ジェリーフィッシュは凍らない 〈マリア&漣〉シリーズ (創元推理文庫) [Kindle]
- 東京創元社 (2019年6月28日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (369ページ)
感想・レビュー・書評
-
①事件の真相を追う刑事のマリアとレン
②不時着したジェリーフィッシュの乗組員
の2つの時間軸でストーリーが進んで行く。
①のキャラはわかりやすかったが、②の人たちの関係性が弱く、
もう一つの事件を引き起こした理由というか説明があっさりしていた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読。初読時は本格ミステリとしての情報の出し方が気になってしまったが、余計な先入観なしに楽しめば非常に面白いミステリだった。ジェリーフィッシュという架空の技術がワクワクするし、舞台としても秀逸だ。『十角館の殺人』を意識して書かれていることも踏まえても展開の仕方は自然、少々動機が揶揄されているようだがそれも含めて「らしい」ではないかと思う。その動機にしても、個人的には「十分すぎる」と感じた。この複雑に過ぎる事件の首謀者がそれだけの行動に想いを乗せるならば、動機に込められた感情もそれだけのものであるはずだ。
-
しっかりとしたミステリーなのに、犯人への道筋があやふやな感じがした。そこ、言い逃れられたらどうしようもなくない?…とは言え、犯人の立場に驚きもあったし、面白かった。
謎につぐ謎。推理するほどに生まれる矛盾。こういうの大好き。
最初は会話内の1つの台詞が長いのに多少戸惑った。
船内、捜査、独白という構成での進行はとても楽しめた。 このシリーズ、また読もうと思う。 -
トリックが浮かび、それを可能にするため、惹き立てる設定を組み上げ、魅力的な舞台を作ってキャラクターを配置してと、本格作りは逆算だと思う。
ラストのネタバラシを印象強くするため、読者をそのアッと驚くラストまで引っ張っていかなければいけない。
そのための設定は架空でいいわけだし、現実離れして構わない。
とんでもSF大いに結構。
ただ、ありえない舞台を作るなら、それでも読者を納得させる筆力が必要だろう。
全体的に弱いんだよなあ。
トリックも犯人そう驚くものじゃない。
無理して「そして誰もいなくなった」に似せなくてよかった。
探偵もキャラは濃いいが、大した仕事していない。
全体的にぼやけちゃったって思うのは私だけ?
それでも破綻してないし、面白いと思うし、今後に期待。
仰天のトリック、意外な犯人、鮮やかに謎を解くエロいマリアを読みたい。 -
あらすじ
1983年、U国。飛行船に替わる小型飛行船「ジェリーフィッシュ」が発明されてから10数年。その発明者である教授と開発チームはさらに改良を重ね、試験運行に臨んでいた。しかし、途中で教授は死亡。運行プログラムは何者かに書き換えられ、吹雪の中、機体ごと雪山に閉じ込められてしまう。
面白かったー。SFもの?現代に似た架空の世界。U国という、アメリカをモデルにした?国が舞台。設定が特殊だけど、ミステリーとして十分楽しんだ。航空機内での描写、犯人の思い出、捜査する警察の3つの視点で書かれている。確かに「そして誰もいなくなった」が骨組みにあるけど、読ませる書き方になっていた。 -
この間、あまりにも疲れているのか、推理小説を読みたい気分だ。とりあえず、医師の知念実希人を2冊読んだので、市川憂人を読んでみようと思って読んだ。ふーむ。「ジェリーフィッシュ」という飛行船の乗組員6人が、全員死んでいたのである。それは墜落事故ではない。ミステリー小説の『そして、誰もいなくなった』ということだ。
設定は、1980年代で、U国で、事件は起こる。時代設定がうまい。インターネットが発達していないといのが、ミソだ。インターネットが発達してしまうと、登場人物は簡単に情報を集め、連絡することができるからだ。フィリップ教授とその研究員たちの研究グループが「真空気嚢」を生み出したことが始まり。この技術によって航空機の可燃性ガスは不要になり、四十メートルにまで小型化することにも成功。鍵は窒化炭素という特殊な素材で、これを合成に使うことによってダイヤモンド以上の硬度と樹脂の割れにくさを併せ持った軽量の「気嚢」つまり飛行船が実現できた。
6人の死を捜査するのが、マリアと九条漣の刑事コンビ。マリアは、ナイスバディなのだが、ぼさぼさの赤髪、くたびれた服、泥が付着した靴など、姿を構わない。とにかく、朝寝坊のようで、事件が起こるたび、部下の漣がマリアを電話で叩き起こして現場まで引っ張っていくという。朝食は九条漣が用意する。餌付けされている。それに、マリアは、天然ボケ的なところがあり、基礎知識があまりない。部下の九条漣は、冷静沈着で鉄面皮で慇懃無礼。マリアをいつもたしなめる。
しかし、マリアの推理力と交渉力は抜群で解決に導く。このコンビが、ジェリーフィッシュ6人死者事件を解明する。問題は、窒化炭素の開発技術なのだが、フィリップ教授が開発したというのだが、どうも、実験がうまくいかず、Rにもっと聞いておくべきだったなどとメモをしている。
Rとは、レベッカという名前で大学1年生で、とても優秀な学生だった。父親が化学者で、子供の頃から、化学実験に親しんでいた。実験の最中に青酸ガスを吸って死んでしまうのだった。それに、レイプされた跡もあり、殺されたのかもしれない。でも、その実験室は密室だった。
結局は、「真空気嚢」の技術は、レベッカが開発したのだった。レベッカが死んだ後、フィリップ教授チームが、特許を申請したのだった。レベッカの実験ノートが見つかって、特許の無効を訴えるって、無理があるなぁ。それは、先願主義という原則の意味は間違えて理解しているのではないかな。
実験ノートで、特許は成立しない。まぁ。
結局は、レベッカが復讐したように工作した犯人がいたのだが、ステルス機能を持ったジェリーフィッシュが並走していたということだけど、ふーむ。無人飛行が可能なんだね。犯人の告白も説明があるので、物語は重層的ではある。まぁ、刑事マリアはちゃんとカラクリを見抜いてしまうのだが。
結末は? この物語を作り上げたことに、作者の想像力、創造力があるんでしょうね。結局は、推理小説も、ルール作りがポイントだ。 -
雪山に不時着したジェリーフィッシュで起こるクローズドサークル。
犯人の殺人動機はすごく共感でき、ラストパートはとても考えさせられる内容となっています。 -
なるほど!こんな乗り物あればな。空中での閉鎖空間殺人が珍しくて面白かった。