナンス 戦略と実践 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 序盤の章は初心者向けで易しすぎる印象であったが、中盤からはファイナンス理論が丁寧に説明され、実務担当者が直面する問題に対しても著者の具体的な見解が示されており大変参考になる。
    勉強になった点は沢山あるが、最も参考になったのはM&Aの買収価額の考え方。一つの考え方としては、DCF法で算出した理論株価と現行の株価の値差は現行株主が享受するプレミアムと考え、理論株価を買収価額とするもの。この価額で購入すると買い手にとっては何も旨みの無いDealに思えてしまうものの、買い手が購入することで生まれるシナジーがあれば、そのシナジーによって予想FCFが向上し理論株価が上昇するため、この上昇分のプレミアムが買い手が享受するプレミアムと考える。この考え方に基づくと、Wish ListやLong Listを平常時に作り、どの会社を購入すべきか(シナジーが生まれるか)を考えておき、購入前理論株価・購入後理論株価のシミュレーション等を丁寧に準備しておく必要があって、行き当たりばったりでPartner等から提案された案件に乗って、シナジーがはっきり分からない会社を急いでDDして買収を行う等の行為は軽率な事業判断にしか思えない。
    上記に限らず、示唆に富む内容が沢山あった。著者の違う本を読んでみたいと思う。

  • 会社の設立と成長、上場後のIRやM&Aまで、時間の経過による企業の成長を Life of a Company と呼ぶ図式で捉え、各ステップで必要になる前提知識や財務戦略の解説がされている。
    実在する企業の実績や数字を示して説明がされているため、実感を持って読み進めることができる。一方で、指標の計算方法は知っているが意義が分からないといった読者に向けて書かれているように読める部分もあり、各指標について知識がある状態で読むとより理解できるのだろうと感じた。


    第2章では、B/SとP/Lについてわかりやすい説明がある。

    > B/S は、ある時点において、資金をどう調達したかとそれをどう運用したかの状況を示しています。企業の財務状況をある瞬間のスナップショットでとらえた「ストック」の概念です。... P/L は1年間における取引活動の結果、どれだけ儲かったか(または損したか)を示しており、これは「フロー」の概念ということができます。(P/Lはフロー、B/Sはストック p.38)

    キャッシュフローについても、キャッシュフローを営業CF、投資CF、財務CFと分解し、眼鏡業界3社の実績を比較することで、企業のライフステージとキャッシュフローの関係性が示されていて、これもわかりやすい。

    ROAとROICを用いた企業のキャラクター分析や、ROAとROEの差と財務レバレッジの関係の説明もあり勉強になる。

    続けて、現在価値、加重平均資本コスト(WACC)、CAPMとβ、DCF法と続くが、これらについては実際の分析や他の書籍もあたらないと理解し切れないだろうと感じた。存在を頭に入れて今後のキャッチアップの材料としたい。

    本書の後半ではM&Aや配当などよりケースバイケースの内容が多くなり、これらについては数値の実体験を持った上で読み進める必要があると感じた。これも今後のキャッチアップの材料としたい。

  • コーポレートファイナンスの基礎を、身近な事例を用いて学ぶことができる良書。
    計算式を含む難解なパートも一部はあるものの、それ以外は極力平易な表現や事例で解説されており、習得しやすい。

    コーポレートファイナンスを専門としている証券会社等の社員は当然ながら、事業会社で経営企画や経理財務に携わる人にもおすすめ。

  • おお!レバードベータとアンレバードベータの意味が初めて正しくわかったぞ!!

  • 自社のファイナンスはもちろんのこと、他社への投資案件も検討する立場にあるので、実務に裏付けられた知識を包括的に体系化している本書は、目新しいという内容こそ流石にないけど、散らばりがちだったり、スタッフ達に共有するのに言語化するのが難しかったりする点を補ってくれて参考になる。著者も断っている通り、本当の基礎的な内容はある程度知っていないといけないが、ザックリ初中級者向けとも言えるかも。僕なら自分のスタッフに読ませたいが、残念なのは、今読ませたいスタッフに日本語分かる人はいないことだ。。

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著者プロフィール

田中 慎一(西南学院大学法学部准教授)

「2022年 『スタンダード商法Ⅱ 会社法 〔第2版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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