- Amazon.co.jp ・電子書籍 (389ページ)
感想・レビュー・書評
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なんとも名状しがたい読後感。途中までは作中人物たちが何をしてるのかもはっきりわからないまま進むし、脈絡のない計画がポンポン出てくるんだけど不思議とバラバラにならない。変な小説だけど前向きになれる。続けろ!
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引き篭もり専門(?)のカウンセラーが、才能の片鱗を感じるクライアントを束ねて、CGの「不気味の谷」を超えるプロジェクトを立ち上げる。ただ、話の主眼はそこにない。プロジェクトを通して少しずつ変わっていく引き篭もりのクライアント達。とは言え、「再生」の物語とも言えない。何というか、何でも始められるんだ、人との繋がりは大きいんだ、ということを感じさせるところはあるけれど。後半、話が転々とし始めて落ちどころが見えにくくなるところで逆に面白さが増す。
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ヒキコモリの異能者を集めて目指すのは不気味の谷の向こう側。
津原さんはずいぶん前に読んだ「ブラバン」以来。少し独特な文章のリズムが相変わらずで慣れるまでちょっと読みづらいですが、次々に起こるイベントを追って楽しく読めました。
根底には、世間で言われているほどヒキコモリが役立たずではないことや、必要なのがほんのちょっとしたきっかけや言葉がけと社会に接触するチャンスなのだということを訴えているようで、ヒキコモリを十羽一絡げにせず、一人一人を見つめる視点に共感を持ちました。
さて、幻冬社がゴタゴタを起こして後を引き継ぐように早川が文庫化した本作、幻冬社よりもよほど「書籍」というものの価値と重要性を理解している早川がそのスタンスを維持するためにも、たくさん売れてほしいものです。 -
決してつまらないというつもりはなくわくわくした部分もあるのだけど、ヒッキーたちがどこに向かっていて、というところはあまりよくわからなかったので、そこがあんまりかなあ、と思った。
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グロテスクさのない津原作品。人物の背景や設定をあまり描かず、物語が始まってから人物がどう行動するかを通して周りが見えてくるという不思議な展開。カメラが回ってから記録される映画やテレビ的な小説と言えるか。
その特徴から、登場人物と同様に読者もどんどん巻き込まれていく感を味わうことができるが、一方で語られなかった部分(カメラが追わなかったor回っていなかった)がよくわからず、「あれはどうなった」と思うこともあった。 -
前半の、話がいまいち転がり出さない停滞感はなんなんだろうか。退屈でモヤモヤする。加速のためのブーストのほとんどが後半に仕込まれていて、JJの故郷への小旅行のあたりからスピード感のある展開になっていくのだけど。あそこでタコとかカメとか良識的で天真爛漫すぎる人たちが出てきてから物語に明るさが見え始めて救いがありそうな雰囲気になってくる。現実の田舎町には存在しない、興味本位の詮索もマウンティングもしてこない、ひたすら善良な中年の人たち。彼らの存在こそが本作におけるUMAだといえる。小さい象さんよりも架空度の高い存在。
登場人物たちの構成が子どもの頃に見ていた戦隊ヒーローものみたいで懐かしかった。やがてこの世から消える運命の司令官、紅一点を含む戦士たち、ゴールドレンジャー的な一段階上の戦士、サポート役、無垢なラスボス、などなど。
現代の先鋭的な若者のモチベーションが金でも名誉でもなく面白さにシフトしていることを看破しつつ、結局特殊な技能を持った人たちだけが導かれうるという身も蓋もなさ。現実には、「君の力が必要なんだ」とスカウトに来てくれる司令官はいないので、自分で頑張るしかないのよね。そんな現実を忘れさせてくれる楽しい読書だった。 -
その辺にいそうでいないヒキコモリたちと、詐欺師の話。パセリ、セージ、タイムのそれぞれのエピソードがよかった。最後はすこし切ない。
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引きこもりを束ねて暗躍する
カウンセラーの真の目的は?
いろんな引きこもりがいるのね。