- Amazon.co.jp ・電子書籍 (314ページ)
感想・レビュー・書評
-
両親を事故で亡くし、生きる気力を失い、心を閉ざして生きていた主人公の青山。偶々アルバイトで行った水墨画の展示会で、日本を代表する有名芸術家の篠田湖山に出会い、未経験者にも関わらず、才能を見出されて内弟子となる所から物語が始まります。
多くの皆さんが高評価をつけておられるので期待して読み始めました。
期待値が高すぎたせいでしょうか?私としては、まあまあ面白かったけれど、そんな絶賛するほどでも…という感じ。
偶々私がそういう作品に触れることが多いのかもしれないのですが、『両親を突然事故で失って孤独になってしまう』設定多すぎません⁇
湖山先生はじめ、出てくる人物はみんないい人ばかりで、それぞれが魅力的な人物なのだな、というのは読んでいてわかりましたが、「わあ、この人好きだなぁ」と感情を揺さぶられるような生き生きとしたキャラクターとしては伝わってきませんでした。
『僕は、線を描く』じゃなくて、『線は、僕を描く』なんだ、と、最初に知った時に違和感があって、その違和感こそがフックとなってこの作品を読みたいと思ったのですが、そのタイトルの意味が最後に明らかになり、そこはしみじみと良いなと感じました。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
水墨画という分野と出会い、巨匠、弟子達との関わりの中でひたむきに努力、切磋琢磨、自問自答しながら成長していく姿に惹きこまれました。
多くは語らず、実際に描いてみせる事で伝える様はさすがですね。
主人公の感性に触発され、日常の何気ないところ、自然の美しさなど、ちょっとした見方が変わるかもと思いました。 -
作者が水墨画家ということもあり、読み手も水墨画って何っていう人ばかりだろうから、丁寧に水墨画のことを書いているのは分かるけど・・・ていう感じかな。
書き過ぎ感が重くて、ちょっと胸いっぱいってなりました。
ただ知らなかった水墨画のことを知れたのは良かったです。 -
静かな話
-
両親を事故で亡くして傷つき生きる意味合いを失っていた(見出せなくなっていた)主人公が、水墨画の世界に出合って、引き摺り込まれ、引き込まれて再生していく。読み終えてから著者自身が水墨画家と知り、絵だけでなく文章まで美しいのかと驚く。水墨画という全く馴染みのない世界のことなのに、あまりに美しい世界観に僕もドップリ引き込まれた。漫画『とめはねっ!』の世界観を思い出した(あれは再生じゃなく成長だし、共通点は「墨」と「純朴な主人公」くらいだけど)。これ期待より相当よかった。
-
おいしいものを満足の行くまで食べたような、充実した読後感です。二人の関係がいいですね。
-
2020年の本屋大賞に入っているので読んでみた。おもしろい。水墨画を軸とした物語。少し精神的に問題を抱えている主人公、そして水墨画の大家の美人娘、というありがちな設定で、ストーリー展開も予想の範囲内で驚くようなことはないが、水墨画に関する描写がとても興味深い。
最後まで読むと、本のタイトルがスッと理解できる。
タイトル内の読点にもきっと意味があるのだろう。 -
水墨画に全く興味がなかったけれど、読みながら思わず春蘭や菊の作品をググってしまった。水墨画の初歩の知識を得られる小説。
とても読みやすいけれど、霜介が湖山に才能を見出される過程や登場人物の造形など、なんとなくラノベっぽさを感じた。説明過多で冗長な所も多かった。
映像化しやすいだろうなとは思う。 -
日本画の世界は全く知らなかったので、新鮮でした。