国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか (講談社+α新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 生産性を上げろ!、最低賃金を引き上げろ!、というのが著者の一貫した主張だが、本書では日本の生産性の低さの元凶は(零細な)中小企業だと名指しで糾弾している。

    「「新しい日本」にとってもっとも必要だと考えているのは、「中小企業崇拝」の廃止」、「日本の「生産性向上」の障害となっているのは、日本企業の 99・7%を占めて、これまで日本経済を支えると言われてきた357万の中小企業」、「生産性が低い、女性活躍ができていない、少子高齢化、年金問題、国の財政問題、少ない輸出比率などという日本経済の問題の多くは、「企業の規模が小さい」という病が引き起こした病状」、「なぜ規模の小さな企業の生産性が低いのかというと、給料が安いということ」、「これからの経営者に求められているのは、「統廃合」を積極的に進めて、いかに企業の数を整理することができるのかという能力」…。

    語り口はなかなか辛辣だが、理路整然としていて説得力がある。超高齢化による破綻だけでもヤバいのに、大規模自然災害で日本経済が壊滅し中国の属国となる、という空恐ろしいシナリオまで描いている。しかもこのシナリオ、かなり現実味を帯びている。

    この先、日本が何とかいい方向に向かうといいのだが…。この国の政治、果たして中小企業に厳しい政策を断行できるだろうか。中小企業保護は聖域のような扱いだからなあ。

  • 失われた10年がなぜ30年になっているか?
    氏のような優秀な外国人にお抱え外国人になってもらい、日本政府や日本人も学習してほしい。自分もか。目からウロコ!政治家には特に今の与党政治家にはできないんだろうなぁ。

  • 日本人の勝算をバージョンアップしたような内容。
    日本人の勝算を読んでいなければ星4~5。
    けれど、日本人の勝算を読んでいれば、あまり目新しいことは書かれていない。
    この本を読んでいると、インボイス制度の政府の狙いがわかるような気がする。
    つまり、免税特権がないと生き残れない事業者は淘汰されて、人員を生産性が高い大企業へ流動させてくれ、と。
    最低賃金をいくらにしないと、今後この高齢社会を維持できないのか、計算が明確で、日本の将来について考えさせられる。
    正直、日本の将来は少子高齢化で厳しい厳しい、とは言ってわかっているからこそ、その未来を数字を出して直視できていない人は自分だけではないだろう。
    それを著者は、どれだけ生産性をあげれば維持できるのか、数字を示し、最低賃金を算出しているので直視せざるえない。辛いが、大切なことだ。

  • 日本の経済成長促進剤。本書はなぜ日本の経済成長が30年の長きに渡り低迷しているのか、どうすれば解放に向かうのかを教えてくれる。日本の経済成長が低迷している根本的な原因は人口減少であり、それをカバーする方法は給与を上げるしかないため、政府が最低賃金を計画的に上げていく必要があるというもの。最悪の場合、震災で甚大な経済損害が出た時に、日本は中国の属国になり得るため、一刻を争うのだと言う。結論だけ聞くと突飛に思えるが、順を追って筆者の論を辿ると、私のような素人でも納得できる、大変面白い1冊だった。

  • 日本の数々の問題が中小企業にいきつく。目から鱗の内容ではあったが、既読後観察するとおおいに納得がいく。

  • 少子高齢化が進む中日本が生き残るためには生産性の向上しかない。その為には日本の99.7%を占める中小企業をを減らすしかない。日本人はなぜ中小企業こそ日本の強さだと勘違いをしてしまうのか。また日本人は社長という響きに弱いお思う。社員2〜3人の会社でも周りから社長と言われていい気分になっている人をよく見る。まずそういう考えから変えていかなければならない。近年の異常気象、地震などの自然災害の発生は日本が抱えている問題をさらに浮き彫りにする事になる。日本を変えて行かなければ。もう猶予はない。この本を読んだ人から考え方を変えて行こう

  • 急激な人口減少が進む中、日本経済が再び輝くために必要なのが「中小企業改革を軸とした生産性向上(賃金の向上)」であることを説いた本。

    先進国に先駆けて「急激な人口減少」が進んでいます。人口増加をもとにしたシステムが立ち行かなくなる以上、応急処置的なものではなく、抜本的な改革が必要になります。これは待ったなしなのです。

    著者のデービッド・アトキンソンさんが説く中小企業改革(中小企業の統廃合)は、『下町ロケット』的な物語が好きな日本人には衝撃的なもの。受け入れられない人がいても当然です。しかし、ここで大事なのは議論を起こすこと。他に改革すべきことがないかを「聖域」を作らずに議論していかなければいけません。そこに本書の価値があると思います。

    人口減少による未来がある程度可視化されている今こそ、「事前対応」できるよう議論を活発にする必要があるのです。

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著者プロフィール

デービッド・アトキンソン
小西美術工藝社社長
1965年イギリス生まれ。日本在住33年。オックスフォード大学「日本学」専攻。裏千家茶名「宗真」拝受。
1992年ゴールドマン・サックス入社。金融調査室長として日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。2006年に共同出資者となるが、マネーゲームを達観するに至り2007年に退社。2009年創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、2011年同社会長兼社長に就任。2017年から日本政府観光局特別顧問、2020年から政府の「成長戦略会議」委員などを歴任。
『日本人の勝算』『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(山本七平賞、不動産協会賞受賞)『新・生産性立国論』(いずれも東洋経済新報社)など著書多数。2016年に『財界』「経営者賞」、2017年に「日英協会賞」受賞。

「2023年 『給料の上げ方 日本人みんなで豊かになる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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