他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング) [Kindle]

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  • 話題の本。
    社会構成主義的に他者との関係性から、組織についてを語るもの。
    特にナラティブアプローチに関する話は非常によかった。
    ナラティブの溝に橋をかけつづけていきたい

    おすすめ。

    ◆目 次
    はじめに 正しい知識はなぜ実践できないのか
    第1章 組織の厄介な問題は「合理的」に起きている
    第2章 ナラティヴの溝を渡るための4つのプロセス
    第3章 実践1.総論賛成・各論反対の溝に挑む
    第4章 実践2.正論の届かない溝に挑む
    第5章 実践3.権力が生み出す溝に挑む
    第6章 対話を阻む5つの罠
    第7章 ナラティヴの限界の先にあるもの
    おわりに 父について、あるいは私たちについて

  • 「ナラティヴの溝を越えるために、自分のナラティヴを脇に置く」という考えはなかったので参考になった。

  • ノウハウを聞いて上手く解決できる都合のいい問題は、大抵の場合気の利いた誰かがとっくに解決している。そうではない問題(適応課題)に挑むには、対話が不可欠。


    ◯ハイフェッツの適応課題とは
    ・技術的課題: 既存の方法で解決できる問題
    ・適応課題: 既存の方法で一方的に解決できない複雑で困難な問題、関係性の中で生じる

    適応課題を如何に解くか、それは対話(新しい関係を構築すること)

    4タイプ
    ・ギャップ型: 大切にしている価値観と実際の行動にギャップが生じるケース。短期的な合理性に阻まれる。
    ・対立型: 互いのコミットメントが対立するケース、それぞれの枠組みでどちらも合理的根拠に根ざして正しい。
    ・抑圧型: 言いにくいことを言わない、言うのが厄介だったり損する、
    ・回避型: 痛みや恐れを伴う本質的な問題を回避するために、逃げたり別の行動にすり替えたりするケース。対策したという言い訳を用意する方に行くなど。

    どれも既存の技法や個人の技量の域を超えている。

    ◯ナラティブ
    ・適応課題に挑むとき、一歩目としてこちら側のナラティブが変わる必要がある。
    ・ナラティブ: 語りを生み出す「解釈の枠組み」、その人の持つ常識
    ・こちらのナラティブとあちらのナラティブに溝五位あることを見つけて、溝に橋をかけていくことが対話。そもそも溝に気づくこと自体簡単ではない。
    ・最初に微分のナラティブを一旦脇に置き、注意深く観察することが大事。
    ・お互いに同じ前提に立っていると対話が起きにくい。お互いに分かり合えていないことを認めることが不可欠 by 平田オリザ


  • その人や集団における価値観や信念、状況や環境、痛みや苦しみ、在り方や在りたい姿等々がぎゅっと「ナラティヴ」という言葉に集約されることで、対立から対話に向かうやり方についてより理解を深められたと思う。

    それと、この本が指している「ナラティヴ」がそれぞれの立場の人との共通のことばになることで、困難な状況においても対話に迎える状況をつくれる可能性が数段上がるのではと思う。そういう意味で、自分とナラティヴが近い人も距離がある人も含め、いろんな人に広まって欲しいな。

    とはいえ、その状況までにどう橋を架けるか?どちらから橋を架けるか?
    いずれにせよ、本を読んだ人は行動できる可能性を得たことだけは事実。

    自分のナラティヴを脇に置いて相手のナラティヴを観察解釈し、介入する。
    しかしながら、それは迎合や忖度や隷属することではなく、己の姿勢としては誇り高くあること。

    ここ最近自分が大事にしたい事との近さを感じた気がして、心を強く持つことができた。

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著者プロフィール

経営学者/埼玉大学 経済経営大学院 准教授

1977年東京都生まれ。2000年立教大学経済学部卒業。02年同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。06年明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。2006年早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、2007年長崎大学経済学部講師・准教授、2010年西南学院大学商学部准教授を経て、16年より埼玉大学大学院人文社会科学研究科(通称:経済経営系大学院)准教授。
社会構成主義やアクターネットワーク理論など、人文系の理論を基盤にしながら、組織における対話やナラティブとイントラプレナー(社内起業家)、戦略開発との関係についての研究を行っている。大手企業やスタートアップ企業でイノベーション推進や組織変革のためのアドバイザーや顧問をつとめる。専門は、経営戦略論、組織論。
07年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞。
20年日本の人事部 HRアワード2020書籍部門最 優秀賞受賞。


「2021年 『組織が変わる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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