ゴルコンダ [Kindle]

著者 : 斉藤直子

感想・レビュー・書評

[たなかさんの感想 · 2019年11月25日]

［ゴルコンダ］
　妙に昔懐かしい感触のする短編だった。先輩と「僕」というキャラ立ちのはっきりしたふたり組といい、ある日をきっかけに妻が複数になってしまったエピソードといい。基本的にコミカルな話で、軽々と読み進むことができる。はっきりとした固有名詞のおかげで、背景が妙に現実的だったり。でも、その場で起こるエピソードは完全に非現実的。楽しい。
　ところで、この短編集、「惑星と口笛ブックス」なんですね。それで Kindle 版しかなかったのか。読めて嬉しいとも思うし、間口が狭まるのは残念だなとも思ってしまうのは、自分が電子版ならなるべく honto 派だからか。

[mosatabbyさんの感想 · 2019年8月26日]

会社員の＜僕＞と先輩のコンビを描く日常系ＳＦ連作6編と、大正・浅草を舞台に腕っ節の強い男と、衣紋かけみたいにひ弱な青年がドタバタとする講談ふう中編1作品を収録。28人の奥さんやら、サポートセンターの解脱やら、取り憑く壁紙アプリやら、トンデモない事態ばかり惹き起こしてもその自覚がない＜僕＞と、ツッコミ役の先輩とのかけあいが絶妙。“恋人がある日突然28人の恋人たちになるなんて、１人の恋人も持ったことがない僕からしたら憧れの花びら大回転なのだが”など、おバカぶりがことごとくツボでした（2019）