- Amazon.co.jp ・電子書籍 (315ページ)
感想・レビュー・書評
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かなり面白かった。面白いのは「運」という我々人間の認知を超えた存在は人間にべったりと寄り添っているため、真新しい発言は古田氏からある意味でなかったということだ。つまり、必然と偶然の両義性は意識していないだけで、かなり実感と近い。我々はそのような切り離して考えられない、それでいて曖昧でとらえどころのない、しかしたしかに存在しているようなものと向き合い、善と悪、すなわち道徳、倫理を考えなければならない。なぜならそれは責任の問題と結びつくからである。社会の変革がめまぐるしい現代。新たな法秩序が求められる。AIや未知の病原体などが我々に問うのである。
その変革する流動的な社会においても変わらず「運」は人間、我々一人ひとりにこびり付いて離れない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人が行うことに対して、その良し悪しをどのように考えるべきなのか。古来から現代にいたるまでの哲学者たちによる著作などを題材に、この問題の困難さと解決の糸口を見つけようと試みられています。なぜ困難なのかについては、本書の副題にある「運」というのが大きな影響を与えているからということ。これは本書を通して背景に、なんとなく不気味に存在しているように感じました。人間は「運」の結果に対してどのように判決を下すのかが、本書のテーマの一つとなっています。そしてその歴史を知ることから、我々がどのように考えるべきなのかという投げかけもいただいています。答えのヒントとして、「運」が重要な要素であることを無視しないこと。本書の後半に書かれているように、摩擦は通常は無視されるものですが、「それが無いと歩けない」という指摘に唸りました。
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面白かった